レッド・サン(Red Sun) 2014年5月12日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 1971年作品。 三船敏郎が出た外国映画だが、この前に『太平洋の地獄』というのにも出ていて、それがどうにも面白くなくて、これもほとんど期待しないで観に行って、「う〜ん、何だかなぁ」という感想を抱いて帰って来た憶えがある。いかに世界の三船とはいえ、外国映画なんかに出なけりゃいいのにと思った。 最初から娯楽映画として作られたもの。三船敏郎にチャールズ・ブロンソン、それにアラン・ドロン。さらにウルスラ・アンドレスという超豪華なキャスティング。監督はこれまたジェームズ・ボンド初期のテレンス・ヤング。音楽はモーリス・ジャールって、こんな凄いプロジェクトは考えられないくらい。でもいくら凄いスタッフ、キャストが集まっても、土台無理があるものは無理にしかならない。 刀でもって銃と闘うっていうのは、時代劇でもあったことだけど、こんなに周りが銃だらけというのでは闘いようがない。現に最初のシーン。列車強盗に襲われて、日本の侍たちは為す術もないわけで、本当に献上する刀を守るんだったら、ここで居合切りなりなんなりで相手を倒さなければいかんでしょ。それが簡単に武士のひとりが射殺されちっゃて、あとから刀を取戻スために追いかけるなんて筋書、ありえないよ。 それで結局、三船敏郎の刀と、チャールズ・ブロンソンやアラン・ドロンの銃との闘いって最後まで無くって、それじゃあ三船敏郎の殺陣はどうするのって、それで無理矢理最後にコマンチを登場させて、コマンチの鎗と三船の刀の闘い。この殺陣が、なんかしょぼい。相手がまるで弱っちい。三船敏郎の見せ場はいろいろ作ってあるのに、肝心の殺陣のシーンが冴えない。 テレンス・ヤングが監督しているというのに、本来あるべきカットが無かったりというのも腑に落ちない。最初に列車強盗に襲われて命を奪われる侍の、直接の射殺カットが無い。最後のコマンチとの闘いで、どうやら敵の弓矢を手にした三船敏郎が、その弓矢でコマンチを倒すのだが、敵を倒して弓矢を手に入れるシーンが無いから、唐突に弓矢を持っているようにしか見えない。これはいかになんでも、奇異に感じてしまうよなぁ。 ウルスラ・アンドレスのサービス・ショットはたくさんありますな。おっぱいまでしっかり見せてる。そのへんはさすがテレンス・ヤング。 直接描写はないけれど、三船敏郎と売春婦の濡れ場も暗示させてる。そういえば、松田美智子の『サムライ 評伝三船敏郎』を読むと、三船は『レッド・サン』のスペイン・ロケに銀座のホステスを同行させていたようで、英雄色を好むなんでしょうかね。 5月13日記 静かなお喋り 5月12日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |