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客席放浪記

特撰花形落語会
喬太郎・一之輔二人会


2016年8月6日
鶴見区民文化センター
サルビアホール

 開口一番前座さんは、春風亭一花『牛ほめ』。前座修業雁木ってね。

 柳家喬太郎が、高座に上がって、この人お得意の、公演地分析が始める。「鶴見、なんとも面白い場所ですな。住んでいらっしゃる人は、横浜だとはいいにくいし、さりとて川崎だとも言われたくない」。ズバリだったのか客席から笑いが起こる。「今日のこちらの楽屋弁当、崎陽軒なんですよ。焼売もいいんですが、筍の煮たのがおいしくて、筍弁当って言っていいんじゃないかと・・・」。またまた大きな笑い。的確な分析が上手いよね。
 この調子で、東北に仕事に行って、夜出された刺身の話も可笑しい。様々な刺身の盛り合わせ。なかに「これは鮮度がよくないとなかなか食べられないんですよ」と言われたのがホッケ。「ホッケね、食べてみましたが・・・焼いた方がおいしい」。そりゃそうだろうなぁ。アハハハハ。刺身にしてありがたくない魚っていうのもある。
 一席目は『たいこ腹』。仰向けに大きな腹を突きだして、「なんでこの噺を選んだかと言うと、自分の体に合わせて」。
 ゴルフに凝った後の若旦那の道楽はハリ。ハリを独学で学んだ本は、ゴルフときのものと一緒。『打ちっぱなしの極意』。

 ベルギー、ポーランド、フィンランド公演を終えて帰国した春風亭一之輔。マクラはその報告。今回は家族も同行して、家族分の旅費は自分持ちとあって大赤字だったとボヤいてみせて笑いを取る。
 フィンランドの消費税は日本よりはるかに高い。それでも一律に決められているわけではなく、嗜好品の類はより高い税率。アルコール類は約30%、タバコは約80%。その分、福祉が充実しているらしい。ホテルのトイレに設置された人口肛門用シャワーというのには驚き。
 まだ時差ぼけだという頭で『青菜』。聴くたびに面白くなっていく一之輔の噺だが、タガメの描写がますます強力になってきたぞ・・・ってタカ゜メになぞられた女房って、どんな女性だ。
 鯉の洗いを勧められて、「これ、ホッケですか?」。

 仲入り後、春風亭一之輔の二席目は『かぼちゃ屋』
 「先に、『牛ほめ』が出ていますが、喬太郎師匠、優しいから許してくれるでしょう。これが寄席だったら、えらいことです。○○○師匠に見つかったら、怒鳴られちゃう」。『牛ほめ』は与太郎の出てくる噺。『かぼちゃ屋』も与太郎。噺が被るといって寄席では、やってはならないことになっているのた。しかしこういうしきたりも、最近どうかと思えてくる。これももう時代共に、無くしていってもいいと思うのだが。

 トリの柳家喬太郎は、三日前にネタおろしで聴いた『夢の酒』。おそらくここしばらくは集中的にかけるつもりらしい。
 三日前に聴いたときは、お嫁さんがお義父さんに、夫から聞いた夢の話を嫁さんの声で直接説明していたが、今日は、お嫁さんが話している様子をお義父さんが聞いている姿で表現していた。これだと尺は短縮されるが、お嫁さんが夫から聞いたことを拡大解釈して告げるという可笑しさが無くなってしまった。あとで旦那が「言ってることが、ところどころ微妙に違うんですが」と呟くという喬太郎らしい可笑しさが無くなってしまったのは残念。

8月7日記

静かなお喋り 8月6日

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