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客席放浪記

2012年2月5日『志の輔らくご in PARCO 2012』(PARCO劇場)

 恒例の、立川志の輔一ヶ月公演の千秋楽。

 一席目は新作『タイムトラブル』。授業に遅れてきた先生が、そのわけを説明するのだが、それの理由が突然に宮本武蔵が現れたという奇想天外なもので、生徒たちはあきれかえってしまう。悪くは無いとは思うのだが、これまで数々の新作の名作を聴かせてくれた志の輔にしては、なんだかツメが甘いような気がする。もう少し工夫できたんじゃないかと思うと、惜しい噺。

 二席目は『メルシーひな祭り』。これは、ここPARCOでしかやらないネタだと思うが、これはもう三回目か? 毎年来ている客としては、「また?」という気になってしまう。どうせ最後はアレだろと思うと、その通り。それだけのために、またやるのか。もうこれが最後だろうなあ。これもいい噺だとは思うが、毎年のようにやられるとねえ。

 仲入り後の古典は『紺屋高尾』。28年前に師匠立川談志のものを聴いて、いつかこの噺ができる日が来るだろうかと思ったという、志の輔にとっては思い入れのある噺だったようだが、、今、志の輔が演る噺がこれだろうか? 今回の公演は、談志への追悼の意味もあったはず。実際、『紺屋高尾』が終わった後、一旦降ろした幕を上げて、談志の思い出を語った志の輔。もっと別のネタがあったのではないかという気がしてならない。

 年末の談志の死去から間が無くて、準備に時間がかけられなかったのかもしれないが、今年のPARCOは、やや小粒になってしまったような印象なのは私だけなのだろうか?

2月6日記

静かなお喋り 2月5日

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