最愛(Love For Life 最愛) 2012年12月18日 シネマート六本木 中国の山の中、売血が目的で血を抜いた注射器の使いまわしでHIV感染者が続出した村の、どうやら実話の映画化らしい。 感染者は村人によって一か所に隔離されてしまう。その中にアーロン・クォックとチャン・ツィイーがいる。ふたりとも既婚者ではあるのだが、相方に見捨てられ、ここで死を待つばかりになっている。 1990年代の話だそうで、しかも山の中の村の話。HIVに関する理解がなかったとはいえ、こんなに何にも手が打たれることがない状態で放っておかれたなんてことがあるのだろうか? 医療機関が何かしにやって来るといった描写もないし、公的機関も何もしないなんて、本当にあったことなのだろうか? 映画はこのふたりの悲恋物語を描くことに眼目があるようで、そういったことはまったく触れられない。 しかも、この中国の村の人々の差別意識というのも異様で、本当にこんな差別が行われたのだろうか? 実話だとしたら、この村の人たちは弾劾されかねないでしょ。 おかしいのは、アーロン・クォックの家族も、チャン・ツィイーの家族も、誰一人として彼らの病気を庇おうとしないで、捨て去ってしまう事。誰からも愛されなかったふたりは、愛し合い、結婚する。知らなかったのだが、結婚承認書みたいなものを発行してくれるらしい。それを持ってふたりは大喜びするシーンがあるのだが、HIV感染者保護みたいなことを放っておいて、こういうことはちゃんとやるんですかね、この国は。 もちろんのこと、アーロン・クォック、チャン・ツィイーときたら美男美女。悲しさは増すわけでありますが、ほんとにこんな美男美女の元の妻や夫が、あっさり捨て去るものなのかどうか。なんとかしようと東奔西走ってドラマになりそうなのですが、うーん、そうはならないわけか。 12月19日記 静かなお喋り 12月18日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |