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2009年12月6日 イキウメ『見えざるモノの生き残り』(紀伊國屋ホール)

 この世に未練を残して死ねないでいるというと、幽霊ということになってしまうが、この芝居では、そういったものは座敷童子(ざしきわらし)になってしまうという設定。座敷童子は、取り付いた家の幸せをもたらすまで居つくことになる。

 しかし、幸せとはなんなんだろうか? それはその人それぞれによって違う。親が莫大な借金を残していなくなってしまった女性がいる。彼女の家には借金取りが連日のようにやってくる。少ない給料から借金を払い続けようにも、毎月利子だけで飛んで行ってしまう。それでも彼女はこれが天が与えた試練だと解釈して、不幸せだと感じていない。変な宗教にかぶれているのか、はたまたドMなのか。

 芝居は一応のラストを迎え暗転。これで終わったのかと思ったところで、最初の方のシーンがまた再現される。それも違った描き方で。そのショッキングなこと。観客はいろんな意味でガツンと一発殴られた気分にさせられる。

 そしておそらく多くの人が、帰宅途中で「幸せってなんだろう」という思いにとらわれたに違いない。

12月23日記

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