August.13,2000 休業告知
「さあてっと、この貼り紙を貼ってっと! わーい、夏休みだあ!」
「おいこら、カバ公! 何やってんだ!」
「何やってんだって、あっ、こりゃ、大家さん」
「何なんだよ、その貼り紙は!」
「おや? 大家さん、字が読めねえんですかい? えっへん、それじゃあアッシが読んでさしあげましょう」
「ばか! あたしが字を読めねえ訳ないだろう! その汚ねえ字は何なんだっていうんだよ!」
「そうですかい? アッシは達筆だってよく言われるんですがね」
「ばか! どこが達筆だ! これなら今時の幼稚園児の方がキレイな字を書かあ!」
「そんなに言わなくても・・・」
「それにだ、おめえ漢字を書くのが嫌えなのか?」
「へえ、パソコンなら変換一発で漢字が出てきますが、手書きってそういう訳にはいかないでしょ、辞書調べながら書くの、面倒なんっすよ」
「ばか! よく見ろ、この文章のどこに難しい漢字がある!」
「ああ、特に翁庵という字は、今だに書けねえ」
「ばか! そりゃ自分ちの屋号だろう! それくれえ書けねえでどうする!」
「よく扇庵って書いてくる人もいますがね」
「いいか、よく聞けよ! おめえ、パソコン持っているんだろ!」
「へえ、ありますが」
「それで、ワープロ機能を使って、こさえりゃあいいじゃないか!」
「そりゃあ、アッシにはできねえ」
「できねえもんか。毎朝パソコンの前に座ってるじゃあねえか。あれで何やってるんだよ!」
「毎朝毎朝、ホームページを作って、アップロードしてるだけですよ」
「それだけしかしねーのか?」
「へえ、今のところパソコンは、ホームページ制作専用機です」
「それだから、いけねえんだ。パソコンはいろんなことが出来るんだぞ。いろんなことをやってみろい。ホームページばかり作って、他のことをやらねえから、毎月このコーナーのネタがなくて、頭抱えてるじゃねえか」
「大家さん、そんなことバラさなくても・・・」
「いいか、おめえ、ワードを使ったことがねえのかい?」
「ああ、そういえば、そんな機能も付いていましたっけ」
「いいから、早くパソコンを立ち上げて、ワードを出してみろ!」
「アッシには無理ですよ」
「ぐずぐず言ってないで、早くしろい!」
「へいへい、もう強引なんだから」
「そうだ、それでいい」
「字体は、そうだな、うん、おまえんとこは蕎麦屋だから、江戸勘亭流なんかを使うといいな」
「こうですかい」
「そうだ、それでいつもFrontPage Expressで打っているようにやりゃあいいんだ」
「ええっと、こうやってこうやって変換っと」
「おお、馴れたもんじゃあねえか。さすがに毎朝ロクでも無いホームページを打っているだけのことはある」
「ロクでも無いはないじゃないですか」
「さあ、それじゃあ、早く印刷しちまいな」
「それは、アッシにはできねえ」
「何言ってるんだよ! [ファイル]というところをクリックして、[印刷]をクリックすりゃあいいんだよ」
「うーん、できねえ」
「何言ってんだよ、そんなの簡単じゃねえか」
「さっきから言ってるじゃねえですかい、アッシにはできないって」
「だから、何でなんだよ!」
「プリンターを持ってないんで」