2010年11月5日第105回東穀寄席年金部(東穀ホール) 東京穀物商品取引所の社員から、この建物を取り壊すことになった旨の説明があり、このホールでの東穀寄席はこれが最後だと告げられ、客席内に動揺が走ったが。来年からは人形町商店街協同組合が社会教育会館ホールを使って引き継ぐとの説明が続き、ほっとした空気が流れる。 続いて人形町商店街の会長から、人形町末広が無くなってから、商店街主催で人形町寄席を6年間開催したこと。それを東京穀物商品取引所が受け継いで18年間続けてくださったことの感謝の辞を述べ、引き続き東穀寄席の名前を引き継ぎ、これからも先物買いの精神で若手の育成を目的とした落語会を行っていくとの挨拶があった。 そしてセレモニーとして、東京穀物商品取引所かに人形町商店街に、今までのネタ帳が引き渡された。 今回は特別編なのか、いつもの若手ではなくベテランをズラリと顔付けしている。 まずはこの会の卒業生でもある立川生志から。「まだ前座のときから、この会に出させてもらっていました。そのあと二ツ目、真打になるまで出させてもらって、お後に交代して、今度は年金部見習いです」と、この会の思い出を語り、『千早振る』へ。『千早振る』といえば、橘家文左衛門が「とは」の意味をあとから出てくる出演者に丸投げで振るというのをやっているが、生志は「とわーっと言って水に落ちた」 ひゃー、落ちたねえー。 立川ぜん馬は人形町のマンションに住んでいる。「今度寄ってくださいよ。でもピンポーンと押しても私は出てきません。一万円札をドアの隙間から差し入れるとスーッと開くことになっております」。ネタは『掛け取り』。そんな季節になってきたかあ。 「老後は温泉に限ります。道後温泉って言って」。ロウゴとドウゴをかけたのか。ちょっと苦しいか春雨や雷蔵。「男の楽しみは酒と女だそうで。ただし酒も女も2ゴウまで」と『明烏』。 三遊亭小歌の噺は初めて聴く噺。仲間数人でいつもの居酒屋へ行って店主と話しをする噺。「演歌が好きでね。エンカって言っても、ヤマノアナアナじゃないよ。村田英夫だよ。♪身にふる火の粉は払わにゃならん」 「お客さん、勘定も払ってくださいよ」 この人、圓歌の弟子だよね。 トリは橘家圓蔵。「チンチラって何食べるの?」 「この動物はゴボウしか食べない。チンチラゴボウって」 こんなダジャレをマクラで振り撒きながら『火焔太鼓』へ。昔のようなスピード感は無くなってしまったが、この人、本当に落語を演るのが楽しそうだ。 11月6日記 このコーナーの表紙に戻る |