大陸横断超特急(Silver Streak) 2015年7月27日 三日月座BaseKOMシネマ倶楽部 1976年作品。公開当時に観ているが、だいぶ忘れていた。クライマックスが、列車がシカゴの駅に突っ込むシーンで、これは当時も話題になったからよく憶えていたが、あとはなんだかおぼろげな記憶しか残っていなかった。しかし観ているうちに、「ああ、そうだった、そうだった」と、ところどころ思い出したりして。人間の脳の記憶っていうのは、妙なところに残っているものなんですね。 このころのジーン・ワイルダーは、メル・ブルックスの『ブレージングサドル』や『ヤング・フランケンシュタイン』でコメディアンとして乗りに乗っていたころ。『大陸横断超特急』の中でも、特に後半、リチャード・プライヤーが出てきてからは、彼との掛け合いで可笑しさが倍増する。トイレで黒人に変装するシーンで、顔を靴墨で塗り、ラジオを肩に乗せて身体を揺すりながら歩いてみせるシーンは、よく憶えていた。 しかしこれ、なによりも脚本がいい。コリン・ヒギンズ。エイズで47歳の若さで亡くなってしまったそうだが惜しいことをした。列車から三回も落ちて、そのたびに戻ってくるという、ありえない展開をギャグで可能にしてしまっている。特に最初の転落で、ごく普通の田舎のバアさんが列車を追っかけてやるというので車で追いかけるのかと思いきや、セスナ機を操縦してという唖然とする展開は笑った。二回目の転落のときは警察に駆け込み、人が三人死んでひとりは自分が殺して、それはレイブラントの作品のためだと説明すると、レイブラントって誰だということになり、レイブラントはもう死んでいる、それじゃ死んだのは4人かという無茶苦茶な会話の可笑しさったらない。 そういえば『新幹線大爆破』は1975年。もちろん新幹線は無事に停止することができるわけですが、『大陸横断超特急』はシカゴの駅に突っ込みます。こんなこ映画をよくぞ撮ったものだと思えてしまう。こんなのタイアップした鉄道会社から絶対にOKは出ないと思うのだけれど、全体がギャグみたいなものだから、まあいいでしょうってことなんですかね。太っ腹ですこと。 超特急という割には列車がゆっくり走っているとかツッコミを入れたくもなってくるけれど、面白いから許せちゃう。 そういえば、列車が走るシーンは、ほとんど左から右だったような。ロサンゼルス発シカゴ行だから、地図上左から右にしたのかな? 7月28日記 静かなお喋り 7月27日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |