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2010年9月19日『表へ出ろいっ!』(東京芸術劇場・小ホール)

 席に着いたらBGMで初期のレッド・ツェッペリンの乗りのいい曲が流れている。こういうのってうれしい。開演前を楽しく過ごせるから。観劇後に気が付いたのだが、野田秀樹はレッド・ツェッペリンの『コミュニケーション・ブレイクダウン』を聴きながら、この芝居を書いたんじゃないだろうかと勘ぐってしまった。考えすぎか。開演時には『胸いっぱいの愛を』が流れていて、その音量がひときわ大きくなって芝居が始まった。

 能楽師の父(中村勘三郎)、母(野田秀樹)、娘(黒木華)の三人家族。飼い犬が妊娠していて今夜にも出産しようとしている。誰かが留守番しなければならないのだが、3人とも外出したがっている。3人はお互いに譲らず、ついには鎖をかけあって誰も外に出られないとう状況になってしまう。

 3人の役者がすごいハイテンションで演技をする芝居で、1時間20分は限界なんだろう。題材的にもこれ以上は広がりようがないだろうし。

 犬の出産に立ち会うということはなかなか経験できない感動的な瞬間だから、テーマパークへ行きたいとか、アイドルのコンサートに行きたいとか、ファーストフードへ仲間と行きたいとかの外出の理由なんかより、よっぽどこちらを優先するだろうになあと感じたのだが、ある意味では犬の出産なんか放っておいて、3人とも出かけちゃえばとか、あるいは犬は動物病院に預ければとか、いろいろなツッコミが頭の中に湧いてきてしまって、どこかうわの空って状態の私でありました。こんな見方しちゃいけないんだろうけどね。

9月2日記

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