December.31,1999 なにが起こるかY2K

        大晦日といえば、年越し蕎麦。只今、ようやく営業を終え、これを書いている。いやあ、今年の年末は、店が今までになく忙しかった。もうヘトヘトだ。頭が完全にカバになっている。理路整然としたことが書けるかどうか。

        私の店は、オフィス街にあるために、28日の御用納めから、大晦日が始まっているようなものだ。各会社で、〆に蕎麦を取ってくれるところがあり、大口の注文が舞い込む。29日は、28日ほどでないにしろ、やっぱり御用納めの会社があり、忙しい。30日が御用納めになるのは、主に金融関係、ビル管理関係の会社。31日となると、さすがに会社関係は少なくなり、近所の民家の方々がご来店くださる。

        ところが、今年ときたら、2000年問題で泊り込みで待機する社員がいる会社が多いらしく、今日は、会社員の姿が目に付いた。当店としては、Y2Kサマサマ。

        もう少しで午前0時。果たして、何が起きるのか? このあと、疲れているので、酒飲んで寝ます。明日が恐いけど楽しみ。このホームページ、消えてしまっていたりして。

        では、おやすみなさい。皆様、よいお年をお迎えください。


December.28,1999 バルチック・カレー

        駿河台下を歩いていて、次の予定まで時間があまり無いのに気がついた。ここいら辺で、昼食もしなければと思って、何か手っ取り早く食べられるものと捜したら、カレー屋があった。私、外食でカレーを食べることって、めったにない。だって、カレーって、自分で作ったって、そんなにまずくはならない。市販のカレー・ルーで、かなりのレベルのものができる。カレーの話始めると長くなるから、年末の忙しい今は書けないけれど、いずれ書く。今は、駿河台下のカレー屋の話

        三省堂の裏手、三省堂にくっつくようにして、そのカレー屋はあった。主に、テイク・アウト主体で営業しているらしい。店内でも食べられるが、カウンターのみで、椅子が5〜6脚しかない。店名が[バルチック・カレー]。メニューを見たら、何種類かあったけれど、店名と同じ、バルチック・カレーを注文してみた。説明を読むと、「ポーク、甘口」とある。

        あっという間に、カウンターにカレーが出てきた。豚肉の角切りが4〜5個乗っている。まずは、肉を食べてみようと、スプーンで口に入れみました。いやあ、衝撃をうけました。「やられた!」と思った。うまいのです。なんと三枚肉を使っている。トンポーロー(豚の角煮)のカレー・バージョンとも言えるものでした。口の中で、トローっと溶ける。

        ポーク・カレーって、肉が硬くなってしまったり、臭みが出てしまったり、けっこう、作るのに気を使うのですが、これは旨かった。チェーン店らしくて、方々にあるようだ。ただ、ひとつ気になったのは、容器が、ステンレス製の皿で出てきた点。ごはんが、みるみる冷めてしまう。ごはんはアツアツがいいという私は、それが少々、不満だった。

        今、気がついたのだが、このコーナー、食べ物のネタがやたらと多い。来年からは、食べ物ネタだけのコーナーを創って、独立させようかと思うのですが、いかがでしょうか?


December.25,1999 ありがとうございました

        本日、明治座千秋楽。今月は、山本陽子座長公演『付き馬屋おえん――たった十日の花嫁』でした。出演者の皆様、お疲れ様でございました。山本陽子様、中山仁様、山口果林様、井上英以子様、正木慎也様、山下規介様、小川絵莉様、小山典子様ほかの方々から、お蕎麦の御注文をいただき、楽屋までお届けいたしました。まことにありがとうございました。


December.22,1999 つかこうへい、どうした!?

        学生時代から、つかこうへいの芝居が好きで見ていた。第一、安かったのだ、つかこうへいの芝居は。最新作は『二代目はクリスチャン』、4500円。決して高くはないかもしれないけれど、安くもない。パルコ劇場の千秋楽を見た。

        この前に見た『熱海殺人事件ー最終バージョンーサイコパス』と同じく、メインテーマが原発なのだ。あのときも、臨界事故を修復しようとするのがクライマックスになっていたが、また今回も、同じ様なものを持ってきた。この夏、東海村で実際に事故があったから、使いたかったんだろうし、つかこうへい自身も、随分と原発のことに関心があるらしく、勉強したらしい跡がみられる。

        でも、なんだか面白くないのだ、今回の芝居。東海村の事故の責任者の実名まで出して、芝居を進めていくのだが、生の資料をそのまま、放り出したような味気なさを感じる。さらには、ここ数年で起きたオウム事件、和歌山カレー事件、法の華事件といったものも、次々と引き合いに出していく。これは、好みの問題でもあるのかもしれないが、私には、つかこうへいには、そういった現実の事件とは別のところで、純粋に自分の創作の世界だけで勝負して欲しいのだ。

        まとまりのある芝居を演れというのでもない。まとまりなんて無くたっていいのだが、今回の芝居、マジな演技のところと、ギャグを飛ばすところが唐突に切り替わりすぎて、戸惑ってしまった。なにしろ、ラストは当然、そういう具合に暗くなるだろうけど、それで終われなかったのか、相変わらずのおかまネタを持くる。う〜ん、終わり方に苦しんだのかな。ほんと、苦しみまぎれといった印象だ。そのあと、なんと幕切れが、楽屋オチねたなんて! こんなこと今まであったっけ?

        千秋楽だけあって、いつもより15分ほど長かったようで、役者同士で遊んでいるシーンがたくさんあった。それが楽しいんですがね。最後にモチ投げ大会。なんだかんだ言いながら、つかこうへいの芝居あるとまた行ってしまうんだよね、これが。


December.20,1999 拝啓、磯野貴理子様

拝啓、磯野貴理子様

  初めて、お手紙を差し上げます。
  私、あなた様のことを、ときどきブラウン管で拝見させていただいております。日曜日など、寝ぼけマナコながら、『遅く起きた朝は』をボンヤリとながめ、「磯野様って、おきれいな方だなあ」と思ったりしております。

  さて今回、お手紙をさしあげたのは、偶然あなた様のお書きになった、エッセイを読ませていただいたのが、きっかけなのでございます。私、新聞を熟読するということが、めったにないので、あなた様が、読売新聞の夕刊にエッセイをお書きになっているのも、読んだり読まなかったりではございます。しかし、たまたま目についた回が、両方共、街のラーメン屋についての話題でした。ラーメン屋と蕎麦屋の違いがありますが、磯野様のご意見に、私の方から、ちょっとしたヒントのようなものが書ければと思い、ペンを取りました。

  さて、一本目は、確か今年の春ごろ目にしたと記憶しております。なんでも磯野様は、街のごく普通のラーメン屋で、ビールを飲みながら餃子を食べるのが、お好きとのことですね。あるとき、ビールと餃子と炒飯を注文したら、まずビールが出てきて、次が炒飯、餃子が出てきたのは、一番後だったと憤慨なさっておられました。確かに、餃子はビールのつまみ、しかる後に、炒飯。これは当然の順序であります。

  これは、店側の怠慢とも思われるところですが、しかし、一流の中華料理店なら、いざ知らず、街のラーメン屋にそこまでのサービスを期待するのは、どうかと思われます。もちろん、小さなラーメン屋だって、気の利いた店ならば、お客様に「炒飯は餃子が出たあとにいたしましょうか?」と尋ねるでしょう。しかし、普通はこちらの方で、指示するのが当然と思われます。なぜかと申しますと、餃子は焼けるまでに長い調理時間を要するものです。炒飯よりずっと時間がかかります。オーダーをとりに店員が来ましたら、「まずビールと餃子、それが出たら炒飯を作ってね」と言ってください。餃子と一緒にビールを飲みたいのでしたら、「餃子、ビールと一緒に持ってきてね」。両方が到着したら、あらためて、「炒飯をください」と伝えるとパーフェクトです。

  次に、つい先日拝見した回ですが、おいしいラーメン屋があるのだが、スープがぬるくて『猫舌ラーメン』と名付けた店があるという話題。そうですね、これは店の側に問題があることは事実でしょう。ラーメンは熱くなければ。しかし、ちょっと私の話も聞いてください。ラーメンに限らず、汁そばのスープがぬるい状態で、お客様の元へ行ってしまうというのは、いくつか原因があります。

  まず、丼がよく暖められていないままスープを入れてしまうケース。せっかく暖かいスープの温度が、これで下がってしまいます。

  次に、トッピングの具の問題。冷蔵庫に入れてあった叉焼、メンマ、ナルト、ほうれん草などを乗せますと、これでもぬるくなってしまう。調理場は火を使いますので、大変に暑くなっております。夏場など、こういった材料はすぐに腐ってしまうのです。必要な量の材料だけ、冷蔵庫から出しておくことになりますが、この判断が難しいのです。

  最後に、店によってはスープを決して煮立たせてはいけないという考えで、スープ作りをしているところもあるということです。常に適温にしておくためには、サーモスタット付きの鍋のようなものが、必要でしょうね。ちなみに、炒めた野菜を乗せたようなラーメン、それから、片栗粉でトロミをつけたようなラーメンは冷めにくいですよ。また脂ギトギトタイプのスープを使っているところも冷めにくい。ただし、健康面、ダイエットの見地からすると、ちょっとね。スリムでおきれいな磯野様のこと、あまりこのようなラーメンはほどほどに。


December.18,1999 マウスハント2

        来たのだよ、またネズミが。天井裏を走りまわっている音が聞こえたと思ったら、翌日には、もう換気扇のダクトに仕掛けた粘着シートを、物ともしないで厨房に侵入しやがった。びっくりしましたよ。例によって、朝4時半に起きて厨房に入ったら、ネズミが走っているんだもの。前回の騒動からたった二ヶ月しかたってない。今回のは、やっかいなことに、通ってくるタイプではなく、居着いてしまうタイプらしい。

        一日目、厨房と地下室のネズミが通りそうな所に、粘着シートを仕掛けたのだが、空振り。う〜ん、ちらっと見かけた姿は、まったくの子ネズミでもなかったから、相手はバカじゃなさそう。ひょっとすると、長期戦かもなと思う。捕まえるまでに一ヶ月かかったこともあるのだ。

        二日目、ネズミが嫌うという、固形ハッカ[ねずみ小僧]を買いに薬局へ行ったら、売りきれ。棚を見ていたら[ネズミ忌避スプレー スーパーネズミジェット]という商品が目に入った。

        これは、スプレー式のハッカ。単なるハッカだから、人体に影響はない。説明を読むと、ネズミのいそうなところにスプレーすれば、ネズミは堪らずに逃げ出すとある。

        一日の仕事を終え、後片付けをし、翌日の仕込みを少しやってから、9時半。いよいよ戦闘開始だ。例によって、厨房と地下室に粘着シートを仕掛ける。まずは、地下室。冷蔵庫の裏や、乾物材料のダンボールの裏にスプレーしていった。いやあ、地下室は密封性が高いから、凄く強烈な匂いなんですよ。もう、咳込んでしまった。続いて厨房。隅の方を中心にスプレー。最後は天井裏。あっという間に、スプレー一本使い切ってしまった。もう家中ハッカの匂いでいっぱい。このスプレー、一本2000円もする。これで効果なかったら、たまらんなあと思いながら、就寝。

        翌朝、定刻4時半起床。厨房に行ってみたら、粘着シートに捕まっていた。堪らず出てきて、慌てていて捕まってしまったらしい。潰してゴミ箱へ。長期戦ではなく、二日で終わった。なんだか、私このごろ、ネズミ対策には自信持ちましたね。もし私の店潰れちゃったら、害虫駆除の会社に入って、ネズミ担当になろうかと思うくらい。いつか、ゴキブリを駆除する業者と話ていたら、結構デパートってネズミがいるんですって。夜中に何回も粘着シート仕掛けて、電気を消し、しばらくして行くと何匹か捕まっているそうで、泊り込みの仕事なんだって。面白そうだと思うのは、私くらいなのかな。ちなみに、以前から憧れている職業は、もうひとつあって、それは実演販売員。変かなあ。


December.16,1999 別に墓なんていらないけれど

        我家の人間は、揃って無信仰だ。宗教には、とんと関心がない。しかし、好むと好まざるとは関係なく、やがて死が訪れる。父など、「葬式なんてしなくていいから、火葬場で焼いたら、骨は海にでも撒いてしまってくれ」などというが、まだ、今の世間常識からすると、いろいろと面倒だ。まあ、並の葬式出して、一応、墓に入れた方が波風たたない。

        長年、墓をどうしようかというのが、我家の課題のひとつだった。母の考えでは、あまり遠い霊園などは大変なので、なるべく都心部、外にある墓石のあるタイプではなく、お堂の中にロッカー式に並んでいるのがいいという。漫然と考えていたが、先日、新聞の折込チラシが目についた。市谷にあるお寺の墓の分譲広告だった。

        さっそく、出かけてみた。市谷の駅を出てすぐ、靖国通りと外堀通りが交差した、市谷見附の交差点を、ちょっと中に入ったところに、そのお寺はあった。龍谷山洞雲寺。市谷の駅の目の前というのに、ひっそりとしている。70代とおぼしいお坊さんと、40代の息子さんがいた。どちらも、物腰の柔らかい方で、この人たちなら、自分達の死後を任せられるなと思い、購入することにした。

        お堂の地下に通される。中央に祭壇があり、そのまわりをグルリと仏壇が取り巻いている。仏壇の下に、骨壷を入れられるスペースがある。これでいい。十分だ。外の墓だと掃除も大変だし、悪天候の墓参りは辛い。

        宗派は曹洞宗。禅寺だ。帰りに、まだ小さいミサキちゃんという女の子に挨拶。玄関前には、決して吠えないという、大人しい柴犬がいる。「ここが、自分の行きつく先かあ」と思ったら、妙に感傷的になってしまったが、なんだか気分が落ち着いてきた。死への覚悟が、また一歩出来た生まれた気がする。


December.14,1999 カラムーチョ カラシ味

        ダイエットの為には、およそ良くないのだが、ポテトチップスのようなスナック菓子って好きなんですよ。コンビニで新製品が出ていると、ついつい買ってしまう。ビールにもお茶にも合う。ついポリポリ、パリパリ。昨日見かけたのが、[なとり]で出した『イカフライ 激辛キムチ味』ってやつ。イカの天ぷらを乾燥させたようなスナックあるでしょ。あれをキムチ味にしたやつだった。これが、恐ろしく可愛くない辛さだった。私、わりと辛さに強い方だから、三本まとめて口にほうりこんだ。最初、「あんまり辛くないな」と思い、何回か噛んで飲み込んだ。その後が大変だった。この辛さは、後から来る辛さで、口の中が燃えるようだ。本物のキムチを食べた方が、まだ辛くない。凄く凶悪だから、辛いのが苦手な人は食べない方がいい。

        ところで、私に言わせるとスナック菓子のベストは[湖池屋]の『カラムーチョ カラシ味』だ。黄色くてスティック・タイプのやつ。これは、傑作だと思う。赤い唐辛子味のとか、カレー味のとかもあるが、断然、カラシ味。だって、よく考えてくださいよ。じゃがいもを茹でても、揚げてもいいけど、何かスパイスをといったら、マスタードじゃないですか。私、これされあれば幸せだった。『だった』と言ったのは、実は最近、カラシ味のを見かけなくなってしまったからだ。置いてあるのは唐辛子味ばっかり。湖池屋さん、またカラシ味復活させてくれませんか?


December.12,1999 おたくの包丁、切れますか?

        「ちょっとみなさん、いいですか、よく聞いてくださいよ。えっ、声がつぶれてて、あんたテキヤだろうって? 冗談じゃない。私は、テキヤでも、実演販売員でもありませんよ。物を売ろうってわけじゃないから、安心してくださいよ。ここで、毎日声を張り上げて喋っているから、こんな声になっちゃった。ああ、大分人だかりがしてきたな。すいませんが、この線のところまで下がってもらえますか? 私これから、包丁使いますからね、ちょっと離れていてもらったほうがいい。もしものことがあったら大変だ」

        「ね、奥さん、毎日、包丁使うでしょ。そりゃそうだよね。ちゃんと料理作らなきゃ主婦失格だ。ね、旦那さん、毎日会社で汗水たらして、一生懸命仕事して、時には上司に嫌味言われたりさ、しょーもない部下の尻拭いしたりさ、得意先にはゴマすったりしてね、そうやってヘトヘトになって家に帰ってくる。満員の電車にゆられてさ。我が家にたどりついたときは、もう身も心もボロボロだ。奥さんの真心入った、おいしー――い手料理食べさせてあげたいじゃない。そうすりゃさ、旦那さん、また明日からも、女房子供のためだ、『ようし、頑張るぞ!』って気になって、またバリバリ働けるってものだ」

        「えっ、奥さん料理得意なの? そりゃあいい。奥さんの旦那さん、幸せ者だね。ところでさ、奥さん、包丁の手入れどうしてる? 包丁研ぎのことだよ。ああ、ローラー砥石ね。あれでもいいけど、すぐ切れなくなっちゃうでしょ。肉なんて切ってたら、あっという間に切れなくなる。主婦生活もさ、長くなってきたら、本格的な道具揃えようよ。ちゃんと砥石買ってさ、包丁砥ごうよ。切れ味がぜんぜん違うから」

        「そう、奥さんの言いたいことはわかる。砥石で包丁を研ぐというのは、確かに難しいよ。一人前の板前になるにも、包丁を研げるようになるまでは苦労するもんだ。刃の角度を一定に保ちながら、研がなくてはならないんだから、技術がいる」

        「それでね、私、先日びっくりしちゃったの。ほら、これだ。『ダカーポ』の434号。『家事は娯楽である』という特集。男むけに書かれた特集だけど、主婦の人にも十分役にたつ特集だから、古本屋で見かけたら、買って損ないよ。その32ページだ。いいかい、『カンタン包丁研ぎ』って記事。砥石と包丁の関係を逆転しちゃえと言うんですよ。『まな板の縁などに包丁の刃を外に向けて固定し、砥石のほうを持って、刃の方から擦りあげてやればいい』だって。冗談じゃない。奥さん、こんなの真似しちゃだめだよ。危ないから。そんなことしたら、指切り落としちゃうから。第一、砥石って重くって、持ち上げるだけでも大変。ますます、危険なんだから」

        「そこで、みなさんに紹介したいものがあるんだ。えっ、やっぱり実演販売だって? 違うって。私は物売りじゃないんだって。ほら、これ、包丁とぎ角度固定ホルダー『トゲール』。包丁の背(みね)に、このホルダーを差し込むだけ。ね、これなら素人でも角度が一定になって、簡単に研げるというわけ」

        「ね、これ便利だよ。千円で売ってる。ちょっとちょっと奥さん、千円札突き出されたって、私は商品持ってるわけじゃないの! だからさあ、実演販売じゃないって言ってるじゃない」


December.10,1999 スペシィフィックス・カイロプラクティック再び

        September.29で書いたカイロですが、二回目の治療に行ってきた。実を言うと、うちは家族全員が行った。父と妹は、二回目の検査の結果、「よくなっている」と言われ、もう首を触られる事も無く、検査料二千円だけ払って帰ってきた。二ヶ月後に、もう一度行って結果がよければ、もう通わなくていいそうだ。特に妹の場合、毎年苦しんでいた神経痛が出なくなったというから、効果あったんだろう。

        私の首が右に傾いているのは、三十年前の事故のせいらしくて、そう簡単には直らないようだ。もっとも乾癬という皮膚病が、このところ、よくなってきている。効果があったとみるべきか。今回も第一頚椎のズレを直してもらい、帰ってきた。ちょっと疲れてくると、首が痛い。

        このホームページを見た何人かの方から、このカイロについて、問い合わせをうけたが、その方たちには、一応パンフレットを送った。なんだか、客観的にみると怪しげなのですがね。へんな宗教や自己啓発セミナーが社会問題になっている時期ですし。でも私は別に、ここで宣伝しているわけじゃない。こちらから、「是非行け」というわけでもない。そこのところ、勘違いしている方がいるので、ここにおことわりしておきます。


December.8,1999 マカロニサラダ

        あのう、とんかつ屋で、とんかつを注文したとしますよね。別に自分で作ってもいいのだけれど。で、目の前にとんかつが出てくる。お皿の上には、とんかつ本体と、それに千切りのキャベツ。脇に申し訳なのか、マカロニサラダが付いていたりする。

        「さあ、食べよう」っていうんで、ソースをかける。とんかつには、とんかつソースがいい。このとんかつソースって奴、くせものでして、見事にとんかつにしか合わない。白身魚やホタテのフライにかけちゃうと、本体の味が消えてしまう。そのくらい強い味なんですね。とんかつの場合は、おそらく、カツが強いんでしょう。とんかつソースに対抗できる。また、それ以外のソースだと弱すぎる。

        それでですね、キャベツにもソースをかける。キャベツには、ウースター・ソースでも中濃ソースでも何でもいいのだけれど、とんかつソースでも、それほどおかしくない。キャベツ自体にあまり味ないですからね。私はどちらかというと、ウースター

        マカロニサラダはマヨネーズの味がついているから、ソースをかけることない。ところがですね、とんかつにとんかつソースをかけているときに、間違って、マカロニサラダにまでかけてしまったりする。「しまったーっ」と思うんだけど、食べてみると、マカロニサラダが全然、とんかつソースに負けていない。案外おいしかったりする。マカロニサラダって、強いんだ! これがですね、同じくマヨネーズを使っていても、ポテトサラダだと、もう負けちゃう。

        ああっ、「またしょーもない話を」という顔してるでしょ。ところで、イタリア人はマカロニサラダ見て、どんな感想持つのかなあ。イタリアにもマカロニサラダってあるのかなあ。とんかつ頼んで、一緒に付いてきたマカロニサラダ見て、笑って許してくれるのだろうか。


December.6,1999 納豆定食

        月に一度くらいの割合で、牛丼屋の朝食を食べることがある。なかなか、外で朝食が食べられるところ、少ないですものね。そこでは納豆定食を頼むことが多い。

        私がよく利用する、[らんぷ亭]の場合、納豆定食というと、発砲スチロールパック入りの納豆、割ってある生たまご、味付けのり、漬物、味噌汁、ごはん、といったセットが出てくる。あれ、皆さん、どうやって食べてます? 

        最初に注文した時、どうやって食べたものか困ってしまった。そこで最初にやった食べ方。まず生たまごをとく。納豆を入れる。カラシを入れる。醤油をたらす。それをかき混ぜる。それをそのまま、ごはんにかける。味付けのりは、千切って、その上からかける。以上で準備完了。後は、漬物と味噌汁をおかずに、さくさくと食べてた。でもですね。それってしばらくして、考え方が変わったのだが、随分と貧相な食べ方だ。単なるぶっかけ飯。一日が始まる最初の食事だというのに、これはないだろう。第一、たまごの中に納豆が溶け込んじゃって、粘りもなにもなくなってしまう。

        納豆に対して生たまごが多すぎるのだ。そこで改良型。生たまごをとく前に、右手で、キミだけすくいあげる。皿に残ったシロミはもったいないから味噌汁の中に入れてしまう。黄身を皿に戻し、納豆、カラシ、醤油を入れ、かき混ぜる。これを、ごはんに乗せ、味付けのりを上からパラパラ。漬物、たまごのシロミ入り味噌汁で食べる。これは名案に思えたのだが、どうも、生のシロミが、味噌汁に入っているのは気持ち悪い。味噌汁と一緒に煮ちゃうとおいしいのだけど、生じゃねえ。まあシロミなんて捨てちゃえばいいんだけどね。

        そこで、その次にやった食べ方。生たまごをとく。醤油を入れ、ごはんにかける。このとき、少ーっしだけ、たまごをとっておく。そこに納豆とカラシを入れかき混ぜる。これで完了。たまごかけごはん、味噌汁、漬物、納豆、味付けのりの五つを、こころゆくまで楽しむ。これも、しばらく続きました。ところが、これも気に入らなくなってきた。問題は、味付けのりの存在なのだ。味付けのりは、白いごはんに対してが一番、相性がいい。白いごはんの上に、ちょっと醤油をつけたのりを、ごはんを包むようにして包んで食べる。ちょっとした海苔巻、しかもあったか〜いやつ。たまごかけごはんだと、こうはいかない。のりで巻こうとすると、ボロボロとこぼれてしまって、巻けない。しかも、のりのパリッとした感じもなくなってしまう。

        かくて、只今の私の食べ方。[らんぷ亭]の場合、お茶はセルフサービスになっている。お茶を自動給湯機で入れた時、ついでに、プラスティックの湯のみをひとつ、余分に持ってくる。まず、味付けのりに醤油をつけながら、ごはんを食べる。そうですね、ごはん全体の四分の一くらいが、これで消費されるでしょうか。次にたまごをとき、一端、これをカラの湯のみに入れてしまう。納豆をたまごの入っていた器に入れ、よくかきまわす。醤油とカラシと、それに湯のみに入れておいたたまごを少し入れ、さらにかきまわす。これを、ごはんにかけて食べる。これで、ごはんの残りは、半分くらい。いよいよ最後に、たまごかけごはんにして食べる。これらの間にときどき、味噌汁と漬物ね。

        でも、やっぱり、最初にやったぶっかけ飯、恋しいなあ。えっ、勝手にしろ? すいません。


December.2,1999 築地の寿司屋で聞こえた話

        「大将、ビールね。それと、何握ってもらおうかなあ。鰹どう? いまいちかあ。ああコハダでいいや。それとまぐろ、中トロんとこね。どう景気? うん、どこも悪いよね。どうなっちゃってるんだろうね」

        「ところでさ、築地市場の移転問題、困ったよね。市場内でも賛成派、反対派が分かれちゃってるじゃない。大将はもちろん、反対派だよね。商売になんなくなっちゃうもんね。反対派の連中、総決起集会やるなんて言ってるじゃない。その気持ちもわかるけどね。豊州に移すったって、40ヘクタールもの土地、どうやって確保するんだってこともあるしさ、交通アクセスだって悪くなっちゃう。かといって、今のままじゃ、建物が、もう危険なくらい老朽化しちゃってるじゃない。市場として使いながら、直していくっていうのも、けっこう大変だしね」

        「だいたいさ、直そうって最初に話が出たとき、都がJRの汐止車庫後を借りて、仮市場作って、その間に直しちゃおうとしたのよ。ううん、石原でも青島でもない、その前の人。それがさあ、JRがあまりに高いこと吹っかけるから、「そりゃあ、ダメだ」ってなっちゃった。あの時、国レベルで、JRと安く借りられるように交渉できてれば、こんな事にならなかったのにさ」

        「あっ、あと蛸と平目握って」

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