東京難民 2014年3月11日 有楽町スバル座 原作と映画には、結構ストーリーの違いがあるらしい。 親から仕送りしてもらって東京の大学に通っている修(中村蒼)は、父親が直接振り込んでくれている学費と家賃がストップしていることを突然知らされる。父親は母親が死んだ後にフイリピン人の女性と親しくなり、どこかへ消えてしまっていた。部屋から立ち退き命令を下された修はホームレスになってしまう。ネットカフェで寝泊まりするうちに現金は無くなり、日払いアルバイトのティッシュ配りを続けるうちに、治験アルバイトの口を見つけ、かなりまとまった金を手にする。ところがその金を街で知り合った若い女性に誘われてホストクラブに行き、すべて使ってしまう。そのホストクラブで働くものの、トラブルに見舞われ逃走。日雇いのタコ部屋労働。そして最後には本格的ホームレスになって空き缶拾いや、拾った雑誌売りをするようになる。 主演の中村蒼は、チャラいキャラでもなく、お気楽な大学生活を送っている、しょーもない学生にも見えない。なんか、ごく普通の学生って感じがいい。そして、部屋を追い出されてから、なけなしの金をパチンコで摩ってしまったり、チラシ投函のアルバイトでチラシを捨ててしまうということはあっても、炊き出しのお世話になるために街を彷徨うわけでもなく、基本的に真面目に、なんとか自分で生きて行こうとする青年だ。ティッシュ配りではアドバイスを受けてちゃんと配る。ホストクラブで働いたときは、店の売り上げよりもお客さんのことを大切にする。タコ部屋労働でもちゃんと文句も言わずに働いた。借りた金は、なんとか返そうと努力する。今時の若者としても、かなりいい子だ。世間への恨みも言わないし、落ちるところまで落ちても前向きである姿勢に変わりはない。 ここまで落ちてしまうと、ホストクラブでお客さんに借りた100万円を返すあてなど無いはずだし、それでも返していこうと決心する修は偉いよなぁ。現実には、チャラにしてくれってことになっちゃうだろうし、借りた金返さない人の方が多い。ほとんどの人が、人に金を貸すときには戻ってはこないと思いながら貸すもんだろうけれど。だいたい、その100万円だってホストクラブの仲間からなんとか100万円都合つけてくれと頼まれて、修が客から借りるわけだ。人が良すぎるにもほどがあるし、貸した客も人が良すぎる。人がいいと損するだけなんだよな。そういえば最後に修の面倒をみてくれるホームレスだって人がいいよなぁ。修の財布をそのまま手つかずで返すなんて・・・。 ある意味、まだ甘いっちゃ甘い映画。ラストシーンだって、それでいいの?と思えてしまう。 世の中、すべてが金で動いている。その金が無くなった時、暗い闇の世界がパックリと開く。怖い作品だ。 それと大塚千弘っていう女優さん、きれい。ちよっときれいすぎて、こんな役に合ってないような気がするけど、いい目の保養をさせていただきました。 3月12日記 静かなお喋り 3月11日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |