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2010年8月21日 落語大将軍'10夏の役 古今亭今輔ひとり会(なかの芸能小劇場)

 開口一番は三遊亭小笑『つる』。前座さんだが、個性的な声をしている。楽しみだ。頑張ってね。

 古今亭今輔、今回三席ネタおろし。その一席目のマクラではコーヒーショップで中学生がやっていたクイズを紹介。これがすこぶる面白い。私も誰かにやってみたくなって、その後、会う人ごとに出題してみたが誰もわからなかった。新作ネタは『発想の転換』。カップ麺を食べようと思った男が箸が無いことに気が付く。箸の代わりになるものはないかと、爪楊枝、ストロー、素手、サインペンなどで試してみるが、噺はそれにとどまらずどんどん飛躍していく。スパゲッティ、打ち上げ花火、カーテンレール。さらにはもっともっとシュールな発想へと発展。こういう発想をするあたりが今輔らしいんだなあ。

 二席目は古典『水屋の富』。「私、この水屋さんにシンパシーを感じるんです。ようするに気が小さい。出かけるときに、エアコン切ったかなと不安になったりして戻ったり。この落語の水屋さんみたいなんですよ」 それは私も同じなんだけどね。今輔の『水屋の富』は人情噺というよりは、滑稽話に近い。夢を見るところなんか、いかにも今輔って感じでやっている。

 三席目は、今年の秋の山田風太郎祭りでやる予定の山田風太郎の短編小説の落語化『忍法相伝64』。現代ものの忍者もの。忍法墨消しという半径5メートル以内にある、墨やインクで書かれたものを消してしまうという忍法って、この発想がもう山田風太郎という人は、飛び抜けているとしか言いようがない。それにしても今輔にぴったりの噺だ。10月までにもう少し噺を整理したいとのこと。落語向きの原作でもあるから、これを是非今輔の代表作のひとつに完成させて欲しいな。

9月1日記

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