2010年8月28日 新楽屋噂咄の会 特別編 その弐=七代目三遊亭圓生を継ぐのは誰だ?(池袋演芸場) 今年、還暦を迎えたという鈴々舎馬桜の会。まずはその馬桜が踊りを披露。長唄の『鶴亀』。前座さんより前に出て舞うって、御謙遜かな。 前座さんは、柳家花いちで『金明竹』。頑張ってね。 鈴々舎馬桜の一席目は、『能狂言』。東京では六代目三遊亭圓生しかやらなかったネタ。おそらく今では馬桜くらいしか演り手はいないだろう。「ある落語会で、先代の圓楽師匠がトリで、その前が私だったことがありまして、そのときに『能狂言』を初めてかけた。楽屋に戻って圓楽師匠になにか言われたら、もうこの噺を演るのはやめようと思ったんですが、何も言われなかったので演っています。あと志ん生の十八番『二階ぞめき』も古今亭一門でなかなか手が付かない。談志師匠は演ってましたが、これも志ん朝師匠がトリのときに演ったら、志ん朝師匠が「楽しそうだね」 「ええ、楽しいです」って答えたので演っています」 その『能狂言』だが、ふたりの落語家が旅をしていて茶店に入り、酒を注文すると、村雨、庭さめ、すぐさめがあるなどというやり取りは、『七度狐』などを思わせる。後半になって落語家ふたりがデタラメの狂言を演るところが見もの。能や狂言自体を知らない人が増えているから損な噺になってしまっているのが、演り手がいなくなってしまった原因なのだろうか。 続いて鈴々舎馬桜に加えて、春風亭勢朝と、それに予告なしで参加の三遊亭窓里の三人による鼎談『七代目三遊亭圓生は誰か?』 まああまりインターネットで書くようなことではないし、川柳つくしの会で聴いて知っている以上のことはあまりなかった。それよりも小ネタの楽屋咄がいくつかあって、そっちの方が新鮮。もちろん書くわけにはいかないが。 仲入り後が鈴々舎馬桜の『居残り佐平次』。長い噺なので寄席のトリでもなかなか聴くことが出来ないネタ。前半の調子がいい佐平次よりも後半の暗さのある佐平次に印象が強く残る演出だったが、幕切れがまた鮮やか。サゲは三代目春風亭柳好のものを四代目の許可をもらってやっているそうだ。 9月4日記 このコーナーの表紙に戻る |