May.23,2006 超満員の大型連休、真打昇進披露目興行

5月5日 新宿末廣亭5月上席夜の部

        春風亭昇輔改め瀧川鯉朝真打昇進披露興行が始まった。鯉朝師匠がトリを取る日が発表されたときに、自分のスケジュール帳を見てみると、行かれるのは5月5日、大型連休のド真ん中の日しか無い。こりゃあ、混雑するだろうなあと思ったがしょーがない。それならそれで早く行けばいいというのに、グズグスしていたものだから、末廣亭の前に着いたときには長い列が出来ていた。しかも、昼の部からの居残り組も多そう。



        木戸をくぐってみると、ちょうど2階が開いたところ。2階に上がろうかとも思ったが、なんとか1階の桟敷に空間を見つけて、そこに潜り込む。

        開口一番は瀧川鯉斗『道灌』。噺家になってもう一年。上手くなってきたね。

        『鯉のぼり』の出囃子に乗って滝川鯉之助が出てくる。子供の日に『鯉のぼり』が聴けるとはうれしい。「ウチの師匠が昨年、瀧川を名乗るようになりまして、一門の者も多くは瀧川になりました。瀧川というのは古くからある名前でして、大正時代からある。たいしょう古い」 ネタは『強情灸』

        ノコギリ音楽の都家歌六。この日の曲は『憧れのハワイ航路』 『影を慕いて』 『フィガロの結婚・恋とはどんなものかしら』 『ハンガリー舞曲第5番』 へえ〜、ブラームスかあ。

        春風亭柳好『動物園』。またまた出ました珍獣の数々。ケツの青い猿、しまんない縞馬、アサヒの好きなキリン。うふふ。

        春風亭伯枝『黄金の大黒』。大型連休興行のせいか出演者の数も多い。多くの人が短縮バージョン。伯枝も全力ですっ飛ばしている感じ。

        小天華の無言マジックも早い早い。

        春風亭柳桜は本の宣伝から『人形買い』。子供の日にこのネタが聴けるのは、これまたうれしい。

        テレビのバラエティー番組で人気者の三笑亭夢之助は漫談。痴漢の話やら健康診断の話。

        漫才のWモアモアは夫婦生活ネタ。こういうの、寄席に来る中高年の客層にはよく受けている。

        瀧川鯉昇登場。「最近明るい話といいますと、町内に住んでいるおじさんが3年ぶりに刑務所から出てくるっていう話題ですかね。近所の人たちがパン屋で、出所祝いのケーキを作ってプレゼントしたら、『オレはもうケーキはこりごりだ』」 爆笑のマクラを何本かやって、『粗忽の釘』へ。これもよくぞこの短い時間でまとめたという短縮バージョン。

        春風亭小柳枝『青菜』。「ときに植木屋さん、菜のおひたしはお好きかな?」 「菜は嫌れいだ!」 「あのなあ」 「あの菜もこの菜も嫌れいだ!」 スピード感のある『青菜』だ。

        仲入りで、鯉之助と鯉橋が、例の西原理恵子のイラスト入り鯉朝風呂敷の販売。ひとつ2000円。飛ぶように売れて、この日の分は完売。

        仲入り後は真打昇進の口上。春風亭昇太が司会で春風亭柳之助、瀧川鯉朝、春風亭昇之進を挟むように、師匠の瀧川鯉昇と春風亭小柳枝。それに三遊亭小遊三。ここでもやっぱり一番笑いを取っていたのは鯉昇。弟子の鯉朝をいじるいじる。

        「空き巣が入りやすいのは、ゴールデンウイーク期間中。中でも5月5日。さらに中でも7時〜8時ごろに集中しますとか」と笑わせて、春風亭柳之助『新聞記事』

        「セクハラ、パラハラなんていわれますが、ギャグハラというのもあるようでして」と春風亭昇之進『シャレ社長』。取引先の社長の接待を言いつけられた社員。この社長、落研出身でシャレを言うのが大好きなのだが、そのセンスたるや古すぎてついていけない。ご機嫌を取るためにはひとつひとつ的確なツッコミを入れなくてはならなくなり・・・・・。いるよね、こういう人。

        東京ボーイズは3人だというのに、ほとんど持ち時間は5分。『漕げよマイケル』と『中の島ブルース』だけ。

        春風亭昇太は、例の抱きつき『壷算』。この人だけのこのアイデア部分、他の追随を許さないくらいの破壊力がある。いつ観ても涙が止まらなくなるほど笑ってしまう。

        三遊亭小遊三は、振り込め詐欺のマクラから『夏泥』へ。じっくり聴かせるというよりは、快調に飛ばす。こういう『夏泥』も悪くない。

        ボンボンブラザースの曲芸も、5分バージョンだ。早い早い。

        トリの瀧川鯉朝が出てくると、いつまでも拍手が鳴り止まない。泣きまねをしてみせて「おか〜さん、うれしい!」 国勢調査のマクラから『竹の水仙』。笑福亭鶴光から貰ったというこの噺、鯉朝のを聴くのは先月に続いて2回目だが、この人らしいクスグリも入れながら、それでいてダイナミックな噺に仕上げている。うん、これならいつ主任になっても大丈夫だ。


May.14,2006 ハマでのんびり上方落語の夜

5月4日 上方落語会 (横浜にぎわい座)

        東にさん喬あれば、西に三喬あり。上方落語に詳しいMさんに以前から「是非一度、三喬を聴いて欲しい」と言われ続けていた。その三喬が、にぎわい座へ来るという。この機会に是非とも耳にしておこう。昼夜二回興行の夜の部。出演者は同じだがネタは違うという。昼で行くか夜で行くか、はたまたと通しで行くか迷ったものの、「大型連休を東京でのんびりと」と決めた私は、昼間は家にいたい。それで夜の部へ。といっても開演5時はまだ夕方じゃん。どうやら出演者がその日の新幹線で上方に帰る必要があるので、こんな早い時間の開演になったらしい。指定の席に着くとMさんの姿が3列ほど前に見える。

        上方の噺家さんは東京に来ると、必ずといっていいほど東京の言葉と大阪の言葉の違いを話題にする。「たとえば東京で『このハンカチを落としたのは、あなたですか?』 『このハンカチは私のではありません』言いますが、大阪はもっと短くてすみます。『このハンカチ、あんたんとちゃう?』 『ちゃう』」 桂壱之輔『手水廻し』。地方の宿屋へ大阪人が泊まり、「ちょうずをまわしてくれ」と言われるが、その意味がわからないという話。この噺での地方とは京都の丹波ということらしい。あとから関西弁について詳しいMさんから聞いたのだが、宿に泊った人はちゃんとした大阪弁。宿の人はちゃんと京都弁だったそうだが、私のような東京人には、どちらも同じ言葉に聴こえてしまうのだよ。思い切って東北の宿にでも泊まってくれれば、もっとクッキリとするのになあ、と私の勝手な気持ち(笑)。

        桂吉弥は、「かんてきって何のことだか知ってますかあ」と観客に問いかけるが無反応。「では、知っているということで始めさせてもらいますぅ」と『時うどん』に入る。かんてきとは東京でいう七輪のこと。上方ではまだこういう言い方をしているのだろうか? 詳しい説明が欲しかったところだが、まあ、筋には関係ないことだからいいのかな? 『時うどん』は、これまた東京では『時そば』。ふ〜ん、『時そば』ではちくわ(及びちくわぶ)だったが、『時うどん』はかまぼこで演ってるんだあ。

        いよいよ本日のお目当て笑福亭三喬。どうやらマクラは定番の『我家のアルバム』というものらしい。自分の中学3年生の息子の現代国語のテストの話。「熟語の問題。親子の顔がそっくり。これは瓜二つでしょ。息子が書いたのが顔二つ。ぐっすり寝込んで起きないこと。これは熟睡。息子が書いたのは永眠」 ほんとかね(笑)。ネタは『おごろもち盗人』。ははあ、これは東京では『もぐら泥』だあ。冒頭の商家の旦那が算盤を弾いている仕種から引き込まれる。こういう商家の噺というのは、案外上方の方が様になる。「えーと、小沢さんの払いを、半分、小泉さんに付けとこか」なんてくすぐりの独り言も冴える。細引きで縛られてしまった泥棒の脅したり泣き言を言ったりのやりとりが可笑しい。ちょっとごっつい顔でありながら妙に愛嬌のある顔立ちが、こういう噺向き。三喬初体験、これほど楽しい噺家が上方にはまだまだいるんだなあ。

        月亭八方も関西と東京に文化の違いをマクラにする。整列して電車に乗るということをしない関西の文化。それを八方は「待つということが出来ない文化」と位置づける。ネタが『算段の平兵衛』。こういうブラックなネタも、案外大阪弁だから気楽に聴く事ができるのかも。

        この日、私が一番ハマったのは実は笑福亭仁智『目指せ甲子園』。PL学園ならぬLP学園の今年の選手のことを話す二人のの会話で成り立っている噺なのだが、その面白いこと! 「ファーストは清原。LP学園のカール・ルイスと言われてます」 「ほう、足が速いんですか?」 「いや、色が黒いんです。ショートが山田太郎」 「ドカベンですか? 体力がありそうですね」 「いや、虚弱体質でして、炎天下だと3分しか持たない。ウルトラマンタロウと言われています。サードが三拍子氏揃った大型内野手」 「攻・走・守揃っているんですね」 「いや、飲む・打つ・買う」 「それで大型なんですか?」 「いや、血液型がO型」 こんな調子がずーっと続く。東京でいうと、柳昇→桃太郎ラインの笑いと似ているかもしれない。

        トリが春団治の弟子の桂春之輔。「春団治の弟子ということで誤解されることが多いんですわ。♪芸の為なら女房も泣かす・・・・・って歌ありますやろ。私、今まで一度も女房泣かしたことがない・・・・・泣かされたことはしょっちゅうありますが・・・」 ネタはこれも東京ではなかなか聴けない『親子茶屋』をたっぷり。

        ハネて、昼夜通しで観たというMさんと居酒屋でビール。5連休の2日目、しかもハネたのが7時30分。ふたりで落語の話に花が咲いた。こういうのんびりした気分っていいなあ。


May.5,2006 真っ昼間寄席

4月23日 堀之内寄席 (高円寺・妙法寺)

        毎月23日の昼間、かの『堀の内』のお祖師さま妙法寺で行われている落語会。以前から気になっていたのだが、今月は日曜日に当たることでもあるし、思い切って出かけることにした。丸の内線の東高円寺で降りて地上に出ると、青梅街道だ。そういえば、その昔、ここにあったスナックのマスターと話がしたくて、よくやってきたことがあったっけ。蚕糸の森公園を左に見て、阿佐ヶ谷方面に歩き、環七の高円寺陸橋をくぐる交差点を渡って左折。地図で想像していたよりは歩いたなあと思ったあたりで右側に、やくよけ祖師妙法寺に看板が見えてきた。「さあて、急がなくては落語会が始まっちゃうよう」と慌てて境内に入ったが、この境内がこれまた広い! 慌て者、粗忽者はこれだからいけない。まずは祖師堂へ行って手を合わす。「私の粗忽が直りますように」 これでよし。では、お昼を使わせていただきますか。人間、落ち着かなくちゃいけない。ええっと、風呂敷包みに包んできたお弁当を開いてと・・・・これは枕じゃないか! ・・・・・ってマクラはこのへんにいたしまして・・・・・・

        落語会は祖師堂の隣にある休憩所で行われているのでありました。半纏を着たボランティアらしい人たちが何人か受付をしている。500円払うと、靴を入れるビニール袋と、お菓子が入った紙袋をくれた。靴を脱いでビニール袋に入れ会場に。広い! 奥に高座が作られ、前の方は桟敷席で座布団が敷かれ、後の方にはパイプ椅子がたくさん置かれている。椅子席はほぼ満席。桟敷の座布団に座り込む。まだ開演時間前だというのに、春風亭昇輔改め瀧川鯉朝が、めくり台の前で何やら前説のようなことをやっている。本日の出演者の紹介、そして今回限りで自分がこの会を抜けるということを説明している。ようするにこの会は、落語芸術協会の二ツ目が運営する会で、自分は来月から真打ちになるので卒業ということを説明しているらしい。いつもは出演者は3人なのだが、この日は特別に自分も一席やらせてくださいと述べると、いよいよ落語会の開演だ。

        「相撲取りの世界も噺家の世界も、厳格な上下関係があります。相撲の世界ですと、序の口、序二段、三段目、幕下、十両、前頭、小結、関脇、大関、横綱と上がっていきます。噺家の場合は、前座、二ツ目、真打ち。そこから先は名人、わがまま、膝が痛い」 昔昔亭慎太郎は以前聴いたことのある噺だ。子供が父親に動物園に連れて行ってやると言われて競馬場に連れて行かれたり、デズニーランドに連れて行ってやると言われて花やしきに連れて行かれたりするネタ。『家族旅行作文』っていうのかな?

        橘ノ昇美依は、2月の深夜寄席でもかけていた『片棒』。現代女性らしくブランド名などをふんだんに盛り込んだ明るい仕上がりだ。

        いよいよ堀之内寄席最後となる春風亭昇輔。感無量の様。楽しい漫談をしてから入ったのが『竹の水仙』。これには驚いた。私は昇輔の古典を今まで聴いたことがなかったのだ。いつも耳にするのは新作。いやあ、この『竹の水仙』は絶品だ。最近は喬太郎で耳にするものがいい出来だと思っていたが、昇輔のも観劣りがしないと言っていい。あの小さな身体から、こういうダイナミックな噺が出てこようとは(昇輔さん、ごめんなさい)。昇輔→鯉朝の古典、これからは要注目だ。

        仲入り。お茶の自動給湯器から紙コップにお茶を入れて、入口で貰ったお菓子の袋を開く。

        きな粉をまぶした餅菓子と、ねぎみそせんべい。これが付いて入場料500円って! 末廣亭深夜寄席も鈴本早朝寄席も500円。こりゃあ断然堀之内寄席昼間寄席の方がお得じゃない? 客層は年齢層がかなり高い。ご老人が全体のほとんどを占めている。しかもどうやら常連さんばかりのようだ。その中を昇輔が真打披露興行のチケットを売って歩く。これが実によく売れている。いいお客さんばかりだなあ。

        仲入り後は、三笑亭恋生『二番煎じ』。熱い猪鍋を食べる仕種が、いかにも熱そう。でももう春だよー(笑)。

        春が来た。昇輔さん、いよいよ真打になって瀧川鯉朝師匠になる。出演者仲間が蝋燭を立てたケーキを持ってやってくる。「手作りケーキですよ」 「嘘つけ! アンデルセンって書いてあるじゃないか!」 火を吹き消して、お客さんと一緒に三本締め。

        「チーフプロデューサーとして今までやってきましたが、次回からは今までアシスタントプロデューサーとしてやってきてくれた人にバトンタッチします。(楽屋に)キンちゃ〜ん」 えっ! もしかしてと思ったら出てきたのは、やっぱり古今亭錦之輔じゃないの!

        ハネて全員が一丸となって後片付けをしている。昇輔さん、錦之輔さんに挨拶。「プロデューサーなんですって?」 「ウサギ当番みたいなもんです。錦之輔くんが菜っ葉係り」 なんでもメクリの寄席文字も全て昇輔さんが書いていたそうで、三味線、太鼓、笛の出囃子も出演者がナマで演っている。こんなこと、深夜寄席でも早朝寄席でも考えられない。堀之内寄席。私は真っ昼間寄席と呼ぼう。第三の二ツ目寄席だ。23日に休みになったときは、なるべく観に行こうっと!


May.4,2006 無限の可能性

4月22日 『無限落語の会』 (お江戸日本橋亭)

        150人集ったという前回に比べ、今回はお客さんが少ない。やっぱり白鳥、喬太郎の集客力に比べると今回は人気の噺家が少ないということなのか。それでも、どんな新しい新しい落語が生まれるのか興味のある観客の熱気は伝わってくる。

        開口一番は三遊亭たん丈『未来爺さん』。サラリーマンが道で「未来が見える」というお爺さんと出会う。それが、「お前の部屋に私がいるのが見える」とか、「一緒に何かを食べている」とか、妙にこれからのことを仕向けようとしているらしい・・・・・って、気づけよサラリーマン(笑)。たん丈の新作って初めて聴いた。発想は面白い。頑張ってね。

        三遊亭天どん『公園孫対決』。公園で張り合っているふたりのお爺さん。ひとりが孫を連れてやってきて孫自慢を始める。悔しがったもうひとりのお爺さんは家に帰って息子に「孫を出せ」と言うが、残念ながら息子はまだ独身。そこで無理矢理に犬を孫だと言って連れて来るが・・・・・。師匠円丈のラインだなあと思って聴いていると、後半に入って、桃太郎だの金太郎だのの狂気な世界に突入してからが、天どんらしくて面白かった。この行くところまで行ってしまう展開がこの人の武器になっていくのかもしれない。

        春風亭栄助『騎馬戦いつまでも』。騎馬戦部というのを作った4人組、実は一度も練習をしたこともなく部室で菓子パン食べてエロい妄想をしていただけ。ところが体育祭で騎馬戦をやることになる。相手は不良チームやら、スポーツ自慢の連中ばかり。そこで彼らの取った作戦とは・・・・・。騎馬を組んだ4人の誰が台詞を言っているのかを組んだ形で演るアイデアがいい。この日の中では、一番明るい笑いが取れていたように思う。

        柳家小ゑん『趣味は読書』は、もてない男が本屋で軟派する噺。『有名小説名文辞典』なる本で即席に仕入れた知識で女の子の気を引こうとするが・・・・・。落語の黄金のパターン[付け焼刃]ギャグの応用。このパターンは不滅だし、必ず笑える。もてない男と、メルヘンな女性の描き方が小ゑんらしくて楽しい。

        仲入り後の、食いつき及び膝がペペ桜井。持ち時間が寄席のときより長く、たっぷり。

        トリの三遊亭円丈『冷血』。老人ホームでボンティアをしている男、実は密かに人を殺してみたいと思っていて、常に拳銃を持ち歩いている。「助け合いと殺し合い。足すと丁度いい」 殺すからには悪人を殺そうと歌舞伎町にやってくるが・・・・・。相当にブラックな噺なのだが、ちゃんと笑いに繋げているところは、さすがに円丈だ。

        5本の新作ネタおろし。噺家さんもたいへんな苦しみをしながら生み出したネタなんだろう。お客さんも真剣に聴いている。きっとこの会のタイトルどおり、新作落語にはまだまだ無限の可能性があるに違いない。


May.3,2006 ちょっと苦手な向田作品

4月16日 『びっくり箱−姉妹編ー』 (紀伊國屋ホール)

        長野に住む岸本とし子(余貴美子)は、定職を持たない米倉(永島敏行)という男と同棲生活を続けている。そんなところへ、東京で看護士をやっている妹の岸本厚子(沢口靖子)が帰ってくる。厚子は田島(佐藤重幸)というフリーターの男を連れている。どうやら彼と結婚するようだ。姉妹の両親はすでに亡くなっているが、母親からは常に「男性とのお付き合いは、特に慎重にお願いします。きちんとした学歴、いばって名刺が出せる職業、妻子を養っていける収入は、夫なる最低の必要条件だと思います」と言われ続けていた。それが2人とも掴んだのが、それらの条件に合わない男だったとは・・・・・。

        向田邦子の作品は、私はどちらかというと苦手。しっかりした意志を持った女。それに反して男はみんなダメ男。男は女の掌の中で動いているといった構造が多い気がする。私もどちらかというとダメ男だから、こういうの見ると、結構落ち込んだりする。

        小宮孝泰さんは、お得意(?)の[隣の男]といった役回り。ユーモラスな芝居ですが、小宮さんはより笑いの要素を盛り上げる重要な位置。主演の2人の男性同様ダメ男なのだが、ラストはカッコイイところを観せてくれる、いい役を貰った感じ。

        終演後、ロビーで西田敏行の姿を見かけた。関係者に絶賛ともいえる言葉をかけていた。いかにも西田敏行が好きそうな芝居なんだなと思った。私はというと、先に書いたように、良かったけど、ちょっと落ち込んでしまった。


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