ニューヨーク、狼たちの野望(Staten Island) 2013年4月6日 DVD 出てくる三人それぞれのエピソードがあり、それらが互いに影響を与えながら結びついている映画。 一人目はマフィアのボス。この男のやることはちょっと一貫性がなくてよくわからない。スタテンアイランド全域をシマにしようと企んでいる一方、無呼吸世界記録に挑んでいたり、なぜか突然自然保護に目覚めたりする。 二人目はバキュームカーの清掃局員。生まれてくる子供に自分の優秀な遺伝子だけを残す手術を妻に受けさせるために金を欲しがっている。 三人目は、パン屋(?)に勤める口がきけない老人。闇の仕事でマフィアから送られてくる死体の処理をしている。 しかしこれらの人物、なんだか妙なやつらばかりで、よくわからない人物たちの映画だ。 この中で一番自分が感情移入しやすいのは三人目の老人。私ももう少しで声帯を無くして喋れなくなるところだったから、こういう役どころは人一倍気になる。『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』に出てきた喋れない老人にもグッとくるところがあったが、ひょっとしたら私も今頃こういう人たちのように、静かな老人になっていたかもしれない。しかし、この映画の老人はイマイチよくわからないところがある。死体処理なんていう危ない裏稼業をやるくらい金に困っているようには見えない。一応働いているんだし。それでも一攫千金を狙って競馬の3連単の一点買いなんてことを、いつもやっている。しかしその一攫千金だって、当たっても一万ドル程度じゃあ、どうってことのほどでもないだろう。それがあるとき、見事に当ててしまう。彼は考える。何が欲しいのか。まずは新しい作業着・・・って。おいおい、それなら競馬なんてしないでも、それだけの賭金で買えたんじゃないか? しかしある事件がきっかけで彼はその金の一部で銃を買うことになる。 次によくわからないのが二人目のバキュームカーの男。イーサン・ホークが演じているのだが、そういう仕事に就いている人間には見えない。彼はおそらく自分の現在の仕事に満足していないのかもしれないが、それらしさが出ていない。優しい奥さんもいるし幸せそうなのだ。潔癖症な人物でもあり年中シャワーを浴びて石鹸で身体を洗っている。生まれてくる自分の子供は優秀な頭脳の持ち主を望んでいるが、だいたいからしてその手術というのも、うさんくさい気がするんだけどねえ。仮にトンビが鷹を産んだとしても、それが子にとっても親にとって幸せかどうかなんてわからないし、今の奥さんとの生活がとても幸せそうに見えてしまうだけに、この男の行動はまったくもって理解できない。 それでもっとわからないのが、マフィアのボス。自然保護に立ち上がる前に自分の生活をなんとかしろよという感じだし、そんな目立ったことをするマフィアのボスというのもさっぱりわからない。 映画としては、つまらないわけでもなく観ていられるが、なんだったんだろうね、これ。 で、最後に一番いい役をもっていっちゃうのが喋れない老人。友達もいないように見えるこの老人、このあとどうなったんだろうね。そっちの方が気になる。 4月7日記 静かなお喋り 4月7日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |