November.26,2001 ありがとうございました
本日明治座千秋楽。今月は杉良太郎座長公演『遠山の金さん〜江戸のわらじ唄』でした。葉山葉子様、山田吾一様、石橋正次様、高松しげお様、荒木雅子様、浪花勇二様他の皆様からご注文をいただき、出前させていただきました。ありがとうございました。
千秋楽の日、ご出演なさっていた古今亭志ん五師匠がおみえになりました。ご注文はいつも志ん朝師匠がなさってたいたのと同じ、ねぎせいろと半ライス。ありがとうございました。
November.24,2001 関西弁のセールスマン
ひとことで[関西弁]という括り方をされると、関西のひとは抵抗があるのかもしれない。大阪も京都も神戸も違う方言なのだと言うだろう。自分たちの方言に誇りを持っているのだと思う。現に私が関西の人達から[東京弁]と言わずに[関東弁]などと言われると、[関東弁]なんて言葉はないよと言いたくなってしまう。だいたい[東京弁]なんてものが今あるのだろうか? 以前はあったはずだか、今や標準語化して新しい世代からは消えていこうとしている。
ある日の夕方、休憩時間を終え夜の営業を始めようと暖簾を出してすぐのことだった。ひとりの若い男が店に入ってきた。ああ、この人は客じゃないんだなというのはすぐに分かる。飛びこみのセールスマンなのだなとピンと来た。なにしろこの人、[物腰の低い]という言葉をどう解釈しているのか、本当に腰を低くして、膝を極端に曲げて愛想笑いを浮かべながら歩いて来る。大抵は忙しいからと追い返してしまうのだが、まだ店を開けたばかり。お客さんはひとりもいない。適当に話を聞いて追い返そうと思っていたら、このセールスマンの持ってきた商品がなかなかのアイデア・グッズ。値段も安いし、珍しく買う気になってしまった。
商品の使い方の説明を受けているうちに、この人大阪弁のイントネーションがチラチラと入るので、「失礼ですが、大阪の方ですか?」と訊いてみた。「ええ。そうなんです。まだ大阪から出てきて間もないんです。会社に入ったら大阪弁はまずいから直せと言われたんですが、ついつい出てしまうんです」
そうかあ、そりゃあそうだよな。別に悪気があるのではないが、わたしら東京の人間は関西弁にあるイメージが出来ている。関西弁を喋る大阪の商人→ずるがしこくてがめつい・・・というアナクロな考えが頭の中に出来てしまっている。関西弁を喋るセールスマンが入ってきた瞬間から不信感を抱いてしまう人は多いんだろう。上方落語にはない『金明竹』という噺が東京で受けるのも、関西弁の商人→うさんくさい・・・というイメージがあるからなのだろう。
学生時代、東京に出てきても頑固に大阪弁を喋っていた男がいた。この男の大阪弁が面白いので、この男と喋るときは私もついつい引き込まれてヘンな大阪弁を喋たりしていた。私は不思議なもので大阪弁はどちらかというと耳障りに感じるくせをして、真似をして喋ると快感を覚える。標準語よりも感情が表せるということがあるのだろうか。喋っていて楽しい方言だという気がする。
頑固に大阪弁を喋っていたこの男、東京の会社に就職したが、すぐに辞めて大阪に帰ってしまった。やっぱり標準語に直すように言われ、それが肌に合わなかったのかもしれない。