女房の殺し方終えます(How To Murder Your Wife) 2012年11月26日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 1964年作品。 初見。 独身生活を謳歌しているスタンリー(ジャック・レモン)。新聞連載マンガの作者であり、ニューヨークで執事とふたりだけで住んでいる。大金持ちというわけでもないが、大きなアメリカ製のオープンカーがギリギリで入る車庫も持っている。もっともギリギリだから、あれだと車庫に入ったクルマから抜け出すにはクルマのドアは開けられまい。オープンカーだからきっと上から出入りしているのだろう。 そんな独身のスタンリー、ある日、誕生パーティーに出席し、酔っぱらった末に、セレモニーでケーキの中から出てきた女性と仲良くなって結婚してしまう。酔っぱらってよく覚えていなかったものの、相手はなぜかイタリア人で、英語がまったく話せない。あれよあれよという間に、ひとりで気ままに生活していた家に荷物が運び込まれ、どの部屋も女性のものでいっぱい。自分の趣味で統一されていた家は、途端に変化していってしまう。 新婚生活が始まってしまうと、スタンリーの描くヒーローもののマンガにも変化が生じる。マンガの主人公も結婚して、家庭内に収まってしまう。そこではスタンリーが体験した家庭内での出来事が、ヒーローマンガの主人公に置き換えられて語られる。それが評判になり、ますます人気になるのだが、当のスタンリーは浮かない顔。そこで彼は妻を殺す計画を立てる。とはいえ、彼の意図は自分の妻を殺したいのではなく、マンガの主人公の妻殺しなのだが。 この辺までが、映画の三分の二までの部分。スタンリーはマンガにリアリティーを盛り込むために、マンガの主人公の行動を自分で実際にやってみて、それを写真に撮らせ、それを基にして作画をしている。それで今回も妻を殺すシーンを実践してみる。ただし、妻の代わりにマネキン人形を使ってなのだが。 ところが、本当に自分の妻も消えてしまう。 スタンリーは行方不明になった妻殺しの容疑で逮捕され、裁判が開かれる。 この法廷での茶番劇のようなものが見どころ。スタンリーは自分は有罪だが無罪だという、滅茶苦茶な論理で自ら裁判を進めていく。ここで世の男性たちは心の中で「そうだ、そうだ」と叫ぶかもしれない。世の中に女房さえいなければ自分たちはもっと自由になれるんだと。 映画は終わってみれば、すべて落ち着くところへ落ちつくわけだが、結論としては、 「結婚は慎重に、されど慎重すぎてもこの世はつまらない」 って事かな。なんだかんだ言っても、世の中、男と女なんだから。 11月29日記 静かなお喋り 11月26日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |