土竜の唄 潜入捜査官 REIJI 2014年2月27日 109シネマズ木場 潜入捜査官ものと知って、ははあ、これは『インファナル・アフェア』みたいなものになるのかなと思っていたら、おバカ映画だった。原作はマンガだし、それに脚本が宮藤官九郎、監督が三池崇史とくりゃ、マトモじゃないのはわかりきっているのだが。 いったい、どこまで原作に忠実に作ってあるんだか知らないが、おそらく原作自体、そうとうにバカなんだと思う。読んでないけれど、コミックスの表紙の絵を見ればわかる。だいたい、主人公の玲二は勤務評定が悪すぎてクビになり、そこから潜入捜査官にならないかと言われるのだから、まあ、マトモじゃない。だいたいからして、そんな奴に潜入捜査官が務まるのかぁ? ファーストシーンで、猛スピードで走る車のボンネットに真っ裸で縛り付けられる玲二って、これはインパクトあるオープニング。これ、凄く怖い。そこから、それ以前の話にポーンと戻って、このオープニングに繋げて、「えーっ、ここに繋がるのー?」っと主人公に叫ばせるって、いかなもクドカンらしい脚本。こういう構成、クドカン多いね。 もう、マンガらしい発想というのは、こういうこと言うんだろう。そうでないと作れないタイプの映画。ヤクザの組員として潜入して麻薬摘発のおとり捜査をやるわけだけれど、組員になる方法だってゴリ押し。「どうじゃー! オレはこんなにバカだー!」とばかりの力技で構成員になってしまう。普通の映画ではありえないのが、マンガ的な発想だと通っちゃうんだよねぇ。 潜り込んでみれば、関西からケンカを仕掛けて乗っ取りを図っている勢力がいて、その抗争に巻き込まれてしまう。関西から送り込まれてきたのが、猫沢というキャラクター。岡村隆史が好演。強いんだか弱いんだか、さっぱりわからないキャラで、わけわかんない映画の中で、バカ度がますます加速する。 その猫沢に足首に何十発もの弾丸を撃ち込まれ、手榴弾の爆発まで受けるのがる、ヤクザ社会で玲二の兄貴分に当たる日浦(堤真一)。。この人も、何でもやる人だねぇ。去年、舞台『今ひとたびの修羅』で正統派任侠劇を、かっこいい姿を見せてくれたばかり。両足とも足首から先を失い、もうダメかと思われたのに、なんと完全復活。というより、手榴弾が至近距離で爆発したんだから、その時点で死んでるだろ(笑)。「一度しか言わないから、よく聴け。日本語のわからない医者によって、スゲー義足をつけてもらったんだ。以上」とか言って、前よりパワーアップしちゃってる。ほんと、よくぞこんな、おバカな映画に出て楽しんで演技できるものだ。 とにかく徹頭徹尾、おバカ映画で、第一、ヤクザ組織側が、なんで玲二が潜入捜査官だとわからないくらいのバカ。勘づくだろ、普通。バレバレに近いもの。原作漫画はかなり膨大らしくて、続編もありえるという終わり方。お客さんけっこう入っているみたいだから続編もあるかもね。 3月1日記 静かなお喋り 2月27日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |