犬猿 2018年3月3日 テアトル新宿 『麦子さんと』、『ヒメアノ〜ル』が面白かった吉田恵輔監督作品。ある兄弟と、ある姉妹のそれぞれ犬猿の仲の状態が描かれる。 金山和成(窪田正孝)は印刷会社で真面目に働く営業マン。彼には兄(新井浩文)がいて、この兄というのが粗暴な男で、強盗をやって刑務所行き。ようやく出てきたと思ったら弟の家に転がり込み、やりたい放題。金をくれと言い出して断ろうとすると暴力をふるう。働こうとはせず「絶対に儲かる」という輸入の話に乗ろうとしている。 こんな人物が自分の兄だとしたらほんとに嫌だろうなと思う。 一方、印刷会社の下請けをやっているのが幾野由利亜、真子の姉妹。姉は太っていて容姿が悪いが仕事はできる。これをニッチェの江上敬子がやっている。江上といえば、体形は体形でも愛嬌のある人で好印象なのだが、黒ぶちの眼鏡をかけて、いつも不機嫌そうにしている。妹(筧美和子)は美人だがアタマは悪く仕事はできない。姉の仕事を手伝っているが、女優に憧れていて脇でチョイ役の仕事もやっているらしい。そんな妹に嫉妬している姉。こんな姉妹ってのも嫌だな〜。 それがさらに縺れてしまう。原因は姉妹のやっている下請けに和成が出入りしていること。イケメンな和成に姉が恋をしてしまう。ところが和成に目を付けていたのは姉ばかりでなく妹の方もだったから面倒になる。姉妹で和成の取り合いが起こるが、結果は見えている。姉の方は容姿はともかく、性格的にも意地悪な所があるのに対して、妹の方は美人だし男の心を掴むのも上手い。誰だって妹の方を選ぶでしょ。 和成の兄はというと、なんと事業に成功。やたら羽振りがよくなる。ところがやはり法を犯す類の輸入だったらしく警察の手か回ってしまう。 なんかね〜、この四人のなかでは、和成のみが性格がよく思えてしまって、そこんとこがちょっと引っかかるかな。和成がもっと嫌な奴だったら、バランスが取れただろうけど、そうなっちゃったら本気で、嫌〜な映画になってしまったかも。 兄弟、姉妹が仲直りというラストから一転のあの終わり方。辛いけど血縁であることから逃げられない憎しみってあるんだろうな。 一人ッ子というのも嫌だけど、嫌な兄や姉や妹がいるっていうのも、厄介なことで。 3月4日記 静かなお喋り 3月3日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |