Parker/パーカー(Flashfire) 2013年2月12日 ユナイテッドシネマ豊洲 リチャード・スタークの、悪党パーカーシリーズ第19作(再開第3作)『地獄の分け前』の映画化。エンド・クレジットには最初に、In Memory Of Donald E Westlake と出る。リチャード・スタークこと、ドナルド・E・ウエストレイクは、この映画の完成を待たずに亡くなっちゃったんだよなぁ。 冷酷非情な強盗が主人公だから、コワモテの俳優を使うことになる。今までにもリー・マーヴィンやロバート・デュバルが使われてきたが、ジェイソン・ステイサムとは、うまい配役を思いついたものだ。 いきなり白髪のカツラを被って眼鏡をかけた神父姿のジェイソン・ステイサムが登場するファースト・シーンで、最初のうちはステイサムだと思えなくてうろたえてしまった。これ、似合ってるよ。 このカーニヴァルのシーンはなかなかの見もの。強盗をして逃げるシーンの小気味よさは、最初から期待させる出来。そのあとの仲間割れからパーカーが重傷を負い病院に入院させられる流れもいいし、そこからの脱出劇がまた面白い。喉の手術で声帯を取ってしまっている同室者をカムフラージュにして逃げるところは、私自身が一年前に耳鼻咽喉科で入院していた時のことを思い出させて夢中になってしまった。 仕返しに赴くパーカー。そこに彼を襲ってくる凄腕の殺し屋。高層コンドミニアムの窓の格闘シーンの迫力たるやハードなこと! 掌をナイフに貫通されながらもバルコニーでやり合う。痛そう〜。 かなりリチャード・スタークの世界を再現してみせているが、ここで問題になるのが、原作には無かったか、あるいはもっと扱いが小さかったと思う不動産会社に勤めるジェニファー・ロペスの存在。なにしろ原作がむかつい男の世界の話。出てくる女も黒社会に関わりがある人物ばかり。それが一般社会のOLを大きく扱うというのは、パーカーシリーズ・ファンには不満が出るだろう。制作側としてもジェイソン・ステイサムだけでは興行的に難しいと判断したのか、彼女を持ってきたと思われる。しかし、私はこのジェニファー・ロペスの役、いいなぁ。アラフォーで結婚もできず、うるさい母親を抱えている。仕事もうまくいがず昼間っから白ワインなんかがぶ飲みしちゃう。なんかカワイイんだよねぇ。ラストで郵便を受け取って、うれしそうな顔するところなんて、いいなぁと思う。 もちろん『裏切りのコイン』からのクレアもちゃんと映画の中に出てくる。これがまた別の意味でいいんだなぁ。おそらく小説の方のファンはクレアとの関係を観たかったんだろうけど、それはシリーズ化されたら観られるかもしれない。ヒットして欲しいのだが・・・日本では寂しい公開のされ方だねぇ。 2月13日記 付記 2014年4月28日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 2回目の観賞。 ジェイソン・ステイサム、いいんだけど、やっぱり小説のパーカーじゃない。冷酷さからいったら『ポイント・ブランク』のリー・マーヴィンや、『組織』のロバート・デュバルの方が合ってる。でも今やもう、そういうキャラクターじゃ、お客さんを呼べない時代になっているのかも。お客さんからも好かれるキャラクターにしてしまっている。 いかに冒頭のシーンで白髪のかつらを被り、黒縁眼鏡の牧師の恰好でカムフラージュして出てくる設定だったとしても、フェスティバルの風船割りで、的にダーツを投げて大きなぬいぐるみを賞品としてもらい、それをちっちゃな女の子にプレゼントするとかなんてのは「ありえねー」だしね。 もっと「ありえねー」のは、パニックを起こした警備員を、静かに説得するなんての、これおかしいでしょ。 ジェニファー・ロペスとのくだりは、パーカーものらしくないけど、やっぱり好きだな。前回聞き落しちゃったんだけど、アラフォーで結婚できないんじゃなくて、一度結婚したんだけど別れちゃってるんだね。結婚相手は金持ちかと思ったら見せかけで、車もレンタカーだった。職業はセールスマンで「私に夢を売った」って。フロリダの不動産会社に勤めるOLで、お金持ち用の邸宅を売る係。なんのことはない自分もセールスウーマン。しかも、自分にとっては夢みたいな物件ばかりなんだよね。 このジェニファー・ロペスを、それこそ、金の亡者みたいなキャラクターにしたら、パーカーものらしくなったのかもしれないのだけど、なんとなくパーカーに気があったりする風なのがなんともねぇ。まぁ、こっちの方がかわいくていいんだけど。 クレアをやった、エマ・ブースって女優さん、ほかにどんな映画に出ているのか知らないのだけど、やはりクレアのイメージとはちょっと違うなぁ。原作のクレアはもっとシャキッとした感じ。こっちの勝手なイメージなんだけどね。 4月29日記 静かなお喋り 2013年2月12日 静かなお喋り 2014年4月28日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |