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2009年11月23日 立川談春独演会(紀伊國屋サザンシアター)

 『死神の精度』上演中の舞台で行われた独演会。立川談春に、伊坂幸太郎の短編集『死神の精度』の中から『吹雪に死神』を落語化したものを演らせようという企画。題して『死神の心得』の一席
 客電を落とした上、高座も暗いままに談春にスポットが当てられる。私はどうも伊坂幸太郎が苦手。落語になればおもしろく聴けると思ったのだが、やはりダメ。もう暗い場内で眠ってしまう。

 仲入り後に二席目。以前ミュージカルに出たことがあるそうで、そのオーディション風景と、公演最終日の家元の話を面白おかしくマクラにする。長いマクラのあとで『棒鱈』
 最近、談春は嫌いだという人に何人か逢った。彼らは談春の登場人物は暖か味が感じられないというのがその理由のようだ。確かに談春にかかると、出てくる人物たちがポンポンポンポンと言葉をやり取りさせる。あたかもいつも喧嘩腰のように感じるわけだ。
 『棒鱈』にしても江戸っ子二人組のひとりは酔っ払って、最初から隣の侍に喧嘩を売りたがっている。まあ、そういう噺なのだが、他の人が演るよりも、遥かに狂目の人物。あまり友達にはしたくないんだなあ。
 それでも、私がまた談春を聴きたくなるのは、そういう一種の狂気を味わいたくなるときがあるからなのかもしれない。

12月13日記

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