大都会PartV/ブラックホール 西部警察/ピエロの名演 2014年3月31日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 脚本家の大野武雄氏を招いて、大野氏が書かれたテレビドラマを2本観た後に、お話を伺うという日。 『大都会partV/ブラックホール』(監督・長谷部安春) 私は、テレビドラマというのは、ほとんど観ない生活だった。『大都会』は倉本聰が脚本を書いていた第一シリーズだけは観ていたが、第二、第三シリーズは一本も観ていない。 警察が、銀行強盗の犯人の一人である桜木(林ゆたか)を逮捕する。あっ、林ゆたかじゃん! グループ・サウンズ、ヴィレッジ・シンガーズのドラマーで、あの日活の『暴行切り裂きジャック』なんかに出ていた人。懐かしいなぁ。 署までの護送の途中、桜木と共犯だった過激派の一団に襲われる。彼らは散弾銃や爆弾で武装していて、拳銃くらいしか持っていない刑事たちは劣勢。それでも、なんとか黒岩(渡哲也)が桜木を連れて車で脱出。ところが、車は途中でガソリン漏れをして止まってしまう。車を捨てて、過激派から逃げようとするが、ふたりは穴の中に落ちてしまう。 大野氏の解説によると、撮影時、ある事情から、渡哲也の出番を少なくした脚本を書いてほしいという要望が出され、それなら穴に落としちゃえということが発送の原点だったとか。なるほど、観終ってから、よく考えてみると渡の出番は少ない。しかしこれ、渡哲也の印象がやたらと強く、しっかり渡哲也主演の一本という形になっている。見事な脚本と言うしかない。 桜木は過激派と組んで銀行強盗をしたのだが、その金を持ち逃げしたのだった。黒岩と桜木が行方不明のまま、過激派は警察が桜木の身柄を確保していると判断。要人の娘を誘拐して人質にして、桜木との身柄交換を要求する。といった攻防が繰り広げられていく。 一方で穴に落ちたふたりだが、黒岩は銃撃戦で腿に負傷を負い、このままでは出血死してしまう可能性もある。しかも、穴は深く、果たして彼らはどうやって抜け出すか、というサスペンスで視聴者の興味を引っ張っていく。 派手なアクションで、警察と過激派が闘うという一方で、穴に落ちたふたりの人間ドラマも進行させるという、見せ場の多いドラマだった。 『西部警察/ピエロの名演』(監督・村川透) 『西部警察』もまったく観ていなかったなぁ。 刑事の源田(刈谷俊介)が、ストリップ劇場の栄治(岩城滉一)から、自分が何者かに脅迫されて命を狙われていると相談を受ける。どうやら実際に栄治の近くにはひげ面の男の影が。この男の正体は? そして栄治はなぜ命を狙われているのか? 源田と栄治のエピソードは、どうやら以前の回から引き継がれているらしいのだが、これ単発でしか観ない私には、その経緯は不明。この回は、脚本が実によく出来ていて、何か書くとネタバレになってしまう。ちゃーんと冒頭の、コメディ部分のやり取りに、ヒントをさりげなく入れているのも上手い。ネタが割れるのは、物語も終盤に来たところ。そこまで引っ張って面白く見せるのも力技ですね。 終演後、大野さんと柏原さんの会話でも指摘されたように、やはり長谷部安春と村川透では、ぜんぜんタッチが違う。やはり個性が出るねぇ。どちらがいいかは、好みが分かれそうだが。 4月1日記 静かなお喋り 3月31日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |