2009年10月4日 第七回東西笑いの喬演(国立演芸場) 古今亭今輔の創作ミステリ落語の世界4を終えて、国立演芸場にかけつける。ギリギリで滑り込み。 開口一番の前座さんは春風亭正太郎で『道具屋』。頑張ってね。 「私のこと有名人だと思ってますか? 全然違いますよ。有名人だっら職務質問されないでしょ」と柳家喬太郎。東京駅で、その筋の人が「お荷物拝見」と職務質問されていていたのを眺めいてると、自分まで職務質問されてしまったというエピソードをマクラに。「前座時代に作った噺なんですが、今から思うと、なんじゃこりゃというものも多いんですが」と、その中から『喜劇駅前結社』に入る。なんと、この噺、そば屋が舞台なんですね。長年喬太郎を聴いてきて初めて出会えた。中野新橋の駅前にあるそば屋での父と娘の会話から、噺はあれよあれよととんでもない方向に発展していく。「あれー」という噺。サゲまで言って立ち上がる喬太郎。「いいのかなあ」というポーズを取る。ここれも計算のうちなんだろう。 笑福亭三喬は、商店街の福引のガラガラの秘密についてのマクラ。これはいいことを聴いたぞ。上方版の『蛇含草』を聴くのは初めて。なにせ、餅を食べる噺ですもんね。江戸っ子はあんまり餅なんてガツガツ食べないでしょ。いかにも上方落語という噺なんだと気が付く。「大食い会餅の部の理事長やっております。尿検査したりして」 仲入り後の笑福亭三喬の『おごろもち盗人』は、東京でいう『もぐら泥』。[もぐら]がどうして[おごろもち]に変化したのかを、スケッチブックを使って説明してくれる。なるわけがないと思っていたのが三喬の解説で、なるほどと思ったのだからさすが。この噺も上方版は初めて。三喬の噺はじっくりと聴かせるタイプ。聴いていて満足感いっぱい。 東京のオリンピック招致は失敗してしまったが、今度は千葉で開催したらどうかというマクラから、柳家喬太郎は『宮戸川』。噂に聞く完全版。前半は楽しいし寄席サイズになるから、今では『宮戸川』というと前半のみで演るのが普通だが、この噺の後半は、やはり喬太郎で聴いてみると面白い。酔っ払いが半七の乗る船に乗り込んできてからのくだりは、まさに鬼気迫る。喬太郎の気迫に圧倒されっぱなしだったと言っていい。 10月12日記 このコーナーの表紙に戻る |