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2011年10月15日明大落語会(明治大学アカデミーホール)

 明治大学落語研究会創部50周年記念の落語会。明大落研のOBがズラリと登場する。会場は1200人の大きなホール。

 入場するのに長い列ができて、それをエスカレーター一基で運ぶのに時間がかかり、予定より13分押しで開演。

 立川志ら乃『反対俥』。序盤の身体の弱い俥屋は、客の重みで梶棒にぶら下がってしまう。「へ、へい、着きました」「よせよぅ、一歩も歩いちゃいねえじゃないか」「ええ、地に足が着きました」「地に足が着いて喜んでいるのはガガーリンくらいのもんだ」って、古いねぇー。足の速い俥屋とくれば上野駅に客を降ろしたまんま、金も受け取らずに走っていってしまう。青森駅に着いたらば、その俥屋が青森にいたって、それじゃあ汽車に乗る意味がねぇー!

 OB最年長、講談の宝井馬琴『山内一豊出世の馬揃』。時間が押しているので、さっと13分ほどで途中までで切ってお後へ。ここらへんが慣れている人なんだよなあ。

 月亭遊方は夫婦で営業している小さな中華屋さんの様子をスケッチした『飯店エキサイティング』。いつも喧嘩ばっかりしている中華屋夫婦っていそうだなあ。喧嘩ばっかりで年中丼や皿を割っているから食器がない。かわりにタッパに入れた中華丼ならぬ中華タッパ、洗面器に入れたチャーシュー麺は食欲出ないやね。

 立川談幸は今年、3.11のあとで東洋館で観たのだが、客席に仙台からいらしているお客さんがいるのを知ってか知らずか、「最近の火葬場には煙突がありません。煙が出ませんから近所に迷惑をかけない。これが無縁(無煙)仏とやって、私は一瞬凍りついた経験がある。前に出た芸人さんとお客さんとのやりとりで会場に被災地から来たお客さんが来ているというのは、前座さんが申し送りを忘れたのかもしれないが、嫌な印象がある。その同じ小噺をまたきょうもやっていた。得意にしている小噺だったんだろうなあ。ネタは『片棒』。ケチを受け継いだ鉄三郎が、「棺桶は無駄だから、菜漬の樽にとうさんを入れます」「親孝行(こうこ)ってことか」「いや、臭いものには蓋」 こういう噺も3.11直後はやりにくかったんだけどね。もういいのかも。

 仲入後は、コント赤信号。といってもラサール石井抜きの、渡辺正行小宮孝泰だけ。いつもの暴走族コントが始まるが、小宮が、「きょうはラサール石井がいないんだ。あいつは明大じゃないから来れないんだ。オレの憧れの早稲田だからな」 あとはお馴染みのコーラ早飲みを渡辺とお客さんの対決。

 エディーのパントマイム。『ズンドコ節』の当て振りパントマイムというアイデアが面白い。まだあるなら、もっと観てみたいところ。

 立川志の輔が馬鹿と利口の論理のお得意のマクラを振っているので、「ああ、あれかな」と思ったら、やっぱり『親の顔』。明大の落語会ということで、ピッタリのネタ選び。

 立川談之助は、世相巷談とプログラムにはなっていたが、明大落研の裏話。「明大落研から十人のOBが落語家になっています。そのうち6人が立川流」「同じ立川流でも、談幸さんの方が入門が早いので、志の輔さんは人前では談幸さんのことをアニさんと呼びます。ですが明大落研では志の輔さんの方が先輩だったので、談幸さんは今でも志の輔さんを、先輩と呼んでます。志の輔さんは談幸さんを、高田くんって呼びますからね」

 トリは五街道雲助『八五郎出世』。おめでたい噺でキチッと締めくくった。

2011年10月15日記

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