October.28,1999 マウスハント
飲食店をやっていると、どうしてもネズミの問題がでてくる。家庭用と違い、どうしても大きな換気扇が必要になる。そのダクトを通って入ってきてしまうのだ。かといって、ダクトに金網をかけていたりすれば、換気力は格段に落ち、仕事にならない。
ネズミが侵入するには、まず兆候がある。天井でネズミが走る音が聞こえるのだ。そうすると、まず使うのが、[ねずみ小僧]という商品だ。ネズミはハッカの匂いが嫌いだという。なるほど、この容器の蓋を開けると、強烈なハッカの匂いがする。これを天井裏に置く。ただし、いまのところ、その効果のほどは解らない。
次に登場するのが、粘着シートだ。最終的には、これに限る。昔ながらの籠式の罠や、大きなバネ仕掛けの罠はあまり効果ない。これにはまるようなバカなネズミは、このところいない。もっとも、粘着シートも最近は巧妙に避けて通る。しかし、相手も時にミスをする。こうなると持久戦だ。
夜、仕事を終えたら、いよいよ戦闘開始だ。粘着シートも各社からいろいろ出ているが、置く場所によってそれぞれ使い分ける。私の場合、写真のピンク色のやつを換気扇のダクトに仕掛ける。これは小さくて強力。ダクトを通ってきた子ネズミ、およびバカなネズミはこれにかかる。つい四日ほど前、これに子ネズミがかかった。
「いよいよ来たな」と思った翌日だった。いつものように、午前四時半に起きて厨房に行くと、ネズミが走ったのが見えた。親ネズミだ。昨夜仕掛けた粘着シートの罠を巧妙に避けて、換気扇のダクトをぬけて出ていった。ネズミには、家に居着いてしまうのと、夜になってから侵入し、朝になると巣に戻っていくのがいる。今回のは後者だ。この場合、ネズミの通り道をよく見ておく必要がある。そのルートにそって、粘着シートを仕掛けると効果的だからだ。
ネズミが来たとわかったときは、「嫌だな」という思いが強いのだが、なぜか、浮き立つものがある。「ようし、絶対捕まえてやる」という狩猟本能のようなものなのだろうか。今朝、ついに粘着シートに親ネズミが捕まっていた。しかも、同じシートにもう一匹子ネズミが。これって、ドジな子ネズミが捕まり、親ネズミが助けようとして、ど壷にはまったのだろうか。こうなると哀れを感じる。また、捕まったネズミを見ると可愛いのだよ。特に目が可愛い。かといって、飼うわけにもいかない。踏み潰して、ゴミ箱へ。これもまた、なぜか快感。
October.27,1999 ありがとうございました
明治座千秋楽。今月は北大路欣也座長公演『忠臣蔵』でした。北大路欣也様、滝田祐介様、大路三千緒様、片岡愛之助様、北町喜朗様他から注文をいただき、楽屋へ蕎麦の出前をいたしました。ありがとうございました。また、大出俊様、松山政路様、ご来店ありがとうございました。
October.20,1999 べったら漬け
昨日今日と小伝馬町のべったら市だった。早いもので、もうそんなシーズンになったか。ところで、今朝、築地に仕入れに行って、寿司屋に寄ったら、店主とお客の会話が聞こえてきた。
「昔、べったら市っていったら、もう寒くて厚手のコート着なくちゃいられなかったもんだ。それが、この暖かさだもんね」「やっぱり地球は暖かくなってしまったんですかね」「おれ、べったら市でべったら買った事ないよ」「へえ、そうですか」「その年に採れた大根を麹に漬けるわけだろ? 10月なんて、まだ早いよ。食べごろは11月中旬にならなくちゃ。漬きが浅いよ、まだ」
ところで私、べったら漬け、苦手なんです。食べなくもないが、沢庵の方が好き。
October.19,1999 気になるセリフ
別にどうでもいいと言えば、どうでもいい事なのだけれど、頭の片隅に引っ掛かっている事がある。映画『ディープ・ブルー』で、 L.L.クール・ジェイ扮するコックが、遺言を遺そうとする。ところが、何を言っていいかわからない。しばし考えて「そうだ、料理のレシピを遺そう」と言う。次が問題の個所なのだが、「卵は二個。牛乳は使わない。あれは間違いだ」。さて、なぜ牛乳を使っちゃいけないのだろうか。気になる。字幕ではそれだけだったが、正確には何と言っているのだろうか? う〜ん、気になる。
October.16,1999 このスパゲティ・ソースは傑作だ!
東京12チャンネルの、月曜から木曜午前11時ちょっと前からやっている、『グッチ祐三のこれは旨い』という番組をよく見ている。ちなみに夕方は、NHK教育テレビの『ハッチポッチ・ステーション』も見ているから、ほとんどグッチ祐三の追っかけをしているよう。でもこの人、今凄く乗っていると思う。『これは旨い』でも、どうやら本当に自分で考えたと思われる料理が多い。先日見た料理で、すっかり気に入ってしまったのが、塩辛のスパゲティ。
凄く簡単。包丁は一度も使わない。材料費も安い。材料2人前、スパゲティ200g、塩辛50g(高級なものより、安物の方が旨くできる)、生クリーム200cc、白ワイン少々、白コショウ少々、パセリ少々、オリーブ・オイル少々。
フライパンにオリーブオイルを入れ、塩辛をざっと炒め、ワイン、生クリーム、コショウの順で入れるだけ。後は、茹であがったスパゲティの上にかけ、パセリのみじん切りを降りかける。これが信じられないほど旨い。専門店で出す、手の込んだソースに決して負けてないと断言する。ぜひ、お試しあれ。
October.14,1999 うなぎ
いやあ、今年の夏は暑かった。7月の20日ころから、10月の始めまで、暑かったものなあ。よく夏ばてもしないで、過ごせたものだ。
今年のスタミナの元は、うなぎだった。それこそ、週に一回は食べていた。それでは、さぞ金がかかったろうとお思いだろうが、ご安心。なんと、150円のうなぎを見つけたのだ。
見つけたのは、築地の場外市場。5枚以上でないと売ってくれないが、なあに冷凍しておけば問題なし。味の方ですが、信じてもらえないかもしれないが、十分においしい。そのまま暖めてご飯の上に乗せて食べてもいいが、この夏は、卵と一緒に炒めたり、茄子と煮たりして食べた。
もちろん輸入ものだろうけど、この安さは、只事ではない。ついに、うなぎ屋に行くことなく、一夏を終えた。
October.8,1999 唖然!
今日の午前10時、いよいよ新築マンションの鍵を受け取って、部屋の中に入った。これから払い続けるローンのことを考えると頭が痛いが、とにもかくにも、セカンド・ルームとして使う自分の書斎と呼べる空間と、くつろげそうなリビング・ルームを手にした喜びで一杯だった。
しかし、その喜びもつかの間だった。一通り室内を見て周り、次に目に飛び込んできたのは、説明書の山だった。
床にあぐらをかいて、めくら滅法に読み出したが、すぐには理解できないような機能と作動法を持ったものも多い。とりあえず喉が乾いて、浄水機の水を飲んだら、やたら消毒薬臭い。あわてて浄水機の解説書を見たら、「初めて使うときは、5分間流してから使ってください」なんて書いてある。
頭抱えて読んでいると、東京ガスは来る、NTTの工事は来る。さらには、おかしなセールス・マンがインターフォンを押してやってくるわで、さっぱり説明書が理解できない。理解できない事が多いままで、一日目が過ぎた。完璧に理解できるまで、まだ時間がかかりそう。