April.30,2003 低血糖症の恐怖

4月13日 入江雅人W1劇場
       『爆走CLASH17 〜吠えよストラマー〜』 (紀伊国屋ホール)

        白鳥さんの会を無事に終え、二次会で祝杯をあげた。いい気持ちで酔った。酔っ払った。家に帰ってまた自分ひとりで呑んだ。酔いつぶれた。うううっ、二日酔いだ。ボンヤリした頭で前日の片付けの続きと、翌日のための仕込みをする。このまま一日休んでいようかと思ったのだが、机の上の入江雅人の一人芝居のチケットがこちらを、うらめしげに見ている。まあ、いいや、途中で寝てしまっても・・・と新宿へ向う。

『ダイアリーDAYS』
        ゲストの清水宏とのカラミ。入江が日記を書いているという設定で、その一日の出来事を書きながら思い出している。清水宏と『爆笑オンエアバトル』のオーデション逢った日の日記。日記を読み上げながら清水にその通りの演技をさせる。どうやら即興で演らせているようだ。即興で清水にネタを演らせたりしていじりまくる。もっとも基本的に清水宏は即興に向かない人だから、やや上滑りぎみ。そこがまた面白いのだが。「清水さんは、別れ際に心に残るような言葉を言った」 「・・・・・(即興で言わされているらしくて、やや沈黙)とびらが・・・・・あると思ったらおしまいだよ」・・・・・って何? 深い意味のあるような・・・何も無いような(笑)。

『悪童マイケル』
        機能性低血糖症の話。砂糖の取りすぎは危険だという、最近アメリカでもよく言われていることの主張。自然の食物から得られる糖分ではなく、精製されて作り出される砂糖を大量に使った食品は体内に取り入れられると、血糖値が急上昇してしまう。高血糖状態になると膵臓はインシュリンを大量に分泌することになる。この大量のホルモンの分泌が何をうながすかというと、今度は血糖値を下げすぎてしまうのだ。下がりすぎるとどうなるか、また甘いものが欲しくなってしまう。これが続くと低血糖症になってしまう。低血糖症になるとどうなるか。落ちつきがなくなる、すぐ眠くなる、すぐイライラする、脱力感に襲われる、ウツになる、攻撃的になる、キレる・・・・・。これを入江雅人は、面白おかしく解説していく。

        砂糖というのは実は中毒性があるものなのだ。アメリカ人の一日平均砂糖摂取量はスプーン50杯分だという。だから短気な人が多いのかな。日本人は、早くアメリカ型の食生活をやめ、古くからの日本食に戻すべきだと思う。最近の若者がキレやすいのはコンビニやファースト・フードばかりを食べつづけているからのような気がしてならない。これは、入江雅人だけではなく、私からの主張でもある。

『TAXIドラバー』
        今のマーチン・スコセッシやロバート・デ・ニーロしか知らない男が、映画好きの人から『タクシー・ドラバー』を観ろと薦められる。レンタル・ビデオ屋で借りてきて観てみると、そのあまりの素晴らしさに感激して本物のタクシー・ドライバーになってしまう。今日も一日の仕事を終え、『タクシー・ドライバー』を借りに行くと、ビデオが見つからない。いつもカンヌ・グランプリの棚にあったのに無い。スコセッシのところにも無い、デ・ニーロのところにも無い。あったのは[クルマもの]のジャンルの棚。『ドライビング・ミス・デイジー』と一緒に並んでいる。「このままではいつか[タクシーもの]に分類され、あのどうでもいいベッソンの『タクシー』 『タクシー2』 『タクシー3』と一緒にされてしまうかもしれない」 かくて男はトラビスとなり、レンタル・ビデオ店から『タクシー・ドライバー』を救い出すべく、盗みに入る・・・。

        『タクシー・ドライバー』は不思議な映画だ。デ・ニーロ扮するベトナム帰りの不眠症の男は、眠れないままにオールナイトの映画館に入り浸っている。映画の世界に没入するうちに、自分が映画の主人公になった気がしてくる。姿見の前で拳銃を抜くシーンはあまりにも有名。そして、この映画を観た人は、これまたしばらくトラビス病にかかってしまうだろう。自分もどこかでトラビスになっているのだ。この気持ち、わかるわかる。

『センター街のタカシ』
        センター街で、小学校3年生のタカシとおじさんが出会う。おじさんがタカシを相手にいろいろな事を話す。ルーズソックス、ウエイトレス、宇多田ヒカルが訳した『エミリー・ザ・ストレンジ』、ロシアの女性デュオt.A.T.u.、インペリアル・ドラッグ・・・、とりとめのないおじさんトークが続く。

『実録・生きていたジョー』
        レッド・ホット・チリペッパーのCDを試聴しようとすると、なぜかヘッドホーンからは丹下段平の声が聞えてくる。録音の丹下段平の声色へツッコミを入れる形でのコント。

『太陽を盗んだ男を盗んだ男』
        『TAXIドライバー』の続き。今度はジュリーの『太陽を盗んだ男』のビデオをレンタル・ビデオ屋から盗もうとする。やっと盗んで帰ってきてビテオ・デッキに入れてみると・・・。

『メカカ』
        部屋の中に蚊が一匹入りこんでいる。ところが、殺虫剤をかけても死なない。バルサンを焚いても死なない。かくてゴジラにはメカゴジラをぶつけたように、蚊にはメカ蚊をと、男はメカ蚊に乗って不死身の蚊と対決する。

        二日酔いの頭で2時間、ボンヤリと見ていたのだが、去年の『筑豊ロッキー』よりも面白かった。これで、このひとり芝居シリーズは一区切りさせるそうだが、来年も観てみたいものだなあ。


April.27,2003 席亭初体験

4月12日 三遊亭白鳥とひみつのそば屋 (人形町翁庵)

        そもそもの始まりは、去年の秋のことだった。夜の営業で私が店に出ていると、玄関でこちらを手招きしている初老の男性がいる。道でも聞きたい人なのだろうかと店の前に出ると、その人は一枚の紙を見せて、「これ、ここじゃないの?」と言うではないか。その紙を見てみると、それはチケットだった。[翁庵寄席]となっていて、日付も合っている。まるでキツネに抓まれた様とはこのこと。キツネそばは売っていても、キツネに抓まれた事はない。翁庵と言っても、世の中にはそんなに多くは無いが、ウチ以外にも何軒かは存在する。そんな一軒のひとつだろうと説明した。

        そういえば、東京近辺の演芸スケジュールを載せている『東京かわら版』を眺めていると、そば屋、すし屋、釜めし屋などで落語会を開いている情報はよく目にする。さて、私は落語好きだが、自分で落語会を開こうなどと思ったことはない。そんなこともからめて、たすけ(長井好弘)さんのホームページの掲示板にこの出来事を書き込んだところ、たすけさんはさっそく調べてくれた。翁庵寄席は神楽坂の翁庵が定期的に開いている会のようなのだ。そして、たすけさんは人形町でも演ればいいではないかと言う。しかし神楽坂は二階に大きな広間があるが、ウチではそうもいかない。「無理ですよ」と書き込みをすると、「いや、私は行ったことがあるが、あのくらいのスペースがあれば十分に落語会は可能です」と書き込みを返してきた人がいた。それがミツワセッケンさんだった。「そんな、無理だよ」と思い、わが店内をもう一度見回してみれば、「待てよ、ここにテーブルで高座を作って、このテーブルとこのテーブルを移動させて、店のありったけの椅子を並べ替えれば、三十人くらいなら入れるはずだ」と思えてきた。 そのうちにクリさんという人からも、演るならばお手伝いしますよという書き込み。あっ、クリさんといえば三遊亭白鳥のシークレット・ライブを仕切っている人だ。白鳥さんは私の大好きな噺家のひとり。「白鳥さんで落語会ができれば・・・!!」 私の胸は高鳴った。

        こうして、第一回翁庵寄席に向け、プロジェクトXは開始されたのだが、途中でアクシデントもあり、話の行違いから、一時は企画自体が暗礁に乗り上げてしまったこともあった。しかし、なかむらさん、八戒さん、ちょもさん小太郎さんといった助っ人もあとから加わってくれて、また順調に動き出したのだった。

        途中ははしょり、そして当日の朝を迎えた。・・・・・って、今回は長くなりそうなので(笑)。あっ、「いつも、長いぞ!」って、すみません(照れ笑い)。

        なにぶん、なにもかもが初めての経験になる。途中でヘバらないように、前夜はたっぷりと睡眠を取る。午前中に店の掃除をすませ、買い物に出かける。心配なのは天気。夜になって雨が降るという予報だ。会場を作るのに一時的にテーブルをいくつか外に出さなければならない。しかし雨となるとテーブルが濡れてしまう。雑貨屋に行ってビニール・シートを何枚か買う。次に履物屋に行きサンダルをひとつ買う。二階を楽屋にして、白鳥さんにはサンダルを履いて下に降りてきてもらうことになるだろう。新しいサンダルの方がいいものね。次に文房具屋へ。この日、たすけさんの著書『寄席おもしろ帖』へ、たすけさんと白鳥さんのサインを入れてもらい、特別販売をする企画も加わったのだ。そのためのサインペンを購入。

        昼過ぎ。会場作りに必要なものを店に持ち込む。さあて、次は落語会のあとの蕎麦の準備だ。釜に火を入れ、冷水機のスイッチを入れ、厨房での調理の準備をする。白衣に着替えて、いよいよ蕎麦打ち。5Kgの粉を蕎麦にする。いくら食べ放題だからといっても、このくらいあれば足りるだろうと思ったのだが、そのあと不安になってきて、もう1.5Kg分の粉を追加して、ふたたび蕎麦を打つ。

        午後三時、ミツワセッケンさん到着。続いて午後四時には、ちょもさん、小太郎さんも到着。みんなで会場設営。テーブルをふたつ並べて高座とし、それを座卓と紐で補強する。上には緋毛氈をかけ、座布団を置き、メクリ台を置立てる。即席の高座の出来あがりだ。



        写真撮影用のスポットライト照明を二本、高座に当てる。出囃子用のラジカセも準備OK。開場時間は午後五時半。白鳥さんは五時に入ると連絡があったが、五時を過ぎても来ない。五時十五分を過ぎても現れない。だんだんと心配になってくる。たすけさん到着。著書にサインを入れてもらう。午後五時半直前、白鳥さん到着。うわー、間に合った。さっそく、たすけさんがサインを入れてくれた本に白鳥さんからもサインを入れてもらう。

        お客さんも続々と集まってきた。白鳥さんと、会の進行の簡単な打ち合せ。いよいよ始まるのだなあという興奮がフツフツと沸いてくる。

        午後六時。定刻で会はスタート。まずは私が挨拶をしなければならないことになっている。ところが私は人の前で話をするのが大の苦手。こうやって文章を書くのは何でもないのだが、口下手だから、頭の中が、カーッとなってしまうのだ。そんな私だというのに実は、この日のために前説落語なるものを考えていたのだ。前日に壁の前でサラってみたのだが、自信がない。気分が乗ったら演ってやろうと思っていたのだが、やっぱり人の前に立つと言葉が上滑りしている。やっぱりこれは引っ込めることにした。では、幻の私の前説落語をここに書いておこう。

カバ公「こんちわー! こんちわー! ご隠居さん、いますかー!」
ご隠居「はいはい、どなたかな? ・・・・・ああ、カバさんかい。こっちにお上がり。・・・・・どうしたい、カバさん、きょうは何の用だい?」
カバ公「へへへへへ、ご隠居さん、ご隠居さんはいつも『私は世の中で知らないことは何もない』なんて言ってるでしょ。そこで、ひとつ教えていただきたいことがあるんですがね」
ご隠居「いかにも。私が知らないことなんて何もないな。で、カバさんは何を知りたいのかな。言ってごらん。訊くは一時の恥、訊かぬは一生の恥と言うでな」
カバ公「あのー、携帯電話なんですがね」
ご隠居「何? 携帯電話? この話の設定は何時代なんだ? ほら、突然落語もどきを始めるから、お客様も呆気にとられているじゃないか?」
カバ公「こっちも人前で落語を演るなんて初めての経験なんで、細かいことは無しで先に進んで欲しいんですがな。・・・・・あのー、携帯電話って何で携帯電話って言うんですかね?」
ご隠居「・・・・・うーん、そうだな。カバさん、お前さん、落語はお好きかな?」
カバ公「落語? ご隠居さんの前ですがね、あっしは落語、でえ好き。いやね、このあと、実は三遊亭白鳥さんの会に行くところなんで」
ご隠居「白鳥さん。おう、それは目が高いな。白鳥さんは今一番面白い噺家さんだ」
カバ公「そうでしょ? あっしも楽しみにしてるんですよ」
ご隠居「カバさんが白鳥さんの落語を聴きに行ったときにだ、ついうっかりして携帯電話の電源を切り忘れていたとする」
カバ公「へえへえ」
ご隠居「白鳥さんの落語がクライマックスに差しかかる。『芝浜』のラスト、おかみさんが本当のことを打ち明けている。客席は感動でシーンと静まり返っている。そこへだ。お前さんの携帯電話の着信音、『犬のお巡りさん』が鳴り出す」
カバ公「私の着メロ、よくご存知で・・・」
ご隠居「なっ、そんなとき、お前さんは、どんな気持ちになるかな?」
カバ公「そりゃあもう、その場にいられなくような気持ちになりますな」
ご隠居「だろ? その場にいられなくなるような気になる。もう消えてしまいたくなる。消えたくなる。消えたい。けえたい。けえたい電話。携帯電話・・・・・」
(素に戻って)「止めときゃ良かったかなあ。・・・・・おあとのお目当てをお楽しみに。携帯電話の電源を今一度お確かめください」

        演らないでよかった。

        開口一番は、立命亭八戒。プロの噺家さんではないが、どうしてどうして達者な語り口。本当か嘘か、私生活のことをマクラにふって『松竹梅』へ。クスグリも多く、面白かったのだが、席亭という立場にたっていると、あれこれと、これからの段取りを考えていると、噺を聴くことに集中ができない。



        八戒さんが座布団を返して下りてくる。さあ、いよいよ白鳥さんの出番だ。この日のために用意していたものがある。それは白鳥さんの出囃子だ。白鳥さんは出囃子のテープを持っていないと言う。寄席では『白鳥の湖』をお囃子さんが三味線で流すが、何を使ってくれてもいいとのこと。そこで、独自の出囃子を作れないかと考えたのだ。友人で音楽好きなイラストレーター水野哲也さんに、この件を依頼。最初はベンチャーズのようなアレンジで『白鳥の湖』ができないかと考えていた。そのうちに自分の頭の中で別なメロディーが浮かんできたのだ。それは映画『007』のテーマ曲。『007』のテーマが始まると見せて、主旋律に入ると、これが『白鳥の湖』になってしまうというアイデア。水野さんも、このアイデアに乗ってくれて一分ほどの曲に仕上げてくれた。水野さんに感謝。ちなみに水野哲也という人の本職はスーパーリアリズム派のイラストレーター。どんなイラストを描くのか、ここをクリックしてみて!!

        三遊亭白鳥、一席目は『アジアそば』。お客さんがマニアックな層だとわかっているらしく、普段寄席で話しているようなこととは別のマクラをふんだんにふっている。そば好きな某師匠のエピソードなど実に可笑しかったのだが、ちょっとここには書けない。『アジアそば』は、あるアジア人が日本で日本そばの店を出す噺で、いかにも白鳥さんらしい多国籍人種ワールドネタ。しかし、これも席亭という立場にいると普段客席で聴いているようには楽しめないのが辛い。



        一席目が終わって白鳥さんが下りてくる。「暑いー!」のひと言。どうやら二本のスポット・ライトの熱が強すぎるようなのだ。写真用に売っているライトを買ったのだが、これではどうやら強すぎるらしい。次回は室内照明用のものに替えよう。白鳥さんごめんなさい。

        今回の二席の演目は私が白鳥さんにリクエストしたもの。白鳥さんで行こうと思った瞬間から私の頭の中は、この二席しかないと思っていた。『アジアそば』は白鳥さんがよくかけているもの。そしてもう一席は白鳥さんの『時そば』だった。もう十年以上前だったろう、私は当時三遊亭新潟だった白鳥さんの『時そば』を聴いた事がある。その破壊的に凄い『時そば』を長いこと聴いていない。白鳥さんに問い合わせてみると、もう長いことオクラにしているのだと言う。「できたら、あれ、復活させてくれませんか?」と頼んでみると、あっさりと「いいですよ」との答え。しかも白鳥版の『時そば』は、正確には『トキそば』と書くのだと、初めて知った。これは独自のオチにかかわってくる表記なので、とりあえず演目は発表しないでおくことにした。

        白鳥さんの『時そば』は、五街道雲助師に教わったとのこと。師匠に教えてくださいと頼んだら、「やだよー。どうせ、めちゃくちゃにしちゃうんだろ」と言いながらも教えてくれたそうな。最初のそば屋を騙す客の部分は、かなり本寸法。キチンと古典落語だって出来るんだという明かしを見せつけてくれる。ただし、しっぽくがかけそばに変わっているのと、あるとんでもない理由で白鳥版の『時そば』はリヤカーを引いてやってくるのだ。

        『時そば』の面白いところは、前半の旨いそば屋と、後半の不味いそば屋との落差にある。その落差の度合いが大きければ大きいほど笑いも大きくなる。そこへいくと白鳥さんの『トキそば』は破壊的なほどの落差がある。箸はどうやら○○○から持ってきたものらしいし、丼は○○○○の○○○○○だ。ダシは何から取ったのか不明。カツオブシでもニボシでもない。「これ、何でダシ取ったの?」 「・・・・・(にこっと笑って)ひ・み・つ」 この言い方が可笑しくて、十年前から『トキそば』というと白鳥さんのこの表情を思い浮かべてしまう。会のタイトルを『三遊亭白鳥とひみつのそば屋』にしたのも、このことから来ている。

        『トキそば』のハイライトは、このあとにある。このかけそばにはダシ汁だけで中には麺が入っていない。客がそば屋のオヤジに言うと、「麺はこれから打つんですよ」と、座布団を麺の生地に見立てて、これを捏ねだすのだ!



        この反則技とも言える仕種に場内が沸きかえる。どうやら白鳥さんの『トキそば』を知らない人がほとんどのようだ。座布団を貸してくれた八戒さんも大声で笑っている。よかった。心配していたのだ。大切な座布団をあんなにして怒るかなあと思っていたのだ。座布団を捏ね、叩く、客席に舞い散るホコリ!! 次は手ぬぐいを両手に持って伸ばす。あのねえ、それはラーメンの麺の作り方だと思うんだけど・・・(笑)。「はい」って、そば屋の客に手ぬぐいの麺を放る。ちょっと、ちょっと、白鳥さん、麺を茹でてなーい!! 扇子で手ぬぐいの麺をすくい、ハグッと咥えて食べる!! 汗だらけの手ぬぐいを食べた白鳥さん、ご苦労さまです。オリジナルのオチも決まって終演。

        さあ、これからがこちらの忙しくなるところ。会場をいつものそば屋の状態に戻して、名物ねぎせいろ食べ放題が始まりだ。いやあ、みなさん食べる食べる。充分に用意しておいたつもりのそばは、ほとんど出てしまった。はたして採算があったのかどうか・・・。でもいいのだ、みなさんが喜んでくれれば。今回のことは、いつも私の『客席放浪記』を読んでくださっている皆様へのお礼だと思っている。

        一時間ほどで閉店。さあて、後片付けだ。釜や食器を洗い厨房をきれいにする。二次会をやっている居酒屋に合流できたのは四十五分後。白鳥さんや残ってくださったお客様と歓談。やってよかった。次は第二回目、秋に向けて新しいアイデアも浮かんでくる。

        末筆ながら、今回の会のためにイラストを提供してくださった、なかむら治彦さんにお礼申し上げます。なかむらさんのホームページ『なかむら記念館』および『落語別館』も是非合わせてお読みください。



April.25.2003 池袋若手解放区

4月6日 池袋演芸場四月上席夜の部

        池袋革命。休みの者が出たら代演なしで、そこにいるものだけで演るという若手落語家ばかりを集めた企画の二年目。若いマニアックなお客さんが詰めかけて盛況だという。夜の部に入る前の昼の終わりごろから入場しようという計画を立てる。入ってみると柳家さん喬『天狗裁き』を演っている最中。しめしめ、まだ客席は空いている。

        林家二楽はまずは『桃太郎』。犬にキビダンゴをあげているところ、一分二十秒。ニ楽がウルトラマン怪獣を好んでいるのを知っているお客さんも多いらしい。「メトロン星人!」と声がかかる。「ご注文のお客さん以外に、メトロン星人知っている人いますか? いないようですね。じゃあ自信を持って切ります。中にはね、ウルトラマンが安来節踊っているところなんてご注文がある。正楽師匠に、そんな注文する勇気があるのかといいたいですね」と、こちらはウルトラセブンの怪獣一分四十秒。「お花見!」 「美女と野獣!」 これはふたつ合わせて美女と野獣がお花見しているところ、三分十秒。子供から「アトム誕生!」。「テレビで見たの? テレビで見たんならいいんじゃないの? 手塚治虫先生も、もっとデザインの簡単なのにしてくれたらいいのに・・・」とブツブツ言いながら、鉄腕アトムが飛んでいるところ、三分ちょうど。

        昼の部のトリは柳家小せん。「皆様には縁の無い噺・・・貧乏の噺をしたいと思いますが」と『長屋の花見』。お茶の入った一升瓶三本、大根の漬物の蒲鉾、沢庵の卵焼きを持って花見に行こうというお馴染みの噺。「こんなもの担いで、どこ行くの? カムチッャカにでも行くのか?」 「カワウソ取りに行くわけじゃねえや」 とぼけた味わいの小せん落語には、こういうネタはよく合う。

        前座さんは古今亭いち五『元犬』。頑張ってね。

        二ツ目になりごん白改め、柳家小権太『壷算』。一荷入りの壷をニ荷入りの壷に変えてくれ言われたことから頭が混乱してしまう瀬戸物屋さん。最初の一荷の壷を見ながら「この壷が疑惑なんだよな。ここに事件の発端がある・・・?」と考え込んでしまう。その姿が小権太が演るとカワイイ。ついつい同情したくなっちゃうね」

        「前に出ました小権太、前座のときはごん白と言いました。白と書いてパクと読ませます。本名が稲葉というので、稲葉から白うさぎ。師匠が権太楼師匠なので、権を貰って権しろう、そこをごん白とした。うちの師匠さん喬も稲葉っていうんですよ。小さん師匠が最初に考えてくれたのが、稲葉家うさぎだって」 柳家喬之助は名前に関するマクラが長すぎたのか『金明竹』の序の部分だけ。使いの者も出てこない。

        金原亭馬遊の出番のちょっと前ごろから、四人組のお客さんが入ってくる。なんとか四人分まとまった席を確保した。馬遊が出てくるなり、「こうちゃーん!」と声がかかる。どうやら知り合いらしい。高座に出ているんだから芸名で呼んであげればいいのにね。「どうも自分のマニアックなファンがいるようで・・・」と、ちょっと演りにくそうに『鮑のし』。「うけたまわりますれば・・・」の呂律が回らない甚平さん、「うけ、うけ、うけたたたたた」 「なかなかエンジンがかかりませんな」 ようやくエンジンがかかると電車が発車。「だめですよ、家の中で電車ごっこしちゃあ」

        「冗談言っちゃいけねえ」でサゲた馬遊のあとを受けて、次の入船亭扇辰が「人気者のあとは演りにくい。馬遊さんサゲまで行かなかったから、またあとで出て来てサゲの部分も演ってもらいましょう」と、自分は『たらちね』。ところがこちらも、たらちねの口上まで。サゲまで演ってよー。

        いよいよ客席は埋まってきた。熱気もいつもの寄席とは違う。紙切りの林家正楽が出てくると拍手が鳴り止まなくなる。ちょっとびっくりした顔の正楽、馬(四十五秒)、相合傘(一分)。「お花見!」 「季節のご注文でございます。こないだ二月に七夕というお客様がいらっしゃいました。思い出すのがタイヘン」、二分。「白鳥さん!」 『白鳥の湖』のお囃子に乗って二羽の白鳥の間で踊る三遊亭白鳥、一分二十秒。また子供が「ミッキーマウス!」 「オジサン、ミッキーマウス大好き。すぐ切れるから」と十秒。ただ、輪郭だけ。これに目鼻をつけるのに一分。

        「私はジミな噺家なんで、ほかの人みたいには出来ません」と言う橘家文左衛門だが、この人の噺のインパクトたるやたいへんなものだ。ネタは『夏泥』なのだが、素寒貧の家に泥棒に入った男が逆に金を取られる過程が、可笑しいのなんの。財布ごと巻き上げられて逆に一文無し。その上、家の男から、「あのー、頼まれてくんないか。文左衛門の独演会のチケット買ってくれない? 二千円」

        古今亭駿菊『野ざらし』。この噺のジコチュー男ってなぜか憎めないのはどうしだろう? 釣り人がズラリと竿を立てている岸へ行き、どこで釣ろうか捜している男。「目が合うと、スッと避けたね。オレは嫌われたというのがよくわかるの。また、そういう奴の隣に行くのが性分」 なんだか客イジリの芸人みたいだね。

        三遊亭白鳥にも大きな拍手が来る。慌てて、「いやいやいや、いいんですよ、そんなに気を使わなくても」と押さえたあと、「きょう、ロビーまでやってきたら、ボクの出囃子『白鳥の湖』が鳴っているんですよ。びっくりして楽屋に行ったら高座で正楽師匠が紙切ってた」。この日は『台所の隅』。アパートの午前二時。住人に叩き殺されたゴキブリのゴキミ姉さんの葬式に、いろいろな焼香客が現れる。扇子を口に縦に咥えてバタンバタンと跳ねているのは、「太ったキツツキ?」 「いや、ノミ」。ハサミをチョキチョキする仕種の虫が現れる。「ハサミムシ? サソリ?」 「用も無いのに身体が揺れています」 「わかった! 紙切り虫!」。前にバッタリ倒れる。「バッタ?」 「いやテントウムシ」・・・・・・・・。そういえばいよいよ来週はウチの店で白鳥さんの落語会がある。演目はもう決まっているが、この噺だけはして欲しくないなあ。

        三遊亭萬窓は、これは珍しい『伽羅の下駄』。吉原へ通いつめている仙台の殿様が、吉原帰りの朝、咽喉が乾いたので豆腐屋へ寄って水を飲ませてもらう。礼だと、履いていた伽羅でできた下駄を豆腐屋にあげるという噺。たわいない噺で、脱力的なオチ以外何も無い噺なのだが、妙に気持ちがいいのだ。ふわあっとした気持ちになって仲入り。

        後半の幕が上がる。仲入り後は、喬太郎、三太楼、たい平の三人で務めることになる。はたして幕が上がって何人が揃っているやら。おおっ! 座布団が三つ。三人とももう来ているらしい。三人が座布団に座る。「六日目にして初めて並んだね」。昔の池袋演芸場の話から、三人の愉しい前座時代の話になる。そこから、当時前座名が、かな文だった橘家文左衛門のエピソードが次々と暴露されていく。これが実に面白いのだが、ここには書けない。着替えて箒を持って出てきた文左衛門を「あんた不良のハリー・ポッターみたい」

        柳家三太楼『小言幸兵衛』。貸屋を借りにやってくる最初の人に、「御職業は?」と問えば、「豆腐屋だ」と乱暴な答え。「豆腐屋? さっき聞いたな(萬窓の『伽羅の下駄』)。商売変えをしようかと思ったがそうもいかない」 三太楼の大家は、嫌味がないのが聴いていて気持ちがいい。

        三太楼が心中のお経のとろこでサゲて引っ込むと、柳家喬太郎が替わって出てくる。と、突然、「冗談じゃない、それじゃ心中になっちまうじゃないか」と続けて、『小言幸兵衛』の続きが始まってしまった。最近あまり聴かない『小言幸兵衛』の本当のサゲの部分だ。ポンポンと言う乱暴者で、「んっ? お前さん、文左衛門か?」というクスグリを挟んで、鉄砲鍛冶に繋げて下げるとペコリとお辞儀をして楽屋に引っ込んでしまった。また出囃子が鳴って喬太郎が出てくる。「なんだか幻のようなものを観ましたかね」と、何事もなかったように自分の噺に入った。この日のお客さんはマニアックな人が多いと知ってるんだろう、お客さんにクスグリを入れる。「お客さん、このあと演芸場を一歩出たら、『オレは落語好きだ』なんて言えないでしょう。『落語にはまってる』なんて言ったら村八分でしょ。ぼくらは負を背負って生きているんですよ」と、落研の学生の青春を描いた『すみれ荘二○一号』へ。『東京ホテトル音頭』もアンサーソングの『大江戸ホテトル小唄』まで加えての熱唱。「(客席に)お子さんがいるけどいいんですかね・・・いや、連れて来る親が悪いんだ。きょうはボクが愉しければいいの!」 クライマックス、ユミコが同棲相手に切々と語る。「おとうさんが落研、おかあさんが落研、生まれて来る子は先天的な落研。そんな子供、作れないじゃない・・・。(急に素に戻った感じで)本当にそんな師匠いるんだよ。だから、その師匠、この噺嫌いらしい。誰かとは言えないけれど・・・三太楼の師匠」 マニアックな夜だなあ。

        今宵のトリは林家たい平『幾代餅』。クスグリにさかんに新幹線だの、いくよくるよだの、笑点だのといった現代を取り入れ、そのたびに登場人物に「江戸時代なんだよ」と突っ込みを入れさせる。面白いんだけど、余計なサービスかなあと思っていたら、クライマックスでビシッと締まった。身分を偽って吉原に上がった奉公人の清蔵が幾代大夫と一晩を共にした朝のところだ。「今度、いつ来てくんなますか?」の大夫の問いに、「あと一年・・・」と搾り出すように答える清蔵。「野田の醤油問屋の若旦那・・・?」と不思議がる大夫。「はい、はい、はあ、はあ!」と思いきって自分の身分を打ち明けようとする前触れの表情がいい。打ち明けられた後の大夫の表情も絶品。そして、「あちきは、来年三月、年期が明けるんでありんす。そのときは・・・、そのときは・・・、あちきのようものでも・・・女房にしてくんなますか?」。この思い入れたっぷりの大夫の台詞に、思わずグッと来てしまった私だった。

        池袋開放区。また来年といわずに、もっと若手だけの芝居を見たい!




池袋の象徴、いけふくろう


April.20,2003 病み上がりとは思えないパワー全開のひとり芝居

4月5日 清水宏サタデーナイトライブ15 (下北沢スズナリ)
      白清水VS黒清水

『きのこのお兄さん』
        子供番組のお兄さんのような格好をした清水宏。笛を吹いて子供たちに催眠術をかけ、納沙布岬まで連れて来る。ここに夢の王国を作ろうというわけだ。自分が勝手に大統領になり、子供たちに踊りを見せたり、シュールな紙芝居を見せたりする。客いじりに入るのかと思ったら、なぜか客いじりは無し。ほっ、よかった。

『フリー・トーク』
        今年の始めに肝炎で1ヶ月入院してしまった清水宏。酒の呑みすぎかと思っていたら、なま物に当ったウイルス性の肝炎だったという。病室で一緒になった人たちとの、大笑いの闘病記。特にハラグチさんという不思議な人物との病院脱出劇は傑作。約30分ほど話していたろうか。この清水自身が体験した話は、去年の塾の先生といい、どこか誇張があるのかもしれないが抜群の面白さがある。

『演劇少女A』
        田舎から出て来て演劇をやってる少女。ついつい流されしまう性格らしい。知り合った仲間マルカワくんに騙されて借金生活。流されて流されてなぜか新興宗教に入ってしまう日々。すると・・・。流されて流されてしまう少女が行きつく先は、唖然とするオチが付いていた。

『日替わりゲストコント』
        この日のゲストは大倉孝二。ナイロン100℃の役者さん。ああ、映画『ピンポン』でアクマ役をやった人だ。清水の店で万引きをして捕まったのが大倉という設定。ほとんど清水が一方的に喋って進めて行く。どこまで打ち合わせが出来ているのかわからないが、かなりアドリブが多そう。

『掃除屋アドベンチャー〜おれは現場の人間だぜ〜』
        田中邦衛似の邦衛さん、オタク人間のオタクさんを連れた掃除屋の店長が、渋谷のパルコを掃除する。清水宏にかかるとビル掃除も大冒険になってしまう。

『シンバル漫談』
        腹の立つことを切りまくるシンバル漫談連発。キムタクのドラマから若者言葉、街で出会った人まで。「アイフルのテレビCM、昔は弾けてましたね。『恋人のように親身になって金を貸します』。それが最近のは、ペットショップで娘に犬を買ってくれと言われ、そのチワワを見たオヤジの顔が変わるやつ。♪どうする アイフル・・・。どうもせんわ! ぶっ殺せ!!」

        入院と聞いて心配したけれど、どうやらパワー全開のようだ(笑)。


April.5,2003 気分は中国の広大な世界

3月30日 『シルクロードの旅』 (国立演芸場)

        国立演芸場へ入ったら、ロビーで林家木久蔵がグッズを売っていた。その場でサインを入れるサービスぶり。木久蔵ラーメンを買おうかどうしようか迷ったが、開演の時間が迫っていたので、そのまま客席へ。

        前座は無く、プログラムどおり春風亭笑橋から始まる。中国の肉まんの発祥の歴史から説き起こすマクラは、今回の企画にふさわしい『饅頭こわい』。こういうマクラ無しだと、なにが日中国交30周年企画だかわからなくなる。みんなを騙して饅頭を食いまくる源ちゃんが、笑橋にかかると、どこか憎めないカワイイ人物に描かれている。

        宝井琴梅の演目は芥川龍之介原作の『杜子春』。聴いているうちに思い出した。そうだ、そういえば中学時代に読んだ記憶がある短編小説だ。[シンセサイザー・コウダン]なのだそうで、ところどころでシンセサイザーの音楽が入る。NHKの番組で使われるような雄大な雰囲気を持った曲でラストを締めくくり、心は唐の時代の洛陽の都。この芥川龍之介の物語を久々に聴いて、つくづくこの作家はたいへんなストーリー・テラーだったのだと思い到る。前半の遊び呆ける杜子春から、仙人になろうと修業しようとする杜子春。そして衝撃的なラストまで、琴梅の講談とシンセサイザーの音楽は、芥川の物語をより感動的に伝えてくれた。

        ここでなぜか曲独楽の三増巳也ちゃん。「曲独楽とシルクロードと何の関係があるのかとお思いでしょう」と言いながら、ひたすら曲独楽の芸を披露する巳也ちゃん。まっ、いいじゃない。独楽がスルスルスルッと万灯の中に上って行き、パッと万灯が開いて満場から拍手。お見事!

        「アメリカはパン食うのに米国。日本はごはん食べているのにジャパン。・・・こういうことに気がつくんですから、私はバカじゃないんですよ」 林家木久蔵は中国にラーメン屋を出そうと思い立ち、中国との橋渡しをして貰おうと田中角栄に会いに行ったという話『ラーメンは人類を救う』(ラーメンのスープは人がすくう)。中国にラーメン屋を出したいと角栄に言うと、「あたしが中国に行ったのはラーメン食べに行ったんじゃない!」とカンカンに怒らせてしまう。そこは気の短い彦六の正蔵を師匠に持った木久蔵、扱いは慣れている。「わがラーメン党は会員が一万人おりますが・・・」と言った途端、角栄の顔が変わり「そういうことは早く言いなさい」とガラリと態度が豹変した・・・って、たぶん本当なんだろうなあと思う。それにしても、中国にラーメン屋を出そうという発想、そのために田中角栄に会いに行こうという発想自体が凄いとしか言いようが無い(笑)。

        「中国は日本とはスケールが違いますからね。『向こうの空き地に塀が出来たね』 『へー』なんて小噺は中国では通じない。『モンゴルとの国境に万里の長城が出来たね』 『へー』」 柳家小ゑん『鉄拐』。中国の貿易商上海屋が毎年行っている新年会の余興、年々セコくなっていく。なにかいい芸人はいないかと捜しまわるが、「大仏持ち上げる人がいる」と聞いて行ってみると、ただ大仏餅を持ち上げているだけだったり、「息もしないで宙に浮いている人がいる」と聞いて行ってみると、ただ首吊って死んでいる人だったり、「青龍刀を一飲み!」と聞いて行ってみると、青龍刀という名の老酒だったり、「半魚人と人魚の間の子」と聞いて行ってみると、ただの魚だったりする。そんな失敗を繰り返すうちに、一身分体の術を会得したという鉄拐という仙人にめぐり合う・・・。あまり演り手のいない噺だが、なんとも中国的な雄大なホラ話という感じで楽しい。

        孟仲芳の中国琵琶演奏。まずは『涙そうそう』だったのでびっくり。なんで沖縄? 二曲目は変拍子の『パミール高原の春』。あまりの気持ちよさに、ちょっと眠くなってウツラウツラしてしまう。一番良かったのはシンセサイザーも交えて演奏された三曲目ラスト・ナンバー『あの頃』。中国の風景が浮かんできそう。

        トリは、梅田佳声・作の『西太后の沓』。去年の八月に神田松鯉で聴いているが、今回は宝井馬琴。タイトルの西太后の沓が出てくるのは噺の最後。それまでがけっこう長い。それでも、ははあこれが言いたくてここまで引っ張ってきたんだと思わせる構成力が見事だと思う作品だ。これからの講談界の宝になるかも。

        予定時間を一時間近くオーバーしての終演となり、腹減ったー! さて、木久蔵ラーメンでも買って帰ろうかと思ったが、どうやら売り切れらしい。仕方ない、赤坂にぬけてラーメン屋に寄りますか。しかし、ラーメンねえ・・・あれは日本の料理だよね。


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