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2011年6月5日きたくなるまち区民寄席番外編(北トピア・さくらホール)

 開口一番の前座さんは、三遊亭小曲『牛ほめ』。小遊三のお弟子さん。頑張ってね。

 春風亭一之輔『あくび指南』。先日テレビでも演っていたから自信のある噺なのだろう。いや実際、一之輔の『あくび指南』は面白い。私が今まで聴いた『あくび指南』の中でも、もっとも笑えるものだと思う。指南の先生が一度見本を見せたあとで、「もう一度、やってみせてください」と頼むと、どうも一回目と違う。「明らかに一回目より長くなってますよね。それにクサくなってる」

 東京ボーイズは本当に面白くなった。リーダーが死んで、ふたりだけになってしまってから、相当にネタを組み立て直したのだろう。以前から演っていたネタもテンポが出てきたし、新ネタもどんどん増えている。この日のメニューは、『故郷』『静かな湖畔』『カチューシャ』など。ラストはいつもの『中之島ブルース』なのだけど、これはやはりリーダーとの三人バージョンを思い出してしまって、ちょっと悲しくなる。

 そんな噺があるということだけは知っていたが、三遊亭遊雀で、初めて『電話の遊び』を聴くことができた。遊び好きの大旦那、茶屋に行きたくてしょうがない。それを若旦那が、みっともないから家にいてくれと引きとめる。それじゃあ、自宅で酒と肴を用意して、電話で茶屋の芸者を呼び出して、電話の前で三味線を弾いてもらおうということになる。上方の噺で、はめものが入るにぎやかな噺だ。なにより遊雀にかかると、大旦那が無邪気でカワイイ。

 林家彦いち『熱血怪談部』。人に怪談を聴かせるというクラブ活動の顧問に体育会系の先生がなったらという噺。ところがこの学校、本当にお化けが出る。のっぺらぼうが出てきても一向に動じない。「話芸というのは表情で語るんだ! 消えてるじゃないか!」

 トリは三遊亭圓歌。私はなかなか聴くことが出来ないでいた『天皇陛下、初めて落語を聴く』だ。天皇の前で落語を演ったときのエピソードを語るものだが、実に興味深いし、面白い。例によってどこで切っても、どこを端折ってもかまわない噺なので、どんなところでも時間調節がきく。この日のはおそらくロングバージョンだろう。貴重なものを聴くことができたうれしさで、本日は大満足な番組だった。

6月18日記

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