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2009年10月25日 『印獣』(PARCO劇場)

 生瀬勝久、池田成志、古田新太による、ねずみの三銃士の五年ぶりの二作目。前作『鈍獣』同様、脚本は宮藤官九郎。これに三田佳子が加わるとあっては行かなくちゃ、行かなくちゃ。

 スクリーンをうまく使った導入部で客の気持を掴む。自動車に乗った三人の男。もちろん生瀬、池田、古田だ。三人が作家だということが語られ、スティーヴン・キングの『シャイニング』のことが持ち出される。そう、この芝居は山奥の家に三人の作家が監禁され、女優だと名乗る女から自分の自叙伝を書かされる話。

 出鱈目でも面白ければいいとのリクエストなのだが、ゼロからは何を書いたらいいのかわからないるそこへ、少しずつこの女優の過去のヒントが三人に与えられていく。それをもとに本は書き進められていくのだが、徐々に三人の作家と女優がまったくの赤の他人ではないことが明らかになって行く。

 仕掛けのある舞台装置も、『鈍獣』同様、ホラーテイストで楽しいし、笑いの要素もバッチリ。三人が自由に楽しんでこの芝居を演っているのが伝わってくるし、驚いたのが三田佳子。この大女優が、さまざまな衣装で、おそらく今までになかったであろう演技を要求され、それを見事にこなしている。

 それにしても宮藤官九郎が、『シャイニング』の映画化について、そう思っていたのというのが個人的には面白かった。本筋には関係ないけどね。

10月31日記

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