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『アンストッパブル』

 この物語を映画という形で語って行く上で、ややモタモタするのは序盤だけかもしれない。貨物機関車を運転していた運転手がポイントが切り替えられていないのに気が付いて、飛び降りてポイントを手動で切り替えようとする。ところが徐行させていたつもりの機関車がフルスピードにセットされていて、無人で動き出してしまうという事故が起こる。

 一方、別の貨物車を運転していたのが、この映画の主人公たち。デンゼル・ワシントン演じるフランクは会社側から早期退職を告げられたベテラン。そしてもうひとりは新米のウィル(クリス・パイン)。ふたりは仲たがいをしている。

 この二つの貨物機関車がどうかかわるかがわかるまでが、ややモタつくかなあと思えるのだが、それとて小学生を乗せた車両と無人で動き出してしまった機関車がぶつかるかというサスペンスで結構持たせてしまう。

 このあと、ふたつの機関車が正面衝突するかというサスペンスに突入すると、焦点は一点に絞られる。こういうバニック映画のいままでありがちだったミスは、ぶつかるかぶつからないかの瀬戸際に延々と、関係者の押し問答だの、人間模様が挿入されて時間が止まってしまう事。この映画の凄さは、そういうシーンがあってもサスペンスが途切れない演出にある。

 暴走機関車をやり過ごしたフランクたちは、バックで暴走機関車を追いかけ始める。

 さあて、ここで問題。バックで追いかける機関車はともかくとしても、100キロ以上出している列車にクルマで追いかけて、追いつくものかという疑問が浮かんでくる。機関車は線路を一直線。クルマは曲がりくねった道路を他のクルマも走っている中をフルスピードで追いかけたとしても、追いつくものでしょうか? まあ、いい。列車の線路の方がグルーっと大回りしていて、クルマは一直線に突っ走り追いついたんだろうね。なにせ実話に基づいた映画なんだそうだから。

 しかし、実話に基づいてといっても、どこまでが実話なんだろう。かなりフィクションが入っていそうな気がするのだが。

 まあいいか。ラスト近くの緊迫感は、緊張のあまり血圧が上がってしまいそうだったし。

 ネタバレになるので、ぼかして書くが、最後の手段として行うあの行為、どうして最初っから気が付かなかったかねえ。まずそれをやりそうなものだけど。

2011年1月29日記

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