January.11,2008 トータルテンボスを超えた?上々軍団

        未見だった『爆笑オンエアバトル』を観ていたら、驚きの回があった。去年の11月18日放送分だ。ハウステンボスが出ていて、M−1グランプリの一回戦でやったネタを演っていた。この番組をご覧になっている方はご存知だろうが、10組の芸人が出てオンエアされるのは5組だけ。オンエアされるかされないかは、公開録画される会場に集った100人の観客の投票によって上位5組がオンエアされる。番組独自の計算方法で545キロバトルが満点。この日、トータルテンボスは525キロバトルだった。おそらく100人の審査員のうち3〜4人が投票をしなかったと思われる。トータルテンボスのネタはM−1で観たときも思ったのだが、よく練られているし、完璧だと思ったのだが、この日、なんと満点の545キロバトルを出したコンビがいた。上々軍団というコンビである。

        この日の上々軍団のネタは『校歌』。インターネットでも配信されているので興味のある方はご覧になって欲しいのだが、これもよく出来たネタである。多くの人が投票したであろうことには異論はない。だが、私にはやっぱりトータルテンボスの方に軍配を上げたい気がする。校歌をネタにしたものなら陣内智則のものの方が上だという気がするし。まあどちらにしろトータルテンボスも上々軍団も高得点だったわけだし、その差は限りなく近かったのだろう。こうなると、採点者の感性の違いでしかないだろう。プロのお笑い師が審査員のM−1、一般視聴者が審査員のオンエアバトル。M−1の審査員に上々軍団の漫才を評価させたらどういう結果になるだろうという興味はある。

        ちなみにこの日、私のお気に入りのTHE GEESEも出ていて、落選していた。まあ、お笑いなんて見る側の感性の問題ということなんでしょうがね。


January.2,2007 まさかの敗者復活からの優勝

        毎年恒例の『M−1グランプリ』が、昨年の暮にも放送された。ご存知のように漫才のナンバー1を競う催しで、プロアマ年齢関係なく誰でも参加できるようなのだが、実際に予選から決勝に勝ち上がってテレビで放映されるのは、今が旬な若手漫才コンビだ。決勝に残ることができるのは8組。それに敗者復活枠から1組で全部で9組が第一回戦を闘い、7人の審査員の採点で上位3組が決勝戦に進むというシステム。

        今回残ったのは、トータルテンボス、キングコング、そしてなんと敗者復活組のサンドウィッチマン。この上位3組は順当だと思う。私でも一回戦を観終わって、この3組が抜けていた印象が残った。ただ、観ていて、どのコンビとは言わないがとても決勝に残れたとは思えない、面白くないのもあったし、絶対にネタの選択を間違えたと思えるコンビがいた。それに輪をかけて不思議なのが、なんでサンドウィッチマンが決勝に残れずに敗者復活枠だったのかが謎だ。予選でよっぽど調子が悪かったとしか思えない。

        決勝は審査員ひとりひとりが、どのコンビに投票するかで決まる。前年は審査員全員がチュートリアルに投票して完全優勝だったが、今年はサンドウィッチマン4票、トータルテンボス2票(中田カウス、ラサール石井)、キングコング1票(大竹まこと)と分かれたが、過半数の4票を取ったサンドウィッチマンはやっぱり圧勝だったとえる。3組の漫才が終わった時点で、テレビの前である一視聴者としての私の採点は迷いに迷った。

        トータルテンボスのネタは、この3組の中ではもっともよくあるパターンの漫才だと思わせておいて、後半のひねりが利いていた。否定の前半の前振りを肯定に持っていき、オチも決まっていた。ネタだけの評価ならトータルテンボスが最高だったと思う。

        キングコングはその物凄いスピード感に圧倒された。おそらくかなり稽古に時間をかけたろうと思われる。一度でもトチる個所があればグズグズになってしまうであろうところをまったくのミスがなく突っ切った。一種陶酔感に襲われるほどだった。ただ、基本的に私はドツキ漫才というのが苦手なのだ。相方を叩くというのが生理的にだめなのだ。

        そしてサンドウィッチマンである。このコンビは『エンタの神様』でよく観るのだが、やくざっぽい人という伊達のキャラクターに、富澤がボケるというパターンが売物。今回の2つのネタもこのパターンから出ていない。だがそのやり取りが抜群に面白いのだ。そして気がつくと、声を出して笑えたのはサンドウィッチマンだけだということに気がついた。キングコングの場合はスピードが付き過ぎているのが仇となって笑っている空きすらないという感じ。サンドウィッチマンもスピードがある漫才なのだが、どっちが笑えるかというと、やっぱりサンドウィッチマンなのだ。トータルテンボスも面白かったが構成の妙に囚われすぎていたように思う。

        さて、となると、今後サンドウィッチマンの方向性が気になってくる。やくざっぽい人のコント漫才を今後も続けていくのか、また新たなパターンを生み出せるのか。早くも次のM−1が楽しみになってきた。


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