August.29,2006 焼肉食べよか、うなぎにしよか
8月26日 鈴本演芸場8月下席 昼の部
御徒町のどこかの店で昼食をとってから入場しようと思っていたのに、いつもの事ではあるけれど家を出遅れてしまった。仕方なく松坂屋の地下で弁当を買って鈴本演芸場へ。客席に入ってみると、もう前座さんの開口一番が始まっている。柳亭市朗の『天失気』だ。恐れてはいたが土曜の昼席とあって客席はもうほぼいっぱいだ。上手いっぱいの前の方に空席を見つけ滑り込む。ここはやや観にくい位置なのだが仕方ない。遅れてきた自分が悪いんだもん。市朗さんには悪いけれど、私はここでお食事タイム。中華弁当をかっ込む。
「小遊三師匠と九州に営業の仕事に行ったとき、旅館で刺身が出まして、それを食べた小遊三師匠が盛んにおいしいとおっしゃる。『これ何の魚だろう。オレは鯛だと思うがな』って中居さんに訊くと、『それはコンニャクでございます』」 林家きくおは『鯛』。
アサダ二世のマジック。寄席のマジックは、なんとなくトリックがわかってしまうものが多いがこの人のはわからない。水の手品と、風船からハンカチを出す手品。「どうだ、まいったろう!」と笑う姿はかっこいい。本人も得意だろうな、これだけ鮮やかだと。
神田茜は新作講談『赤穂義士伝 好き好き金右衛門様』。吉良邸の絵図面を手にようと、吉良邸を作った棟梁の娘に近づく岡野金右衛門の噺といえば、立川志の輔の『忠臣ぐらっ』を思い出すが、茜ともなると女性の視点から見た噺になる。棟梁の娘は美人という設定だが、これを不美人だという設定に変えている。金右衛門はあくまで絵図面を手に入れるだけの目的。娘に対して色恋ざたなんて感じていない。吉良を討ち取り、行進する義士の前に現れた娘に金右衛門が「化け物!」とかける一言。せつない、せつない。さらにそのあとで受け取った手紙の真相は・・・・・これも、せつない、せつない。やがて娘は別の人と結婚して幸せに暮しましたとさと結ぶ最後はあまりに取ってつけたよう。せつなさだけが残る。
「結婚式には禁句というものがございますね。別れるとか切れるなんていうのは言ってはいけないものとされます。私たちも余興で結婚式に呼ばれたりしますが、紙切りの師匠が呼ばれた事があった。『紙切りというのは、切れるにかかりますから、紙工術ということにしましょう』ということにしたのですが、紙切りの師匠、高座に上がるなり、『さあ、何を切りましょう』」 桂南喬は『松竹梅』。
客席がいよいよ混んできた。お茶子さんがお客さんを空いている席に誘導している。鈴本は上手から出演者が登場するのだが、下手はお囃子さんの席。太鼓の音がよく客席に届くようにという配慮なのだろう。出囃子のときは下手の戸を開けている。前座さんが太鼓を叩いているのが私の座った位置からは見えるのだが、その前座さんの太鼓の叩き方が気になったらしく、柳家喜多八がバチを受け取って見本を見せている。なるほど、さすがに喜多八の叩き方は上手い。大空遊平・かほりの漫才は、いつも同じようでいて、新しいネタが入っている。「どういう老後を過ごしたい?」 「ぼくは、縁側に座って猫抱いて日向ぼっこしたいなあ」 「あたしはね、縁側にあんたの遺骨と招き猫を置いて日向ぼっこしたいわ」
日向ぼっこなんて言葉を聞いたせいか、はたまた弁当でお腹がいっぱいになったせいか、次の柳家喜多八の『代書屋』と、金原亭馬生の『真田小僧』はウトウト。太田家元九郎の津軽三味線で目を覚ます。いつもの『世界旅行博覧会』なのだが、受けてるねえ、あいかわらず。
林家しん平は漫談『焼肉を食べよう』。「焼肉屋はね、床がベトベトしている店を選ばなくちゃだめだよ。忙しくて掃除している暇もないようなところ」 「焼肉屋に入ったら、まず生ビールだね。ビールが食道を無理に入っていく。そのあと、ゲップが来る。ビールなんて喉越しだのキレだのいうけど、醍醐味はゲップでしょ」 「まずはタン塩。口の中に牛の舌が入ってきて、自分の舌だか牛の舌だかわかんなくなっちゃう。飲み込んだ後で残ったのが自分の舌なんだよ」 「次がカルビ。カルビは特上を頼まなくちゃ。特上カルビを食べるとね、声が聞こえるんだ。声のする方を見上げるとね、天使が3人換気扇のところで話しているのが見える」 ううっ、もう寄席なんかどうでもいいから上野の焼肉屋に行きたくなってしまったじゃないか! 立ち上がって骸骨かっぽれ。
仲入り後はすず風にゃん子金魚の漫才『ハッピー不動産』。仲入りのトイレが遅くなったらしいおばさまが次々とトイレから戻ってくる。これがまた見事に最前列の人ばかり。にゃん金がそのたびに客いじりをするものだから、漫才がなかなか先に進まない。最前列の人は早めに客席に戻ってね。
少々時間が押し気味だなあと思っていたら、次の柳亭燕路が『粗忽の釘』をご丁寧にも箪笥担ぎのところからみっちり。続く柳亭市馬はどうするのだろうと思っていたら、『道具屋』を軽く演って時間調節。お見事!
林家正楽の紙切り。鋏試しはいつもの[相合傘]ではなくて、[線香花火をしている女の子]なのだが、今回私の座った客席前方上手いっぱいの位置ではプロジェクターで後ろに投影した画像がほとんど見えない。紙切りのある番組はこの位置は回避しなくては。ご注文は[荒川静香] [朝顔] [温泉に入っている女の人]。
林家彦いちが休演で、代バネは古今亭志ん輔。呉服屋の亭主とお針子さんの様子をマクラに、はて何の噺に入るのかと思ったら『子別れ』の[下]。なるほど、別れた女房が、お針子さんとして子供を育てている設定だから、そんなマクラになったのか。いかにお針子さんという職業がたいへんなのかという伏線を張っていただけあって、金坊とのやりとりが迫力を持ってくる。うなぎ屋の2階で家族3人の再会を聴いているうちに、食べる場面は出てこないのに、急にうなぎが食べたくなってきた。
志ん輔の『子別れ』も、いい出来だなあと思いながらも、さてこれから夕食は焼肉を食べに東上野へ行くか、アメ横にうなぎを食べに行くか迷いに迷う。さて、今夜のご注文はどっち?
August.19,2006 人情噺も観かたを変えると
8月13日 立川談春 三遊亭白鳥 二人会 (東京芸術劇場中ホール)
定刻に幕が上がると、高座の上にこの日のふたりが座布団に座っていた。ドラマ出演のために体重を落として少し小さくなった白鳥が天然ボケをかますのを談春が突っ込む。「アニさんとの初めてのコラボネーションですね」 「お前、本当にわかって言ってるのか? コラボレーションだろ!」 かと思えば「目の怪しい男が・・・」 「それを言うなら、目つきの怪しい男!」 そういえば白鳥って不思議な言語感覚の持ち主。このあと、白鳥(当時、新潟)がTV『落語のぴん』収録で『動物くん』という噺を演って大受けしたときに、家元がいなくなってしまったといったエピソードが披露されると、客席は大爆笑。あとから帰って来た家元、白鳥に、「別にお前が悪いんじゃない。お前のような落語を笑う客が悪いんだ」 こうなると伝説だね。
この日は、ふたりとも長講一席ずつ。三遊亭白鳥は『冨Q』。古典『冨久』を現代に移した噺。幇間の久蔵を前座の噺家久蔵に、横山町の旦那を池袋演芸場の支配人に替えている。筋の運びはほぼ『冨久』どおり。久蔵は昔の白鳥そのままといった感じの設定になっていて、びっくりガードそばの中谷荘時代の貧乏生活のエピソードが織り込まれる。それにギャグをふんだんに絡ませて、聴かせる、聴かせる。池袋演芸場が火事になって、久蔵がこの寄席で一番大切なものを持ち出そうとする。それがなんと清涼飲料水の自販機(笑)。
白鳥の『冨Q』を受けて、「本人の体験がそのまま入っているんでしょうねえ。中途半端な人情噺より涙を誘う」と話す立川談春だが、その『文七元結』は、きっちりと涙を誘う出来だ。佐野槌の女将さんが長兵衛に説教するところが立川流らしく論理的。〜博打打ちと遊び人は違うんだ、博打打ちはそれを商売でやっている、だからある意味いかさま師。その上にいるのが親分。この親分という人は客にいくら貸せるかを見る目を持っている。だからお前さんは50両返せると踏んだから、親分は貸してくれたんだ〜 一方、自殺を図ろうとする文七に説教するのが長兵衛。こちらは、なにがあっても死んではいけないんだということを強調する。「働いて、(借金を)返して、働いて、返して、働いて、返して。そういうのが男ってもんじゃないのか」 なんだか金融業者が言いそうな台詞だが、妙に説得力があるような。長講を終え、「このあとが納得がいかない。『この文七とお久が夫婦になって元結屋を開くという・・・』と言って終わるんですが、こんなダメな文七に頭のいいお久が一緒になりますかねえ。まっ、ダメな男にくっつく家系なんでしょうねえ」 それもそうかも。とすると、この噺、ガラガラと崩れていってしまうんだが・・・・・。
August.13,2006 定席新作地帯
8月5日 新宿末廣亭8月上席夜の部
午後7時、割引になるのを待って入場。川柳川柳がまた自分の本の宣伝をやっている。最近はこのせいで『ガーコン』はショート・バージョンになっちゃうんだ。「二ツ目のさん生の時代にソンブレロ被ってラテン演って売れたんだよ。テレビでひっぱりだこでね。売れるとこの世界、そろそろ真打にってことになる。でもね、実力が伴わなかったんだね。ほら、ボクシングのカメダみたいなもんさ」
仲入りで客席に知り合いの姿を多く目撃。やっぱりね。
クイツキが三遊亭白鳥。「世の中にはいろいろ苦手なものがあるという人がいるもんでして、私の場合は古典落語・・・」と言った途端に大きな笑いと拍手が。「何ですか、この反応は」 この芝居、仲入り前と仲入り後では別の寄席なのではないかとくっきりと色合いが異なる。仲入り前は古典落語を演る噺家がズラリと並び、仲入り後は一転新作派が並ぶのだ。どうやら、これが目当てで仲入り直前で入ってきたお客さんも多いらしい。かくいう私もそれが狙いなんだけどね。ネタは『台所の隅』(ゴキブリの弔い)。台所のゴキブリが人間に殺されて、葬式にいろいろな虫が集ってくる白鳥の得意ネタ。「週刊現代で叩き潰されちゃったんだ」 「ホソギカズコみたいだね」 「ホソギカズコはまだ死んでないよ」
伊藤夢葉のマジックは先月鈴本で観たのと同じ。たわいないネタが多いのだが、その喋りが可笑しい。寄席向きなんだよね。
柳家喬太郎は、花火大会に集る浴衣姿のバカカップルの様子をマクラに振る。「花火なんてね、仕込みに時間かけて作られて、上空に打ち上げられて花が開くのは一瞬ですよ。例えて言えばセミみたいなもの。はかない短い命なんですから。それがですよ、打ちあがってパアッと開いて『たまやーっ』って声がかかると、『オレって花火に生まれて良かった』と思えるものを下界を見れば浴衣を着たバカカップルが『あたしぃ〜、花火、すんげぇ好きかも』なんてやってる。花火がかわいそうでしょ」 このマクラで大受けを取ると喬太郎はもう敵無し。ネタの『諜報員メアリー』もなんだかメチャクチャな噺なんだけど、お客さん付いてくるものね。
喬太郎のお次が、その師匠の柳家さん喬。「白鳥が出て、喬太郎が出て、トリが円丈師匠。新作の間に挟まれて、私は何を演ったらいいのか・・・・・いやな出番だなあ」とボヤきながら『締め込み』へ。そういえば前の週にさん喬のこれまた弟子の喬之助でこの噺を聴いたばかり。さすがに師匠のさん喬のデキはいい。夫婦喧嘩の掛け合いの迫力は段違いだ。
和楽、小楽、小花の和楽社中。小花ちゃんの五階茶碗に、3人のナイフの交換取り。小花ちゃんの笑顔がいい。
トリは三遊亭円丈で『肥辰一代記』。この糞尿噺、私はどちらかというと苦手なのだが、円丈師、実に肥辰という架空の人物のディテールを作りこんでいて、昭和何年には肥辰になにがあったかという積み重ねを実によくしている。このへんが並じゃないんだな。
August.11,2006 エロい芝居を期待して来てみれば
7月30日 毛皮族
『脳みそぐちゃぐちゃ人間』 (本多劇場)
男性率多し。そうだよなあ、劇団員はほとんど女性で、内容はエロだなんていうんだもの。ちょっと恥ずかしかったがチケットを取ってみた。2本の芝居(『脳なし人間アッコちゃん』 『エモンシュタイン博士の片思い』)と、プロローグとエピローグに短い芝居が付くという構成。
この劇団を初見してみて感じたのは、やはりいかにも女性の生理で作られた芝居だなあということ。ストーリーはわかるようでよくわからなかった。歌と踊りが多く、レビュー・ショーみたいだなと思った瞬間、「あれ、これって、全然違うけれど宝塚?」という気がして来た。[夢と希望の不思議な国]が宝塚なら、毛皮族は[悪夢と絶望の不思議な国]なのだが。宝塚が流れるような音楽とダンスなら、毛皮族はリズミカルでアクティヴなダンス。ちょっぴり期待していたエロも、「案外、健康的なエロじゃん」という感じ。体育会系エロとでもいうのだろうか、あまりいやらしさは感じない。江本純子も町田マリーもパワーいっぱいで舞台ではしゃいでいるように思える。不思議といやらしいエロスは感じさせないのだ。むしろ驚いたのはゲストの横町慶子(ロマンチカ)。すごく色っぽい。スタイルも抜群でエピローグのビキニ・スタイルは、これだけで観に来たかいがあった・・・・・って、結局スケベおやじじゃん、オレ。
千秋楽ということもあって、終演後、役者さんの衣装のオークションが始まった。どこで着ればいいのかと思える派手な衣装を女性が安価で落札したかと思えば、女優さんが着ていたタンクトップを高額で男性が落札したり。これってブルセラ(笑)。
August.6,2006 今年は『たがや』と縁が無いのかな
7月30日 早朝寄席 (鈴本演芸場)
林家きく麿が両国界隈の描写を始めた。「両国橋を渡って右手に回向院。その先にシアターX、さらには『東京かわら版』の事務所の入ったビル」って、『東京かわら版』は築地に引越しちゃったよう。前日は両国の花火だったから、いよいよここで『たがや』が聴けるかなあと思ったら、あらあら『一眼国』。それにしても、これ、笑いが取れない難しい噺だよなあ。
柳家喬之助は『締め込み』。夫婦喧嘩の様子が凄まじければ凄まじいほど客を引き付けられる噺。「出てけ、出てけって、寄席の追い出し太鼓じゃないんだからね!」 ポンポンと夫婦の言葉の投げあいが決まって、いい出来の『締め込み』だ。
春風亭一之輔の『唖の釣』の与太郎がいい。こんなに声がでかくて騒々しい与太郎は初めて聞いた。この与太郎、声が大きいだけじゃなくて余計なことを、いくらでも喋ってしまうのだ。
五街道佐助は『船徳』をきっちりと。大汗をかいて船を漕ぐ若旦那。慌てるふたりの乗客。四万六千日様の時期を見事に描写していた。
喬之助と佐助は、いよいよ来年真打に。芸がしっかりしてきたなあ。外に出ると真昼の熱気。アチアチ。
August.4,2006 両国の花火遠く、雨とそばと落語と音楽
7月29日 第15回そばきり寄席
落語と音楽の夕べ (亀戸そばきり東庵)
先日、ひょんなことから知り合いになったミュージシャンの江戸賀あい子さんが、こちらも私の顔見知りでもある古今亭駿菊とのコラボ、しかもそば屋でと、三拍子の接点となると、これは行かねばなるまいて。
うだるような暑さの中を家を出て、JR浅草橋駅まで歩く。アチアチ。外は浴衣姿の女性が目立つ。ああ、そうか、隅田川の花火かあ。浅草橋駅は若い男女の浴衣姿でごった返している。総武線に乗って隅田川を見れば両国橋付近には屋形船が多数浮かんでいる。花火も魅力だけど、こっちは花より団子ならぬ、花火より落語とそばだい! 亀戸駅というのも降りたのはわが人生初めて。物珍しさで駅付近をグルグルと歩き回る。いいなあ、知らない土地に来るというのは。なぜか興奮してしまうんだよね。地図に従って京葉道路を下る。と、しばらく歩いたところに図書館の看板が。この手前の道を右に曲がればいいんだよな。と、ありました、東庵さん。店に入るとオカミさんらしい人が入口近くに座っていた。木戸銭の2000円を払う。店は入ったところが椅子席。右手が座敷になっている。客席はこの座敷に上がる形。ホールの奥に高座が作られている。それも、テーブルの上を高座にしたというような即席なものではなく、ちゃんと高座用に組み立てられたもの。そのためにこの高座、かなり高い位置にある。上には小さな畳付き。後ろ幕も毛氈を使ってスッキリと。先客はカップルが一組と、ふたり組みの女性。どちらの組も年齢が若い。他にオカミさんと店のおばあさんらしき人。あとから、これも若い男性客がひとりやってきたところで開演時間。
古今亭駿菊一席目は、永六輔に誘われて佐渡島の鼓童に太鼓を習いに行ったというマクラから、隅田川の花火の話に変わる。「夏のお噺を・・・」とネタに入るから、うん、この日に合わせて、これは『たがや』だろうと思ったら、『水屋の富』。演者にとってこの高座の特徴は上下に振ったときに、下手にお客さんがいないこと。逆に上手に振るとお客さんの姿が入ってくる。あとで駿菊師に訊いたところ、これはそれほど気にならないとのこと。むしろ、正面にお客さんがいない方が演りにくいそうだ。渋谷[ジャンジャン]ね。
江戸賀あい子さんのピアノ弾き語り。このお店、おそば屋さんというのにピアノが置いてある。とてもオシャレなお店なのだ。普段はこのピアノが自動演奏をしているとのこと。あい子さんの演奏は初めて聴く。なかなかポップで楽しい。途中で外は激しい雨になる。花火見物の人たち、かわいそう。そんな雨の音をバックにラストナンバー『Flower In the Rain』は胸に沁みてきた。雨に打たれて強く、成長するんだという、失恋をかてに生きる女性の心情を英語の歌詞にしているらしい。
あい子さんのライブの途中で四人組の若い女性が来店。有料入場者10人になる。古今亭駿菊二席目は『へっつい幽霊』。あらら、お約束の、へっついの説明が無いままに話し始めちゃった。終わって駿菊自身も気がついて「へっついって、かまどのことです。辞書でへっついと引くとかまどと出てくる。かまどとひくとへっついと出てくる」 それにしても、かまどというものすら、今の人はわからないだろうなあ。
ウチアゲを兼ねた、そばタイム。東庵のそばは、更科系。真っ白なそばは、かなりの細打ち。腰も強くておいしいそばでございました。「師匠、二席とも、マクラから『たがや』を想像したんですけどぉ〜」と問えば、「そうでしょ。でも、私、『たがや』持ってないんですよ」 あらあら、そういうことなのか。