直線上に配置

客席放浪記

Vシティ寄席

2014年10月12日
Vシティ・コミュニティホール

 知人に誘われて行った、マンション内の自治会主催の落語会。二ツ目の落語家が三人、一席ずつ。二ツ目の人は若くて勢いがあるから、聴いていて気持ちがいい。新宿末廣亭の深夜寄席や、上野鈴本演芸場の早朝寄席が人気があるのも、そういった理由があるのかもしれない。

 歌武蔵の弟子の三遊亭歌太郎は、そろそろ二ツ目になって6年。昨日、鯉和で聴いた『やかん』をここでもまた聴けた。根問ものだから登場人物ふたり。初心者にも演りやすい噺らしくて、前座、二ツ目の定番。師匠歌武蔵ゆずりなのだろうか、客を飲んでいる感じが不敵で頼もしい感じがする。噺の持って行き方もスピーディで淀みない。あれっ、この人の『やかん』、以前にも聴いた気がする。家に帰って調べてみたら去年の3月16日の深夜寄席だった。

 志ん駒の弟子の古今亭駒次は、二ツ目になって7年8ヶ月。この人の落語は、新作を演る関係で、新作好きな私は割とよく聴いている。鉄ちゃんでもある人で鉄道に関連した新作落語が多い。今日の『旅姿浮世駅弁』は初めて聴いた。鉄道駅の駅弁の利権をめぐって、駅長と業者が結託している噺なのだが、ほとんど『水戸黄門』をベースにした、トンデモな噺にしている。これは可笑しい。お客さんの受けもよかったようだ。

 正蔵の弟子の林家たけ平は、そろそろ二ツ目生活も十年近くになりそう。来年あたり真打昇進か? 「今日はこちらまでタクシーに乗ってきました。後ろの席から運転手さんに、『ちょっと運転手さん』と肩を掴んだろ、『ぎゃっ!』って驚きまして。『どうしたんですか?』と聞いたら、『私、昨日まで霊柩車を運転していたものですから』」。今日のネタは『源平盛衰記』。地噺でも、この人の場合、あまり脱線しないでストレートに源平の合戦、そして扇の的の噺を語っていく。歌太郎の『やかん』とちょっとついちゃたけど、いいやね。寄席じゃなくて地域寄席なんだもの。この人のこの噺も確か以前に聴いているような気がして帰ってから調べてみたら、去年の春、『花形演芸会』で聴いているんだね。

10月15日記

静かなお喋り 10月12日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置