May.27,2003 ありがとうございます

        本日明治座千秋楽。今月は五木ひろし座長公演『喧嘩安兵衛』でした。林与一様、加藤紀子様、笹野高史様、山田貫太郎様他の皆様から出前のご注文をいただき、楽屋にお届けさせていただきました。ありがとうございます。


May.24,2003 夜行バス体験

        名古屋で、大須演芸場、『オケピ!』名古屋公演を観て、ホテルに一泊してもよかったのだが、翌日に予定も入っていたこともあって日帰りにすることにした。と言っても、『オケピ!』の終演時間は午後10時15分。東京へ帰る新幹線は終わってしまっている。それで思いついたのがJRハイウェイバス。深夜に名古屋をたち、早朝に東京へ着く深夜バスだ。

        バスのチケットを取ったのは、名古屋11時20分発の[なごやドリーム4号]。寝酒をかねて、JRバス乗り場の近くのホテルのラウンジで生ビールを2杯飲んで発着所へ。この日の[なごやドリーム4号]は2台。それでも受付に寄ってみると満席だそうな。当日券を買おうとした人がカウンターで満席だと断られていた。

        バスを確かめて、チケットを見せて乗り込む。私の席は2階だとのこと。座席番号を見ながら暗い車内を移動する。横3列に座席が置かれている。私はその真中の席。席に着きシートベルトをしてリクライニングを心持ち下げた。あまり下げすぎると後ろの座席に座った人が迷惑だろうなと思ったからだ。座席に置かれていた毛布をかけて就寝準備。

        定刻11時20分。バスは動き出した。総ての窓にはカーテンがひかれているので外の景色は見えない。どこを走っているのかわからないのだが、どうやら高速道路に向っているのだろうなという事だけは想像できる。途中、栄のバス停でお客さんを乗せて、また走り始めた。果して深夜バスの座席で眠れるものだろうかという不安は杞憂だった。スーッと眠りの中へ。

        目が醒めたのは、サービスエリアでの休憩だとアナウンスが流れたとき。時計を見るとまだ1時前。いくらも走ってないじゃないか。せっかくだからと外に出ると、このサービスエリアの店は総て閉店時間。何台も置かれた自動販売機だけが光を発している。トイレに行っておくかとトイレを捜したが、このサービスエリアのトイレは実にわかりにくい位置にあって、随分と歩き回ってしまった。私以外にも何人かバスを降りてきたが、みんな若い人たちだ。私のような中年男性はひとりもいない。

        再びバスに乗り込み座席に着く。20分の休憩だとアナウンスされたのだが、実際に動き出したのは30分後。高速道路は渋滞がなく、時間調整をしたのだろう。全員乗っているか運転手が確認に来ているのがわかる。再びウトウトとする中、バスは動き出した。隣の座席は若い女性だった。妙齢の女性の寝息がすぐ近くで聞えるなんて、そんなに経験できることじゃない・・・・・なんて思っている間に、また沈没。

        と、寝たか寝ないかのうちに、またアナウンスがあって起こされた。時計を見ると午前3時半。どうやら足柄サービスエリアらしい。とすると、ここは御殿場か? 起きあがって外に出てみる。ここは深夜とはいえ、店も営業していた。食堂も土産物屋も開いている。食欲も無いし、これといって欲しいものもないので、ざっと眺めてからバスに戻る。ここも20分の休憩というのが、30分以上たってから出発。すぐにまた眠りに入ってしまった。

        次に眼が醒めたのが午前5時半。またアナウンスがあったからだ。バスは高速を降り、霞ヶ関を走っているという。バスの終着は東京駅だが、霞ヶ関で降りたい人はここで停まると言う。東京駅まで行くよりも、霞ヶ関で地下鉄に乗り換えた方が便利だなと思った私は、ここで降りることにした。バスが停まったようなので、荷物を持って下に降りる。後ろのドアから降りようとしたらドアが開いてない。前の運転手に「すみませーん。ここで降ります」と言ったら、前に出て来て欲しいと言われた。運転手に乗車券を渡すと、「降りるならベルを鳴らしてくださいよ」と怒られてしまった。どうやら降車ボタンがあったようなのだ。暗くて見えなかったんだよね。なにせ乗ったときからカーテンが締めっきりで、あたりが見えなかったのだ。

        早朝の霞ヶ関にひとり、ポツンと立つ。バスはすぐに走り去った。霞ヶ関で降りたのは私ひとり。近くに見えた地下鉄の入口へ向って歩く。どうやらこのバス、利用者は若い人たちで、それも常連の人たちばかりだったような気がする。私のようなオジサンはいなかったらしい。もう、こんなバカな真似は止めよう。オジサンが乗るものじゃないらしい。もう歳なんだから、こんな強行軍はするべきじゃない。

        それにしても我ながら、よくぞ眠れたものだ。途中のサービスエリア休憩さえなければ朝までグッスリと眠り込んでいたに違いない。願わくば、車中でイビキをかかなかったことを祈るだけ。若い女性の寝息はいいが、中年男性のイビキは顰蹙ものだもんなあ。


May.8,2003 包丁を持った鶏

        ウチの店は、店内がゴチャゴチャとした感じになるのを嫌い、壁などにメニューを貼り出したり、飾りものをしたりといったことを、あまりしない。強いて飾っているのが、亡くなった叔父が彫り上げた翁の面と、お得意さんが毎年くれる干支の織物、そして、ミニ掛軸。このミニ掛軸には絵の描いてあるミニ色紙を季節ごとに変えて入れてある。



        今、飾ってあるのが菖蒲なんですが、これ、毎年見るたびに、どうしても菖蒲に見えない。他の人に訊いたら、みんな同じことを想像していた。そう、菖蒲の花が鳥に見えるんですよ。狂暴な顔をした鶏に見えませんか? 葉っぱのつもりなんだろうけれど、左側に伸びているのは、刺身包丁のような気がする。包丁を持った狂暴そうな鶏。そう見えるの私だけじゃないよね。



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