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2010年7月30日ブス会*『女の罪』(リトルモア地下)

 ここ数年、ポツドールの芝居だけは中毒のように欠かさず観に行っている。もちろん、溝口真希子の“女”シリーズ『女の道』、『女の果て』も観ている。『女の道』はAV撮影現場、『女の果て』はデリヘルの事務所という、舞台設定自体も特殊なもので驚きだったが、それはもう女のドロドロした人間関係が描かれいて、ぐいぐい引き込まれた。

 その溝口真希子がペヤングマキ名義で立ち上げた、ブス会*の旗揚げ公演。リトルモア地下というところへは初めて入った。定員は60名ほど。といってもかなり無理がある60名。小さな丸椅子をくっつけて並べている。そこへ観客を無理矢理に詰め込む。かなり窮屈な感は否めないが、妙な一体感がある。隣の男性とも肩と肩がくっつく。反対側に座っていた女性とも腕がくっつく。

 舞台は小さなスナックバー。普段は常連の男性客などで、そこそこ賑わっているらしいが、この日はさっぱり。開演当初、オーナーの女性は店におらず、アルバイトの20歳になるしのぶ(大樹桜)が店を見ている。客は常連の風俗嬢真理亜(玄覺悠子)。彼女がここにいる理由はラストで彼女の口から明かされる。そしてもうひとりの客は、ふらっと入ってきたアラサーの主婦弥生(岩元えり)。

 弥生は、自分の主人が風俗ギャルにハマっていることが悔しくて飛び出して来たと打ち明ける。いまやセックスレス夫婦なのだという。「最後にセックスしたのはいつ?」 「えーっと、一ヶ月くらい前かな」 「そんなの今、普通じゃない?」 「主人とじゃないの」 「・・・」 「出会い系っていうの? でも一度だけよ」 さらに話していくうちに、弥生に生理が来ないという話になる。「とすると、その子供・・・!」

 酔ううちに、しのぶは実は一回り上の妻帯者と不倫関係にあることを打ち明け出す。

 オーナーの女性香菜子(中坪由紀子)は、なぜか秘密を抱えていそうで、店を出たり入ったりしている。

 そこへ第5の女、美姫(安藤聖)が入ってくる。美姫は、以前このスナックで働いていたが結婚してひとりの子持ち。亭主に働きが無くキャバクラで働いている。

 ようするに5人が5人とも、男の問題を抱えていて、どれもがいわゆる、取ったの取られたのというところに行きつく。5人は“女”全開で、女を、自分を主張し合う。

 ポツドールでは、露骨にセックス描写がなされたりするが、『女の罪』には男性の役者が出てこない。それもあってセックスの直接的描写は無いが、生々しい女性の生理が舞台にあふれかえる。女の見栄、女の誇り、女の意地、女の性、そして、そして、女の罪。

 5人が5人とも、ブスとは程遠いきれいな女優さんたち。その女優さんたちが“女”であることを見せつける。いやあ、タジタジです。こういう芝居を見せつけられると、女は強いと思う。そして男は弱い。

8月4日記

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