2010年2月11日悠々遊雀(内幸町ホール) 長めの噺が並ぶ会だというのに、鏡味初音の太神楽から。五階茶碗と傘。舌ったらずな喋りっぷりだが、どうやらこれは芸風なのだろう。「大丈夫なんだろうか」と心配させる手なんだろうなあ。 三遊亭遊雀の一席目は『猫の災難』。この日は『猫の災難』と『らくだ』の二席。この二席に共通するのは酒とトラブル。そこで川柳川柳師匠の酒とトラブルの逸話をマクラに持ってくる。こういう噺をするときに川柳師匠は便利だね。遊雀の『猫の災難』は、いきなり「あー、酒が飲みたい」という台詞から入る。身をよじらせてのこの最初のインパクトで、熊さんが猛烈に酒が飲みたいのだという様を見せつける。そしてアニキの置いていった酒を一杯飲むと「ああ、何されてもいい」とまた身をよじる。熊さん、もうこの時点で全部飲んでしまおうと思っていたんじゃないかと思わせるくらいだ。 ゲストが小宮孝泰で『抜け雀』。この噺は小田原が舞台だと知ったのは最近のこと。そんなに聴き流してたんだなあ。小田原出身の小宮さんは、マクラでたっぷりと小田原の話を振り、小田原であることを強調した噺に仕上げた。ラストの父と子の情愛もいい。 三遊亭遊雀二席目の『らくだ』は、2008年12月にも観ていて、そのときの感想と同じ。21時終演というのに、『らくだ』が始まったのが20時40分。屑屋にアニキが「急いで行ってこいよ。『猫の災難』が長すぎて時間がないんだ」 それで終演は21時10分。なんと30分で『らくだ』演っちゃったよ。それも焼き場まで。酔っ払った屑屋さんのはところが、ちょっと短くなったかなあという気がしたけれど、この狂気の『らくだ』は、やっぱり凄いの一言。 2月18日記 このコーナーの表紙に戻る |