2009年8月29日『狭き門より入れ』(PARCO劇場) [更新]という言葉は、インターネットができる前は、それほど使われなかった言葉だと思う。 また、[リセット]なんていう言葉もゲーム機ができて、頻繁に使われるようになった。先日、テレビのドキュメンタリーで家出した少女が「自分の人生をリセットしたい」という言葉を使っていて驚かされてしまった。ゲームじゃないのだから、リセットして自分の今までの人生がチャラになるなんてことはないのに。現実世界では自分の過去は常に付いて回る。 『狭き門より入れ』は、人類、あるいは地球が生き残るために、神(?)の手によって、更新がなされるという世界。世界が悪性のインフルエンザによって滅びようとしている。そこで世界はもうひとつの新しい世界を作り、この世界を更新しようとしている。新し世界に行ける人間は限られていて、誰が残され、誰が更新後の世界に行けるかは、わかっていない。 佐々木蔵之介、熱演。とくにクライマックスに向かって演技が熱を帯びてくる。かっこいい。かっこよすぎかな。 ぼくらの人生は、決してまっさらにしてリセットなんてできない。ホームページは更新して、過去に書いたことは消せることはできるが、ぼくらの人生は過去を全て無かったことにはできない。そんなことを考えさせられる芝居だった。 9月20日記 このコーナーの表紙に戻る |