Jun.3,2005 カフェと禁煙

        カフェ戦争も激化している。手軽に安い料金でコーヒーを飲む事ができる大手のカフェ・チェーンが私の街にも続々とオープンして、お客の争奪戦である。この余波を食らって昔ながらの喫茶店は廃業に追い込まれたところもあるし、どっこいまだ頑張っているところもある。

        そんな中、スターバックスの方法は画期的だった。店内全面禁煙。コーヒーの香りが落ちるからなんだそうだ。私はタバコを吸わないのだが、愛煙家はさぞ面食らっただろう。ほっと一息入れにカフェに入ったら禁煙。「そりゃあないだろう」というのが正直な思いなのに違いない。喜んだのは私のようなタバコの煙が嫌いな人種なのだが、カフェで全面禁煙という経営方針はさぞかし勇気がいっただろうと思う。タバコを吸うお客さんは来ないでくれというのだから。

        スターバックスの影響もあるだろうし、保健所からのお達しで国民健康法にのっとり禁煙、分煙を推奨されるようになったこともあり、飲食店では禁煙化、分煙化が進んでいる。まあ、店によっては、お客さんの回転をよくするために禁煙にしているところもあるようなのだが。食事が終わってからも長々とタバコを吸って居座られては困るわけだ。私の店でも、ランチ・タイムは禁煙とさせていただいている。

        先日、外出先で夕立にあった。いずれ止むだろうからとカフェへ入った。180円のコーヒーをカウンターで貰い、空いている席を捜した。店内はそれほど混んでいるわけではなかったが満遍なく人がいる感じ。禁煙席を捜したがこの店は分煙はしない方針のようだった。窓際の椅子のひとつに腰掛けて、外の雨を眺めながら溜息ひとつ。別に急ぎの用があるわけでもなかったのだが手ぶらで出てきてしまったから文庫本を読めるわけでもない。こういうときの時間の潰し方がわからない性質なので困ってしまうのだ。するとサラリーマンらしい男の人が隣のテーブルに座った。おもむろにタバコに火をつけてフーッと吐き出す。煙い。本を読むなどの気を紛らわす事も出来ないので、こういうときは余計に気になるのだ。席を移動しようと決心してコーヒー・カップを持って立ち上がった。今度は出入り口に近いカウンターのようになっている席だ。席に座ってコーヒーを一口。するとまた隣に今度は女性が座って、バッグからタバコとライターを取り出した。なんてついてないんだと店内を見渡すと、ほとんどの人がタバコを吸っているではないか!

        ひょっとして、スターバックスが店内全面禁煙を打ち出して、タバコ嫌いな人はみんなスターバックスに集り、愛煙家はスターバックス以外のカフェに集るようになったのだろうか? 私は、カフェが並んであれば全面禁煙のスターバックスに入る。一方、愛煙家はスターバックスは避けるだろう。はたして、得したのはスターバックスなんだろうか、それ以外のカフェなんだろうか?


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