ルビー・スパークス(Ruby Sparks) 2013年7月30日 キネカ大森 若くして小説家になった青年カルヴィン(ポール・ダノ)が、その後まったく何も書けなくなってしまい、精神科医に相談に行く。医師は、自分の理想とする女性を小説に登場させて書いてみなさいとアドバイスする。これって、創作科の学生に先生が課題を与えてるみたいで、よくあんた小説家になれたね。それまでに書いた小説がどんなものなんだったか読んでみたいくらいだ。 それで書き始めてみると、そこに書いた理想の女性ルビー・スパークス(ゾーイ・カザン)が現実に現れるというお話。空想の彼女だから、書いた人の好みの女性で、しかもその彼女とそのまま同棲生活に突入。この空想から生まれた人物、あとからいくらでも書き足してスーパーミラクルな女性にできる。料理が上手いとか、フランス語に堪能とか、いくらでもレベルアップできる。そう、観始めて、なんだかゲーム機の恋愛ゲームって、こんなんじゃないだろうかと思い始めてしまった。なーんか、恋愛ゲームに夢中になっていたオタク青年の前に、そのゲームから女性が抜け出してきて一緒に生活を始めるっていうようなマンガって、ありそうな気がしてきた。 それでふたりは、いちゃいちゃした関係になって、カルヴィンは自分の両親にルビーを紹介しに行ったりして、まあ、お気楽な映画ですことと思っていると、そのうちにルビーの方が勝手な行動を取りだす。夜遊びを始めて、家に帰ってこない。何か言うと反抗的な態度になる。自分の意のままになる女性だと思っていたら、そうではなかった。それでさらに細かく設定を書き加えていく。ルビーは自分に夢中で、一緒でないと生きていけないと書くと、常にべったりと付きまとい、カルヴィンが誰か別の女性と話しただけで、もう生きていけないと言いだす。書けば書くほど、どんどん変な人格になっていってしまう。 手が付けられなくなったカルヴィンは、彼女を自由にしてやる。すると彼女は出て行ってしまう。それを基に彼は小説を描くことが出来る。って、どんな小説なんだ? そして彼は、ある日、それまでの記憶を無くしているルビーと再会するところで映画は終わる。どうもそれまで恋愛経験が無かったらしい男が、これで人間的に成長を遂げてうまくやっていけるのを祈るだけなのだが。まあ、実生活でも主演のふたりはラブラブで、そのふたりが企画した映画なそうだから、こちらは当てつけられただけなんだろうけど。 これ、ホラー映画にすればよかったのにという人もいるようだ。ルビーのコントロールが利かなくなって、ナイフを持って襲ってくる。うん、私もそんな展開の方が好みだな。 7月31日記 静かなお喋り 7月30日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |