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2011年4月3日落語大将軍ー四月革命ー古今亭今輔ひとり会(なかの芸能小劇場)

 開口一番は春風亭昇也。もう前座さんとは思えないくらい落ち着いている。前座から見た楽屋話のエピソードもおかしく聴かせる。ネタの『天失気』も、もう見事なくらいの出来。

 古今亭今輔の一席目は『群馬伝説』。都市伝説の話から、自分の生まれた群馬県は地味な県であるというところから、群馬の県民ショウ的な噺に広がりを見せていく。上毛かるたにたどり着いてからは、さすが群馬の出の師匠だけあって、噺が乗ってきた。

 二席目は古典の『錦の袈裟』。まっとうに演っているようで、ところどころ今輔らしい言葉が飛び出してくるのが面白い。「世界中探したって、そんな部族、住んでないわよ」なんて、どこの噺家がこのネタの中に入れるだろうか。

 三席目。「東日本大震災以来、寄席でかけにくい噺がありまして、いわゆる人が死ぬ噺。『らくだ』『死神』『粗忽長屋』などです。そんな中、たまたま人が死ぬ間際の噺を作ってしまいまして」と始まったのが『いまわの際』。功なり名を遂げた男が死にかけているといった噺。この男、グラビア・アイドルのDVDやらエロ本の処分をしていなかったことを思い出してしまう。あるいはインターネットの無修正アダルト動画サイトへのアクセス記録も残されたままだということに気が付いてといった噺。面白いと思うのだが、この時期はやっぱり不謹慎ということになってしまうのだろうか。

 そして四席目。この日のために四席のネタ下ろしは凄いやね。林家きく麿・作の『エスパー集団』。彼女に振られて家を追い出された男の前に謎のエスパー集団が出現する。それぞれに特殊能力を持つ者たちだが、セコイのばかり。中でも饅頭を見ただけで、中のアンコが漉し餡なのか粒餡なのかを見分けれる能力を持っているという者。彼女とよりを戻したい男は、彼らの協力を受けて、また彼女の元へ。そうすると、餡子の種類を当てられる者の能力がカギになってくる。さらにもうひとひねりした結末はよくできていると思う。

4月29日記

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