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2010年7月24日男子はだまってなさいよ7『天才バカボン』(本多劇場)

 男子はだまってなさいよが赤塚不二夫の漫画『天才バカボン』を舞台化と聞いて、そりゃあ無謀でしょと思ったのだが、出演者が松尾スズキ、荒川良々、皆川猿時といった大人計画の役者、これに釈由美子が花を添え、キング・オブ・コメディの立っているだけで可笑しい今野浩喜、ジョビジョバの坂田聡、大堀こういち、小浜正寛、五月女ケイ子らが出るとあれば、これは面白いことになるのではないかと予感させられるではないか。

 蓋を開けてみたら、バカボンに荒川良々、バカボンのパパに松尾スズキ、バカボンのママに釈由美子、ウナギイヌが皆川猿時、坂田聡がレレレのおじさん、大堀こういちが本官。みーんなキャスティングがぴったりなのが笑える。

 10分くらいのコントが110分ほど続いて行くのだが、『天才バカボン』のナンセンスをみごとに舞台化している。最初のコントがバカボンが金正日と金正男を拾って来てしまうという、かなり危ないネタで、でも赤塚不二夫だったら描きそうだ。

 荒川良々のバカボンは、原作よりもかなり狂気を孕んでいるようなのが不気味。松尾スズキのパパもどこか狂気がある。そうかやっぱり大人計画だとそうなっちゃうのね、皆川猿時のウナギイヌだって異様だもの。皆川猿時はウナギイヌの着ぐるみで登場するのだが、その大柄な体格に松尾スズキが「パッツンパッツンじゃないか」と楽屋落ちのような台詞を浴びせる。釈由美子のママは、まああんな感じかなあ。日本の優しいおかあさんって感じ。

 キング・オブ・コントの今野はずいぶんとピンタされていた。でも目をつむらずによく耐える。

 五月女ケイ子って不思議な女優さんだ。きれいな人なんだが、今回下ネタをやらされていて、ちょっぴり恥ずかしそうでいてシレッと言いにくい単語を口にする。おおーい、いじめないであげてよー。

 圧巻なのは山田太一のパロディに続く、浅利慶太のパロディ、というより『ライオン・キング』のパロディかな。

 これ、楽しい舞台だなあ。DVDにはならないんだろうけどねえ。ばかばかしいちゃばかばかしいんだけど、こういうのを楽しめる人にはたまらなく面白い。

7月27日記

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