2009年10月12日 第8回僕のらくご道(なかの芸能小劇場) 三遊亭天どんの独演会。と言っても前座さんを含めて、天どん以外に三人の噺家が出演する。 開口一番の三遊亭玉々丈。のりピーと柿ピーの違い三連発で笑いを取ってから『名古屋版金明竹』。名古屋出身の師匠円丈のネタを、東京出身の玉々丈がうまく再現している。「かんでかんでかんぎゃあ」 かんでないよ。 古今亭駒次は『バッハの肖像画』。中学生の男女が夜の教室に忍び込んでいくと、音楽室からピアノの音が聴こえてくる。それもバロック調の演歌。バッハの亡霊か? 学校の怪談もの。 三遊亭天どんの一席目は、修学旅行の思い出をマクラに『二番煎じ』。修学旅行の夜の楽しさと、火の用心の見回りの楽しさをダブらせたらしいのだが、まさに天どんの『二番煎じ』の旦那方は楽しそうだ。番小屋に戻ってからの酒盛りの場面が長く、本当に旦那衆は修学旅行にやってきた学生のように楽しんでいる。普通に演って30分ちょっとの噺だが、50分くらいあったろうか。 春風亭百栄は『状況説明窃盗団』。南部デパートの北海道物産展に泥棒に入った三人組の噺。以前から思っているのだが、百栄の作る新作落語は、落語というよりもコントに近い。登場人物は、ふたりか3人くらい。ストーリーというものはあまり無く、その場のシチュエーションで笑わせるという手法。百栄の落語はコントを落語で演っているのだと思う。ではつまらないのかという、そうではない。これは、今までになかった新しい落語だ。今、私が最も面白いと思う新作落語は、百栄なのだ。 三遊亭天どんの二席目は新作。クリスマスの噺を二席持っているそうだが、またクリスマスの噺が出来てしまったと、三作目のクリスマスの噺。大人気で入手難になっているオモチャがどうしても欲しいグリちゃん。クリスマスのプレゼントにサンタさんに何を貰いたいと訊かれて、その人気のオモチャが欲しいと両親に告げるが、それはサンタさんにも無理だろうと言われてしまう。そんなある日、自分はサンタクロースだと言う老人に出会う・・・。これも長い。これまた50分くらいあった。崖から落ちそうになるグリちゃんのサスペンスなどの盛り込みもあって聴かせるのだが、もう少し刈り込んでもよさそう。最後のメルヘンに至るまでに、少々ダレてしまった気がしないでもない。 10月17日記 このコーナーの表紙に戻る |