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2010年9月5日 『シダの群れ』(シアター・コクーン)

 岩松了の新作はヤクザもの。しかも劇場がシアター・コクーンとは意外だった。もう手あかのついたヤクザの話を、なぜと思いながらも観に行った。チラシも昔のヤクザ映画のポスターそのままだし。

 芝居が始まってからも、なんだか昔観たヤクザ映画の図式のような世界が繰り返されているようで、なんでいまさらという気がしてくる。風間杜夫の幹部もそれらしいし(もっともどこかユーモラスな面も)、伊藤蘭も極道の妻そのまま(好演)、跡目相続をめぐる小出恵介と江口洋介の関係も月並みかなあと思っていると、チンピラ役の阿部サダヲの登場によって、この芝居が、いままでのヤクザ映画とは大きく違って見えてくる。

 登場人物たちは、それぞれが、それぞれの思いを持っているのが伝わってくる。それは台詞に現れなくても、「組のため」なのだがそれぞれが、違った方向性を見ているのが、観ている側に感じ取れるという巧妙な作り方だ。

 本音を口に出さない登場人物の中で、ラストで阿部サダヲが洩らす台詞が痛い。そしてそれに続く予想もつかない展開、幕切れ。しばし席から立てなかった。公演は今月末まで続くから、あまり詳しくは書かないことにするが。いやあ、これは今年観た芝居の中でも、かなりの衝撃だった。阿部サダヲ、凄い。凄過ぎ。

9月11日記

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