風雲電影院

蜘蛛女(Romeo Is Bleeding)

2013年8月26日
三日月座BaseKOMシネマ倶楽部

 公開当時、映画館で観て、前半グッスリ眠ってしまった。今度はちゃんと観ようと思っていたのだが、迂闊にもまた前半部分をウトウト。これって、やはり私が悪いのだろうか? なんかテンポが悪いような気がするんだよな。監督はピーター・メダック。主にテレビ畑で活躍している人みたいで、この人の作品をほかに観たことがない。荒野にポツンと立つ誰もお客さんが来ないようなダイナーで、毎年5月1日と12月1日に人を待っている店主というプロローグとエピローグがやけにセンチメンタル。

 蜘蛛女という邦題は上手いとは思うのだけど、原題は、血まみれのロミオとでもいう意味で、トム・ウェイツの曲。脚本家もこの曲からインスパイアされて書いたらしい。しかし私、トム・ウェイツって好きになれなくて、年取ってからの最近のはともかくとして、この Romeo Is Bleeding あたりのころの彼はどうもダメ。音は割と受け入れられるのだけど、あの歌い方がダメ。これはもう好き嫌いの問題だから、どうしようもない。この映画を観ている間中、あのトム・ウェイツの顔と歌がダブってきて、ウェーっとなってしまう。トム・ウェイツ好きには堪らないものがあるかもしれないけど・・・。

 主人公ジャック役のゲイリー・オールドマンはどうしてもトム・ウェイツが被って来るみたいでダメだったが、モナ役のレナ・オリンの怪演はやはり凄い。ケタケタ笑いながらジャックの首をワイヤーで締めたり、自動車の運転席の後ろから脚を首に巻き付けてくるとか。手の自由が利かないのに、口で封筒を咥えて、事故った車のフロントガラスから這いずり出て、走って逃げる。その様子がエリマキトカゲとはよく言ったもの。貞子なんかよりよっぽど怖い。レナ・オリンはけっこうたくさん映画に出ているようだが、私はこれ一本しか観ていない。ほかの裳観て見たくなったが、これ一本で映画史に残るね。

 ロイ・シャイダーも、モナの手にかかって、葬り去られる。『ジョーズ』の署長も形無しだね。そういえば、ロイ・シャイダーって、このころからなんとなく精彩がなくなっちゃって消えて行ってしまった感じ。レナ・オリンの毒気に当てられたか?

 決して悪い映画でもないのだが、ここまでダメダメ男には、甘い結末のような気がする。いや、甘すぎはしないのだけど、映画としてはあまり暗い終わり方は出来なかったのかもなぁ。もっとガツーンとくる結末の方がいいと思うけど。

8月27日記

静かなお喋り 8月26日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置