直線上に配置

客席放浪記

2月1日『新世紀落語の会 第五回東京公演』(内幸町ホール)

 上方の新作落語公演。今回で5回目。19時5分開演。最初に出てきた桂三四郎が言っていたが、チラシには「文化庁芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)」とある。なんか凄そうな会だ。

 その三四郎の『オーケストラのはしっこで』は、オーケストラのシンバル担当になった若者の噺。打楽器担当はあるけれど、本当にシンバルだけの専門家っているのかね、って突っ込みを入れたくなるけれど、そこはそれ落語だから。トップレベルのシンバル担当なんだろう。

 「落語家に成り立ての頃、カップ焼きそばを買ったら、中に青海苔が入って無かったんですわ。暇やったからサービスセンターに電話したら、『すみませんでした』って、カツプ焼きそば1ダース送って来ましてね。次にカップ麺買ったら今度は調味オイルが付いてない。またサービスセンターに電話したら、カップ麺の詰め合わせ送ってくれました。これはいい思て、何でも無いのに電話して、いろいろ送ってもろて、しばらく食い繋ぎました」と月亭遊方

 『クレイマークレイマー』はそんな苦情を持ち込む詐欺まがいのクレイマーと苦情処理係の噺。独身男がキャラメルを食べていると中から金属が出てくる。実在しない自分の三歳の娘が食べたことにしてメイカーに連絡すると苦情処理係がやってくる。その金属は歯の詰め物ではないかと疑る処理係。三歳児が歯に詰め物をしているわけはないと、娘と奥さんを出してくれと迫られる。

 桂小春團治『教科書戦士スーパー・カリキュラム』。突如学校を襲う悪の化身ミダライド。それに立ち向うは各教科の教師たち。その名もスーパー・カリキュラム。火遊びファイアー攻撃には、スーパー理科が「石綿付き金網!」 「それじゃあ、そんなに防御できないだろ! だいたい石綿は今、問題だろ」 そこへスーパー社会が「瀬戸内式気候!」 「うわあ、温暖だあ」 こんな闘いが、ずーっと続く爆笑編。

 ゲストが東京から春風亭百栄で、お馴染みの『桃太郎後日譚』。このために作ったらしい羽織(?)もお馴染み。この噺はよく作り込んであるから、飽きが来ないで、いつも笑える。

 上方の噺家さんは、よく東京と大阪の違いを笑いにする。笑福亭仁智もマクラで「動物園で、東京ですと『危険ですので檻に近付き過ぎないように』なんて書いてありますが、神戸の動物園『噛みます』ですから。お葬式でお子さんが『おじいちゃん、どこへ行っちゃうの?』って聞いたら『天国へ行くのよ』なんて言うでしょ。大阪のオバチャンは『これから焼き場へ行くねん』」

 ネタの『多事争論』は、朝食に目玉焼きが出てきた上方の旦那、ソースを持ってこいと言うが、あいにくソースは切れていると言う東京出身の奥さん。醤油をかけて食べろと言われて、「目玉焼きにはソースや!」と怒りだしてしまう。ところが、目玉焼きには、塩だ、ケチャップだ、タバスコだ、バルサミコ酢だという人たちまで現れて。最後はお客さんの拍手で何をかけるかが決まるという趣向。

 この噺は後を引くようで、終演後もあちこちで、何をかけると言う話題で盛り上がっている。人それぞれ好きなものをかければいいいのだけどね。21時20分終演。

2月2日記

静かなお喋り 2月1日

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置