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2010年7月19日池袋演芸場夜の部

 開口一番前座さんは柳亭市也『天失気』。頑張ってね。

 ほうほう、きょうは柳亭市馬がトリだから、前座さんに続いて二ツ目さんの位置も市馬のお弟子さん。柳亭市江『熊の皮』。以前、遊雀師匠に「この噺は、どこででも演りようを変えれば受けるネタだ」とお聞きしたことがある。なるほど不思議と受けるんだよな、この噺。

 代演で出てきた橘家文左衛門『千早振る』を始めた。文左衛門といえば、『千早振る』の最後の部分。「とは」の意味を訊かれて、あと(に出る)○○に訊いてくれ」というイタズラをするという話を聞いた。あれれ、今日の出番の誰に振るんだろうと思っていたら、「とはってなんです?」 「とわ(永久)に考える」 「それは喬太郎がやった」 「東亜国内航空」 「それは萬窓がやった」と回答集。

 津軽三味線の太田家元九郎はいつものやつ。でも確実に受ける人。最後は『十三の砂山』でビシッと決める。

 「池袋演芸場の入場料は2500円。これで昼の12時から夜の8時30分まで、ナマの出演者が観られる。こんな安いとこは無いですよ」と橘家蔵之助『ぜんざい公社』へ。演芸場なら観るまでたらい回しされることもないもんね。

 「AKB48なんて流行っていますがね、私ら昔っからAKR47ですよ。赤穂浪士四十七士」 宝井琴柳の講談は忠臣蔵ではなく、『笹野権三郎・海賊退治』

 アサダ二世がロープのマジックで沸かせる。途中で切ったロープが切ったようで繋がっている。目の錯覚を使った手品だ。客から声がかかる。「それ、普通のロープ?」 「普通のロープですよ。でもね、化学繊維が入って無いやつ。ハサミで切れやすいようにね。皆さんね、トランプも特殊なのを使っていると思うでしょうが、ほとんどのカード・マジックは普通のですよ。ほら、これだってバイスクルのでしょ。バイスクルってラスベガスで使用されているやつですよ」 どんどん話が変な方向に逸れていくようでしっかりと、カード当ても見せる。寄席のマジックはこうでなくちゃ。

 五街道雲助の代演が、むかし家今松。「急遽梅雨が明けまして、雲助が箱根へ荒稼ぎに行ってまして」と『へっつい幽霊』。夏になってお化けものも増える時期だなあ。

 中入り後の食い付きが柳家さん福。おおっ、侍が嫌がらせの数々をやる『万病円』。こういうのをこういうところで聴けるとなんだか得した気分。

 柳家権太楼『代書屋』へ入る。この人の『代書屋』は爆笑ものだから、これまたラッキー。「デレキショを出せっていうですよ。それでね、デレキショってなんだかわかんないから、ちょっと前まであったけど食べちゃったって」 客席を見回して「天失気みたいですね。お客さんの中で代書屋の人います? いるようでしたら他の噺に変えますが。『芝浜』とか」

 小野やすしの弟子の勘太郎、三波紳介の弟子のたにしによるホームランの漫才。「三波紳介ってご存知ですか? もう28年前に亡くなっているんですが・・・御存知な方は、もう今うん十歳以上の方・・・いや、記憶力のいい方ですね」

 トリが柳亭市馬『青菜』。うーん、夏の噺っていいのが多いよなあ。市馬は特に顔が涼しげでいい。その口調も暑苦しくない。夏の夜の寄席はこういう人のトリがいいね、やっぱり。

7月22日記

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