2010年8月1日上野鈴本演芸場夜の部 訳あって、突然に鈴本の定席に。このへんの事情は週末日記に書いた。 客席に入ると、大瀬ゆめじ・うたじの漫才が始まったところ。夏だもん、当然『平行線・鰻』。買ってきた弁当、鰻にすれば良かったかな。 柳家三三は『高砂や』。ああ、そういえば今年、読売ホールで三三の『高砂や』を聴いているぞと思いだした。きょうのは時間の都合で寄席サイズ。何と、謡曲高砂やを教わっている途中で切ってしまった。なにしろ三三のは前半が長いからなあ。 桃月庵白酒は『お化け長屋』。お化けが出ると話す杢兵衛さんが、どことなく彦六の正蔵っぽいのが笑える。怪談噺といったら私らの世代にとっては先代の林家正蔵だもんね。 仲入り後の喰い付きはダーク広和の奇術。どうやら新ネタらしい。高座には水槽が置かれている。しかし魚などが入っているわけではない。お客さんから紙幣を借りる。これを紙に包んで、この水槽に着けたり上げたりしているうちに、いつの間にか消えてしまう。このあとにボールを水槽の横に着けると、ガラス越しにスーっと水槽の中に入ってしまったり、水槽の中からスーっと出てきたり。そして肝心のお札は大きなトランクの中からマトーリョーシカ式に段々小さなトランクになった中から出てきたビニール袋。そのビニール袋の中に入った、たくさんの紙幣の中から、お客さんに釣りざおで釣りあげてもらうという手の込みよう。これは楽しい奇術が完成したようだ。寄席の名物になるといいな。 橘家文左衛門の代演が古今亭菊志んで『あくび指南』。「寄席のあくびというのもあります」 「寄席のあくびですか?」 「やってみましょうか。『(眠そうに)休憩が終わると、手品の人が出て、、そのあとが番組表にも載って無い髪の長い男が出てきて、これがよくわからない』って、そんなに自虐的にならなくても」 大空遊平、かほりの漫才。いつもの掴みから、スローフードの話題へ。鶏の唐揚げ弁当を、使われた鶏の誕生から唐揚げになるまでを購入者に詳しく説明するかほり。残酷さを通り越して笑ってしまう。 トリは林家彦いちの『青菜』。「鞍馬から牛若丸がいでまして」を手振りで憶える植木屋さん。「職人はこうやって憶えるのが一番だ」 いかにも彦いちらしい『青菜』になっている。 8月7日記 このコーナーの表紙に戻る |