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2010年4月18日 六代目古今亭今輔の創作ミステリ落語の世界5with三遊亭楽市(人形町翁庵)

 去年の暮に小岩であった今松師匠の会のウチアゲで三遊亭楽市さんと出会った。話しているうちに彼がミステリ落語を作ったことがあるという話が出て、それなら今輔師匠の会に一度出てもらおうということになった。しかもこのときの会で彼がやったのはこれも自作の『環境談義』というエコロジー落語。エコロジー落語といえば今輔師匠も営業用にエコロジー落語を作っている。今輔師匠のエコロジー落語は普通のところではなかなか聴くことができない。この機会にエコロジー落語対決と、ミステリ落語対決の二本立てではどうだろう。それでこういう企画が持ち上がったというわけだ。

 いつもは立命亭八戒さんに開口一番をお願いしているが、八戒さんの都合がつかず、今回はやはりスタッフのひとりである三つの輪セッケンさんに三味線漫談をお願いする。

 第一部エコロジー落語。三遊亭楽市『環境談義』で大好きなのが、ただのエコカーではない。走ると後ろに緑が生えてくる自動車。これがなんのことない田植え機ってギャグがばかにツボにハマる。

 古今亭今輔『よい子のエコ落語』は小学生用に作ったもので大人には受けないと言っていたが、いやいや結構いい出来だ。創作にあたりかなり資料を見て研究したらしいあとがある。楽しくエコロジーの勉強ができる落語になっていて、これはこれで面白い。ちなみにふたりのサゲが同じだと開演前に気がついて、今輔はサゲを変えてきた。

 第二部ミステリ落語。三遊亭楽市『桶屋調べ』には密室トリックが入っている。日本家屋の構造上、密室は作りにくいと言われているが、これも物理トリック。ちょっと言葉だけではわかりにくかったかもなあ。ダイイングメッセージと真相は、落語らしく笑いを取りに来た感じ。このへんが難しいところか。これをかけるのは二回目なんだそうで、もっとかけて磨いて行って欲しい。

 古今亭今輔の『バクダン』を聴くのは三回目か。さすがに手慣れていて安心して聴ける。

 「もうミステリねたが無い」という今輔師匠だが、今輔師匠の噺はどれも多かれ少なかれミステリの要素がある。まだまだ埋もれている今輔落語を発掘していこうと思う。

5月7日記

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