風雲電影院

なんちゃって家族(We're the Millers)

2014年2月18日
シネマート新宿

 インターネットでやけに評判がいい。そのうちに観に行こうと思っていたら、もう今週の金曜で終わってしまうというので、慌てて出かけた。いやぁー、観に行ってよかった。これは面白い。アメリカの批評家に酷評されたらしいのだが、封切ってみれば大ヒットだったとか。それに比べて日本では、批評家は酷評をしないまでも、ほとんど無視しちゃったんじゃないのか? どうやら東京で上映してたのは、このシネマート新宿だけだったみたいだし。

 映画としてとても面白く出来ているだけじゃない。これは、映画館で観ないと、ちょっと観賞しにくい類の映画だ。しかも、なるべくだっら、ひとりでこっそり観に行きたいもの。カップルで観に行ったら、カップルによっては気まずくなるだろうし、タイトルに釣られて家族で観に行くーこうなんてもってのほか。こっちの方がさらに気まずくなってしまうかも知れない。だから、いずれDVD化されるだろうが、家庭では観ずらい。なにしろ下ネタ全開だから子供には見せられない。観るならこっそり自分ひとりでって事になってしまうかもしれない。

 日本語タイトルも賛否両論ありそうだけど、私は割と気に入っている。『なんちゃってファミリー』ではなく、あくまで『なんちゃって家族』。いいじゃない。最近はやたらと英語タイトルにしたがる傾向があるけれど、すべて日本語でオリジナルタイトル。珍しいやね。

 冴えないヤクの売人が、元締めから脅迫されて、メキシコからマリファナの密輸をしてくることを請け負う羽目になる。しかし、どう考えても見るからに怪しげな彼がメキシコから持ち出そうとしても国境で観破れてしまうのは目に見えている。そこで、キャンピング・カーに乗った家族を装い、国境を抜けようという計画。そこで、知り合いのストリッパーを妻に見せかけ、家出少女を娘、近所の高校生を息子ということにして、メキシコに乗り込む。ところが、相手が積み込んだマリファナは2トン。果たしてこの疑似家族はメキシコ国境を抜けて、マリファナを元締めのところに届けられるのか。

 擬似家族四人が、そろいもそろってダメー〜な奴らなんだよね。でもなにしろこれはコメディだから、ぜ〜んぜん深刻にならない。ヤバイこととは知りながら、この犯罪にあっけらかんと加わっていく。そしてもう全篇下ネタだらけ。こういう映画が大ヒットとちゃうアメリカって何なんだろうね?

 脚本もツボを押さえていて、よく出来ていると思う。なんだかんだいって、着陸させるところには、うまく着陸させるし。

 偽母親役のジェニファー・アニストンって今まで、ほとんど観たことが無かった。現在45歳。撮影当時44歳だったとしてもセクシー。ストリッパー役だから、当然ストリップ・シーンはあるのだけれど、いやいや、見事ですわ。

 日本だと、なかなかこういう下ネタ+犯罪なんていうテーマじゃとても明るいコメディなんて出来ない。なんか陰惨になったりね。こういうの観るとアメリカって凄いなと思う。

 アメリカ・ドメスティックでしかわからないギャグを強引に独自のギャグに変えた日本語字幕にも拍手。

2月19日記

静かなお喋り 2月18日

静かなお喋り

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