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2010年1月16日 よってたかって新春らくご21世紀スペシャル寄席ONEDAY夜の部(よみうりホール)

 よみうりホールは落語を聴くには観にくい席があるので、あまり気乗りがしないのだが、今回手に入ったのは通路ぎわ。ここならば前の人の頭が邪魔になって観られないということはない。

 開口一番前座さんは、瀧川鯉ちゃ『寿限無』。落ち着いているし、声もよく出ている。それに、こういう前座噺をちゃんと面白く聴かせる事に感心した。ちょっと楽しみな前座さんだ。頑張ってね。

 春風亭百栄は、この5年くらいで新作落語の量産体制に入っているような気がする。それがことごとく面白いのだから驚きだ。この日の出しものは『リアクション指南』。噂には聞いていたが、聴けたのは初めて。古典の『あくび指南』を応用したもので、リアクション芸人のリアクション芸を先生に習うという噺。ラジオデイズにも入っていないし、CDにもなっていないのは、ここでのリアクションというものが、やはり音だけでは笑いを取りにくいものだからなのかも知れない。とすると、いずれはDVD化かなあ。

 「前半はヘンな落語」と主催者に言われたという三遊亭白鳥『青春残酷物語』。もう何回も聴いているが、本当によく出来ている噺だ。構成の緻密さでは白鳥の持ちネタの中ではピカ一だろう。しかも毎回時事ネタを持ち込んでくる。民主党の小沢ネタを早速使うあたりもさすが。

 仲入り。楽屋を訪ねる。よみうりホールはもう30年以上前に使ったことがあり、楽屋の位置も把握しているつもりだったが、楽屋口から入ってみると迷ってしまった。こんなだったっけ。白鳥師匠と三三師匠が話しているところ。白鳥師匠に目礼して、三三師匠に挨拶。3月の翁庵寄席のチラシの見本刷りをお見せする。一ヶ所直しを指摘される。「それではそこは直しておきます」と言って楽屋を後にしようとしたら、三三師匠から手ぬぐいを手渡される。ラッキー!

 客席に戻って後半は、ちゃんとした落語(?)。柳家三三は白鳥さんのことで笑いを取り、さらに結婚式のマクラから『高砂や』へ。これがフルバージョンなのか寄席で耳にするものよりも前半が長い。大家さんととのやり取りが長いのだ。「最後に御祝儀を付けるといい」 「御祝儀?」 「高砂やだな」 「高砂部屋ですか?」 「謡曲だ」 「洋食ですか? ハムカツ」 高砂やの稽古に入ってもなかなか謡いの声が出ない。「高砂、高砂ー。北総線は乗り換えー。(素になって)京成線じゃないか。この間、山形でやったら受けない。当たり前ですね。有楽町だってギリギリ」

 トリは瀧川鯉昇。本当にあったことなのかウソなのかわからない飄々としたマクラから『御神酒徳利』へ。面白い噺なのだがいささか長いので、途中でやや聴いていてダレる噺なのだが、マクラと同じく飄々とした鯉昇の語り口で繋いでいく。この噺のサゲはホンワリとしていて大衆喜劇を思わせるが、これが飄々として感じられたマクラに見事繋がるんだから面白い。

 終演後、会場でバッタリお逢いしたNさんとご飯を食べに行く。落語、お笑いの話に花が咲く。そういえば銀座で落語を聴くのも久しぶりだなあ。

1月17日記

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