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2009年8月16日柳家喬太郎on『斎藤幸子』(ル・テアトル銀座)
 
 柳家喬太郎が出演中の『斎藤幸子』のセットのまま、ここで喬太郎が落語を演るという企画。

 セットは下町の町並みと、その中の一軒の家の茶の間といった感じ。犬の着ぐるみを着た喬太郎が2階の物干しから登場するや、場内は大受け。
 まずは銀座だということで、『銀座の真実』とでもいったマクラから。銀座の、その四方に対する接し方考察で笑いを取る。銀座の北側、京橋、日本橋地区には敬意を払う。西側の有楽町とは一線を引きたいが、その奥に皇居があるので関係性を維持している。東は築地、月島。こちらは明らかに違う地区だが、魚河岸があるので、下手なことを言うと魚を下ろしてもらえないので、こちらも関係性を維持。ところが南側の新橋地区に対しては、あからさまに自分とは違うのだという態度を取る。なんていう考察は喬太郎ならではだろう。
 一席目は『お菊の皿』。お菊に対する拷問描写のねちっこいことといったら、ちょっと他の演者ではみられない細かさ。この話芸で引きつけておいて、後半のお菊登場のところでは電飾照明を使って目で驚かせるなど、この場所をうまく使っている。さすが知恵者というところ。

 めくりが返ると、瀧川鯉橋の文字。あらら。「喬太郎アニさんに、今日頼まれていたんですが、場所を知らされたのが昨日。来てみてびっくりしました」 そんなバカなと思ったが後日鯉橋さん本人に確認したら、本当なんだとのこと。ネタは『だくだく』。セットの上で演るのに、うまい選択だなあと感心したが、これも本人に確かめてみたら、当日何をやろうか候補を3席、喬太郎に伝えたら、「『だくだく』がいいんじゃない? 仏壇もあるし」と言われたとのこと。

 前座さんが高座返しをするのかと思いきや、座布団を持ち去ってしまう。そこに登場した柳家喬太郎。実はもう噺に入っていた。『ほんとのこというと』なのだ。しかも落語を一人芝居で演るという趣向。去年の小宮孝泰さんの芝居『線路は続くよどこまでも』方式で登場人物を全てひとりで演ってしまおうというもの。なるほど、このセットは『ほんとうのこというと』にぴったりだし、登場人物が一度にたくさん出てくるこの噺は、この方式の一人芝居にうってつけではないか。才人としかいいようがない。

 三増紋之助の曲独楽もセットの中で。セットの茶の間で回しながら、「畳の上でやっていると、家で稽古してるみたいだ」

 トリとなる噺は客電も落として、柳家喬太郎じっくりと『心眼』。やっぱり圧巻は茅場町の薬師様に毒づくところ。「だめかなあ。だめかなあ。お賽銭、少ないですかけど、あげましたけどね。だめか。・・・勝手にしろい! 賽銭の多寡で見えるようになるんなら・・・殺してくれい!」 じーんと来た。

2009年9月12日記

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